第三話 エイブラム2
「神の国を作る。手伝って、エイブラム」
「……!!」
エイブラムは、しっかりとそれを聞き……。
(本当に実現するかは分からないが、ワシも手伝おう)
そう考えた。
「お前ならできるだろう。……で、ワシは何をしたらいい?」
「とにかく、人を集めよう。集団になれば、建国もしやすいはず」
「ふむ……となると、街頭演説でもするか?」
「うん。一つの場所に人が集まれば、私の使う……“奇跡”で人は跪く」
能力、と言おうとして、辞めた。奇跡と言った方が受け入れやすいだろう。
「なるほどな。使うタイミングは?」
「人が集まってきたら、すぐに。何回か行う」
「……そうだな。その前に、もう少し軍警の方に味方を増やしておくか?」
「捕まりかけてからでいいと思う」
「後手に回らないか?」
「今、軍警の敷地内に行って啓蒙する方が危険じゃない?」
「……そうだな。まぁ、お前がそういうならそれでいいんだろう」
「予定としては────────」
頭の中で練った計画を話す。素人による真似事だが、上手くいくだろうか。
いや───────がむしゃらでも、遂行しなければならない。戦争のない神の国を作ること、これは私の使命なのだ。
「演説内容はどうするつもりだ?」
「こういうの、私、得意なの。任せて」
「ほう、それは期待していよう」
「エイブラムはジュリオスと一緒に、私に危険な人が寄らないように警護をして」
「畏まった。お前の命、喜んで受けよう。これも平和と、贖罪の為だからな」
エイブラムは、黒い髭を持ち上げて、ニヤリと笑う。
私も優しく微笑んだ。
(贖罪、か。)
私が与えた罪悪感である。胸の中がチクリと痛む。
誤魔化すように、私は指を組む。
「さぁ、一緒に祈ろう。戦争がなくなりますように、と」
「あぁ、戦争がなくなりますように、だな」
エイブラムは、アリアが指を組んだのを真似した。
暫く黙祷し、やがてゆっくりと目を開く。
「いつだって私達は、この目的を見失ったらいけないよ」
「もちろんだ」
「うん」
「さぁ、平和の鐘を慣らしていこう」
雲の隙間から顔を出した太陽に、手をかざした。




