第十五話
それ以降、部屋には四卿以外の人が来ることはなくなった。
最初に来たのは、レーザだった。
ベッドの上で膝を抱えている私に、レーザは近寄る。
「カイウス、死んだよ」
「っ……」
もしかしたら、そうなるかもしれないと思っていた。
「主……泣いてんの」
「……」
「泣いても、やめないよ、オレ」
「……」
レーザはそう言って、そっと私をベッドに押し倒した。
「……拒まないの」
「……」
もう、拒む力すらなかった。私は遠くを見つめ、しとしと涙を流した。
仄かに香った、カイウスへの恋慕。それを、こんな形で裏切ってしまった。
行為は、痛いほど優しかった。
最後に一つ、額にキスを落として、レーザは去っていった。
入れ替わりで、ジュリオスが部屋に入ってくる。
「アリア様、レーザは野蛮で困りますね。汚されたシーツを変えましょう。……ああ、泣かないで。カイウスの件は残念でしたが、彼もまた、あなたの清廉さを汚そうとした『罪人』だったのですよ」
ジュリオスはそう言って、私の体を拭く。
「さあ、僕が用意した新しい『お洋服』に着替えてください」
純白の、レースのついたドレス。あまりにも、甘い服装。……まるで、花嫁の衣装みたいな。
「これ……」
「あぁ、気付きましたか。こちら、花嫁を意識して、職人が一から作り上げたものです。……良くお似合いですよ」
もう、鳥肌すら立たなくて。私は涙を静かに流し、遠くを見つめた。
それから、私に届く情報は、少し色を変えた。
それは、全てジュリオスというフィルターを通して届けられるのだが。
外の世界の惨状や、アリアを呼ぶ民の声。それらを「アリアを傷つける毒」として排除し、代わりに「アリアを神格化する都合のいい報告」だけが届けられた。
明らかに内容が変わっているものだから、分かってしまった。
「ねぇ、ジュリオス」
「なんです?」
「私に伝えてないこと……ない?」
そう問うと、ジュリオスはそっと、微笑み。
「アリア様は、汚れた世界など見なくていいのです。僕……いえ、俺だけを見ていてください」
「……そう」
「カイウスの件は、残念でしたね。アレは、アリア様の罪です。そんな貴方は、もう僕なしでは、正しく生きられません。僕の作った法の中で、生きるのです」
「……」
彼は毎日そう言って、私の首を真綿で締め上げる。
息が、苦しくて。
(あぁ……神はなんて残酷なんだろう)
信じていたことすらも、揺らぎかけていた。
そんな時、一筋の光が刺した。
美味しー!!!!!!!うめ(*´༥`*)うめ
レーザがキスを落とすのが額ってのがいいですね。親愛の証が、汚れていく……ウワーッ誰だこんなのを考えたのは!!
私だ……。




