第十三話 軟禁
ジュリオスが運んできてくれる、豪華な食事。レーザが変えてくれる真っ白なシーツ。何も、救いにはならなかった。
私は残った時間で、色々なことをしていた。
エイブラムと会った日に書いていた、日記を読み返した。
“私は罪を犯しました。人に罪悪感を植え付けるのです。ですが、神は私を救世主と呼びます。こんな穢れた救世主など、他にいましょうか。私の行動の向こうに、まだ人の笑顔は見えません。いつか、誰かを笑顔にできますように。”
過去の自分に同感して、涙を流した。そして、この文からありありと分かる、未来への希望。
私はそっと、日記に付け足した。
「未来にあったのは、死んだ民と、流れた血、絶望と罪悪感だけだったよ……」
あぁ、本当に。
なんで私は生まれてしまったんだろう。
本も読んでいた。
『うん、約束』
いつの日か孤児院の子供達と交わした約束を思い出す。
あぁ、そういえば、結局再会できなかった。
「ごめんね……」
本を閉じようとして、お兄さんから貰った押し花の栞を置く。
あの日、あのままあそこに居たら。私はずっと彼らと会い続けられたのだろうか。この道は正しかったのだろうか?
(沢山の血が流れたな……)
ヴァルメア王の体から吹き出る赤が、サニエルの首から流れ出た赤が、帝国の伏兵から溢れる赤が、今でも鮮明に思い出せる。
色々荷物を整理していたら、飴が出てきた。
いつ、誰に貰ったんだったか。口に含むが、味が分からない。
でも、確かに胸の中に、温もりが宿って。
(あぁ、おばあさんに貰ったんだ……)
思い出して、遂に、涙がポロポロ零れた。苦しかった。辛かった。もう、消えてしまいたかった。
影狼隊のカイウスは、影からじっとらそれを見ていた。
(……)
私は気持ちが赴くままに、絵本を書いた。
いつか、子供達と会えたら、これを読み聞かせするのだ。
もしそれが叶っていたら、私はきっと、絶望を味わっていただろう。




