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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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冒険者ギルドの受付(6)

 ベータから発せられた師匠(クロイツ)を貶すその言葉にリージョが反応しそうになるが、クロイツはその手を軽く上げて制した上で口を開く。


「真実かどうか信じるのはお前の勝手だが、俺は当時からお前等を瞬殺できる力は持っていたぞ。それすら気が付かない奴に言われたくはないな。あれほど稚拙な暗殺を、いや、最後の方は暗殺とも言えない程お粗末だったが、その全てを無傷で跳ね返しているのが偶然のわけがないだろうが」


 ここまで言われて初めてクロイツの言葉の重みに気が付くベータだが、時既に遅い。


「で、では、何をしに来た!どれだけ偉そうな事を言っても、玉座を狙いに来た不届き者である事は違いないだろうが!」


「しつこい奴だな!さっきから言っているだろうが!俺はこの国に興味はねーんだよ。狙いはお前だ、ベータ」


「う……」


 クロイツから今迄見た事もないような視線を向けられて怯えるベータだが、逃げようにも背後にはAランカーである“無音のリージョ”が控えているので誰がどう見ても逃亡不可能なのだが、逆に、そこに唯一の活路を見出して、突然振り返って形振りかまわずにリージョと交渉を始める。


「む、“無音のリージョ”!貴様は何故このような出来損ないと行動を共にしている?今ここでこの(クロイツ)を始末できれば、栄えある近衛騎士として召し抱えてやる。Aランカーの実力を見せてみろ!」


「ぷっ、ハハハ、師匠(・・)。申し訳ありませんが、師匠の祖国のレベル……師匠が見捨てたのも良く理解できますよ。これは矯正不可能ですね。そうそう、私は貴方(ベータ)に聞きたい事があります。あの紋章、誰がつけたのですか?その者との繋がりは?有益な情報であれば、生きてこの場を出られるかもしれませんよ?」


 リージョが頼みを検討するそぶりすら見せずに、逆に直接的に始末する可能性があると言われてしまったので、慌てたベータはありのままをペラペラ話し始める。


 “爆炎のハロルド”を仕入れた際に知り合った謎の男の事、その男が赤の紋章を付けた事、最後にその男を始末した事だ。


 あまりにも簡単に全てペラペラと話したので嘘でも言っているかと疑ってしまいたくなる程だが、最後の始末をするところなどはクズらしい素行であり信憑性があったし、ポチから与えられている魔獣が何も反応を示さなかったので、嘘は言っていないと判断する。


「師匠……これはあまりに情けないですね」


「俺も改めてそう思うが、そう言うな。で、ベータ。お前には二つの選択肢を与えよう。俺って、慈愛に満ち溢れているだろう?」


 慈愛とは真逆を連想させる笑顔のクロイツなのだが、抗う術のないベータはひたすらクロイツの言葉の続きを待っている。


「一つ目は、あの二人の主の契約を放棄した後で俺の管理下で働く事。二つ目は、この場で俺達に抗う事だ。どちらが良い?」


 事実上選択肢は一つだけなので、流れるように奴隷契約を解除直後に気絶させられるベータ。


「それじゃあ!二人とも荷物はあれだけで良かったんだな?」


「「はいっ!!」」


 ベータがギルドに来るまで数日待っていたため、その間に荷物の整理は終わってクロイツがすべて収納している。


 少しだけ不安になっていた受付の二人は、クロイツの宣言通りに簡単に奴隷契約から解除された事から、これからの生活に希望を見出せるようになっている。


 たとえ赤の紋章を背負っていようが……有言実行の結果とAランカーを二人も従えるSランカーのクロイツを完全に信用したのだ。


 受付の二人がクロイツに抱く感情としては最早好意と言うよりも崇拝と言うレベルであり、“彼女欲しい病”のクロイツにとってみればあまりに重すぎる感情であるが故に、好意として認識できずにいる。


 再び繰り返される目隠しと、気絶状態のベータを伴った転移。


 受付二人は他の赤の紋章の人々と同様の反応を示したのだが、先住の人々によってあっという間に馴染んで自分の家を決めている。


「じゃあ頼んだぞ!」


「承知しました、クロイツ様」


 先行してベータとリージョが向かっているもう一つの人族の住処……と言うよりも、強制作業場に転移するクロイツ。


 そこには意識を取り戻させられて唖然としているベータがいる。


「後は適当にやっておくから、ゼリア帝国のメバリアさんに任務完了の報告をしておいてくれるか?道中の移動も修行になるだろうからな、リージョ」


「わかりました。ポチ殿。1階層に送っていただけますか?」


 この場からリージョが消えて、残っているのはベータとクロイツ。


 そしてこの二人に近づいている人物は、ゼリア帝国の騎士であったミュラだ。


「あなたは、ベータ殿ではないですか!まさかこんな所に……」


「ミュラ殿!」


「お前ら顔見知りか。だったら話は早いな?俺はもう行くぞ」


 返事を待つまでもなく、ポチによっていつのも崖の上に転移させられるクロイツ。


 残ったベータは未だに現実を掴めていない状態のまま、今は薄暗いこの階層でミュラから厳しい現実を告げられる。


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