騎士達が出陣するも……(2)
自分達の力量不足は完全に無視して不甲斐なさを棚に上げ、傷をなめ合う騎士達三人。
唯一の救いは、その鳥型の魔獣は深淵の森から出る様なそぶりは見せずに三人の騎士を追うような事はしなかったので、最終的には城下町に被害が一切出なかった事だろうか。
本来あの程度の中途半端な煙幕でAランクの魔獣が撒けるわけもなくしっかりと気配を掴まれていたのだが、その上で後を追わなかった魔獣。
その理由は、本当に脅威となり得る対象であれば追い詰めたかもしれないが、魔獣側としては少し遊んでもらった程度の感覚なので態々追いかけるつもりはなく、それどころかたくさん遊んでくれた事に満足していたりする。
その結果冒険者達にふざけた依頼が舞い降りて、全員がその命を捨てる覚悟をして対処に当たろうとしていた所……さっさと鳥型魔獣を片付けたリサがこの王都に現れた。
Aランカー最強のリサの存在と、そのリサが深淵の森からAランクの魔獣を狩ってきてギルドに納品されたとの報告は、すかさず王城にも上がってくる。
どちらも最重要項目なのだ。
その結果騎士達の思惑とは異なり、Aランカーのリサが対象の魔獣を討伐した事から、ミーシャにもその事実を知られてしまった。
「あら、あなた達……あれだけ重傷を負って帰還してきたくせに、何を始末したのかしら?確か……あなた達も鳥型のAランクの魔獣を始末して、冒険者に取りに行かせているって言っていたわね?」
騎士三人は、王城内部への報告ではAランクの鳥型魔獣を始末したが大怪我を負ってしまい、その素材はそのまま深淵の森に放置せざるを得なかったと報告している。
ギルドに対する討伐依頼は当然のように秘匿しており、冒険者達が仕留めればその成果を横取りする予定でいた。
失敗すれば冒険者は死亡するだろうし、成功すれば横取り……彼らからしてみれば完璧な作戦だったのだが、実際は穴だらけだ。
いくら危険な深淵の森とは言え、浅い場所にそうそうAランクの鳥型魔獣が現れては国家の危機は今以上。
つまりリサが狩った魔獣が、騎士達が言っている魔獣ではないかとミーシャは疑っている。
「何をくだらない言いがかりを!逆に、リサとか言う冒険者風情が、我らが仕留めた魔獣の亡骸だけを持ってきた可能性の方が高いではないか!」
一応言っている事は納得してしまいそうになるが、騎士達の態度からその言葉は嘘である事程度は、その身一つでここまでのし上がったミーシャにはわかっている。
しかし、ミーシャはここで矛を収める。
「ま、私はそんな事はどうでも良いわ。これ以上私からはこの件については何も言わない。でもね、タダでは口を噤めないわ。貴方達にも色々ある様に、冒険者としても色々あるの。突然現れた幼いAランカー、そんな存在に大きな顔をさせるわけにはいかないわ。わかるでしょう?」
騎士達にとってみれば、願ってもない申し出だ。
「……いいだろう、ミーシャ。ここは申し出を受けよう。で、どうするんだ?俺達としても、目障りな冒険者が幅を利かせるのは気に入らないからな」
「あら?それは私も含むのかしら?」
自分の方が折れてやったのに、未だ偉そうな態度のアルファの言葉には流石に反応してしまうミーシャ。
「いや、王城の中にいるのであれば別だ。お前はこちら側の人間だ」
「フフ、じゃあ、これから宜しくね」
互いの思惑はあるものの、表面上は手を握る事に成功した騎士とミーシャだ。




