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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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騎士達が出陣するも……(1)

 ミーシャに煽られて、その実力を証明する事になった王族護衛騎士であるアルファ、ベータ、ガンマ。


 何故か現国王・王妃の守護を担うべき存在であるアルファまで来ていたのは、最早現国王達は飾りであり、実質の国王であるドレアの守護を行っているからだ。


「ベータ、ガンマ。我らで未知の魔獣すら狩りつくし、あのふざけた女(ミーシャ)に騎士としての実力を示そうぞ!」


「「はっ!!」」


 ミーシャとしてはこれからの活動は相当楽が出来ると思って専属契約を受諾したのだが、その仕事が深淵の森の対処になる可能性が高い事に気が付き、今更ながら少々後悔している。


 騎士とのくだらないやり取りで騎士達が深淵の森の魔獣を始末すると意気込んでいたので、これ幸いと全てを丸投げして、気持ちを切り替えて取り敢えず暫くは動かずに王城での優雅な暮らしを堪能する事にしていた。


 あれだけ自信満々で雰囲気からもアルファは相当強かったので、騎士が三人いればAランクの魔獣も怪我無く仕留められるだろうとミーシャは思っていた。


 万が一にも敗走するような事があっても、あれだけ小ばかにしておけば尻拭いをこちらに投げる事は無いだろうと踏んでいた事もある。


 こうして、護衛そっちのけで意気揚々と深淵の森に向かう騎士の三人。


 めったに姿を見せない特別な騎士である三人が揃って重装備で深淵の森に向かうものだから、町は一時騒然としていた。


 どうせ魔獣を狩るのなら冒険者共にもその功績を称えさせるために事前に告知しておこうとギルドに立ち寄り、如何に冒険者達が使えないか、如何にそのせいで自分達が苦労するかを延々説いた挙句に、出陣して行った。


 対応させられた受付や、その場にいた冒険者たちのとてつもない冷やかな視線を一切気にする事なく……


「おい、あの三人があの装備で……」


「今日は早めに店じまいした方がよさそうだな」


 危険を肌で感じ、途端に城下町の人の流れは消え去る。


 もちろん冒険者達も彼らの物言いには非常に頭に来る事はあったが、魔獣を刺激して起こり得る最悪の事態を想定してその身に危険を感じ、その日のギルドは一気に閑散としていた。


 それから数時間後……絶えず響く地響きに住民達は怯え、急いで出国の準備をする者が後を絶たなかった。


 更に数時間後……全身血だらけで満身創痍になっている騎士三人が王城に戻るのを見た住民達は、命を賭して全力で町を守ってくれた英雄に対して心から感謝していた。


 実際は騎士達のありとあらゆる攻撃が魔獣に対して致命傷にならず、三対一でもAランクの鳥型魔獣に手も足も出ずに命からがら逃げ出しただけだ。


 絶えず響いていた轟音は騎士達の空中に向けた攻撃ではなく、鳥型のAランクの魔獣による一方的な攻撃が続いていた為に起こっていたものだ。


 騎士三人としては、必死で逃げ回るだけ。


 時折逃げきれずに被弾しつつも、無駄に立派な防具のおかげで致命傷だけは受けずにすみ、最後は何とか煙幕を張って逃げ出したのが真相だ。


 まさか騎士が敗走するとは思っていない町人は、盛大に誤解していた。


 その後ミーシャの想定通りに、プライドの高い騎士達はミーシャに対して頭を下げる事は出来ず、既にミーシャが専属となって王城でのんびりしている事を良い事に、ギルドに魔獣の始末を強制的に丸投げした。


 王城内部にいるミーシャに、騎士からギルドに依頼したと情報が流れなければ良いと考えたのだ。


 あれだけ冒険者を煽っておきながら……と言う所は、最早三人の騎士には関係がなかった。


 彼らにとってみれば、今後王城内で顔を合わせる可能性が極めて高いミーシャの対応だけが重要だったのだ。


「まさか、あれ程の強敵がいようとは……不覚だ」


「空を飛ばれると、我らの攻撃の威力は激減」


「何か空戦に特化した特殊なスキルがなければ、太刀打ちできません」


 実際は身体強化だけで戦闘するにしても、極めてしまえば石を投げるだけでも立派な戦力にはなるが、そこまで到達する事ができない騎士達は今回の配線はやむを得ない事だと、互いに傷を舐め合う事に終始していた。


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