Aランカー、ミーシャ(2)
私は、一も二もなくドレア・ナスカ王子の申し出を受ける事にして、ナスカ王国専属の冒険者になる事にしたわ。
「そのお申し出、謹んでお受けしますわ」
「おぉ、Aランカーが専属になってくれれば、我がナスカ王国は安泰だ。頼んだぞ、ミーシャ!」
喜ぶドレア様の後ろに控えている騎士のベータとガンマは……なんだか腹立つわね。
どう見ても嫌そうな顔をしているじゃない?
私の事、舐めているのかしら?
睨み返せば、向こうは二人だからって調子に乗っているのか、明らかにその視線が鋭くなるの。
この程度で心を乱すなんて、王族の護衛としては失格ね。
「恐れながらドレア様」
って、突然ベータとか言っていた男が私を睨みながらこんな事を言い始めたの。
「この女、実力が本物か疑わしいのですが。一度ドレア様から直接的な依頼をされてみてはいかがでしょうか?」
ここまで言われては、冒険者のトップとして黙っている訳には行かないわね。
冒険者は舐められたらお終いですもの。
「あら?私から見れば、あなた達の実力も相当疑わしいわよ?」
「なに?貴様……」
帯剣している柄に手を伸ばしかけているベータ。
本当に騎士として有り得ない程短気ね。
「待て、ベータ。貴様の言う事も分からなくもないが、Aランカー、疑いがある実力で成れる地位ではないだろう?」
「そうよ。最近も私が深淵の森でAランクの魔獣を倒して納品したのを知らないのかしら?」
実はちょっと危なかったけど、何とか倒せたと言う事は言わなくても良いわね。
傷を癒すのにエクスポーションまで必要だった事は内緒!
討伐の結果だけはギルドにしっかり残っているし、王族であればギルドからその情報は得ているでしょうから、私の実力の証明には十分なはずだけれど……
「私としては、あなた方の実力が本物かを確認したいわね。深淵の森からの魔獣、あなた達が不甲斐ないから冒険者が苦労しているんじゃないの?私は魔獣の納品実績があるわ。つまり、実力は証明されているの。貴方達はどうかしら?」
あの受付が、深淵の森は国家から進入禁止の命令が出ているので、国家からの依頼がなければ冒険者も侵入できないと言っていたわ。
そうなると、普段の対処は騎士が行っているはず。
そして現状、魔獣の対処が遅れている……つまり答えは一つ。
騎士が対処しきれていないのよね。
「貴様、我らが騎士を馬鹿にするか?」
「最初に煽ってきたのは貴方でしょ?」
「待て、ベータ。ガンマも落ち着け。ミーシャの言う事、尤もだ」
ドレア様が私の言い分を肯定してくれたので、これで安泰かと思ったのだけれど……
「ドレア様、流石にその女の言葉、聞き捨てなりません」
「アルファ様!」
また新たな男が出てきたわね。
ここにいる騎士よりは少しは強そうだけれど、私と戦ったらどうかしら?
「我ら騎士にも、長年国家を守ってきたプライドがございます。我らが見事深淵の森のAランク、場合によっては未発見、つまりはSランクの魔獣すら狩れる事、騎士として証明してご覧に入れます」
大きく出たわね、この男。
私でさえ、Aランクの魔獣に死ぬ思いで勝ったって言うのに。
そもそも、この国の深淵の森の中の魔獣はちょっと強過ぎよ。
でも、今後はその仕事を受ける事になる可能性が高いわね。
あれ?ひょっとして私、失敗したかしら?




