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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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リサの冒険(クロイツの故郷ナスカ王国へ3)

「おいおい、あいつ……声から女っぽいが、やべーんじゃねーか?冗談抜きで、ロゼッタに殺されるぞ」


「確かにな。あいつは女だろうが子供だろうが関係ないからな。このままだと巻き添えを食うかもしれないぞ!」


 過去の経験からこのまま行けばロゼッタはブチ切れて、ギルドの中だろうが周囲を巻き込んで暴れまわる事は間違いないと思っている冒険者達は、ロゼッタを止めるのではなく、さりげなく出口付近に移動して退路を確保しつつ、二人を観察している。


 ギルドの受付達も不安そうな顔をしながら二人を見ており、リサは当然その気配には気がついているが、今は目の前のゴミ(ロゼッタ)をどうやって厳しく躾けてやろうかと言う事で頭がいっぱいになっていた。

 

「テメー、舐めてんのか?」


 誰しもが想定していた通りに、無駄に凄み始めるロゼッタ。


「あなた程度がBランカーですか。偉そうに新顔にちょっかいを出す暇があれば、少しでも魔獣の討伐位すれば良いものを。ひょっとして、実力が伴わない名前だけのBランカーですか?」


 そう言いつつも、フードを下ろしてギルドカードをロゼッタの目に見える位置に出すリサ。


 辛うじて暴れずに大人の対応が出来たのは、躾について考えている時にここがクロイツの故郷であると思い出したからだ。


 師匠の故郷であるギルドを戦闘で破壊してしまっては、クロイツに合わせる顔がないと何とかグッと堪えたのだ。


 もちろんクロイツに優しく抱きしめられて頭を撫でられていた時の事を思い出して、必死に沸騰する頭を落ち着かせていた。


「あん?見た目はイケてるじゃ……ば……“白套のリサ”!!」


「「「「「え??」」」」」


 目の前に掲げられたギルドカードには、リサと言う名前とAランクと言う記載……


 そこから導き出されるのは、“白套のリサ”本人である事以外にはあり得ない。


 噂通りに黒目黒髪で見た目は若干幼さが残るものの、息をのむほどの美貌を曝け出している。


 思わず二つ名の“白套のリサ”と口に出してしまったロゼッタと、周囲で様子を伺がっていた冒険者やギルドの職員も驚いている。


 それほどAランクとは別格の存在なのだ。


 このレベルであれば即座に入国した報告が王城やギルドに入るのだが、その一報が入る前にリサはギルドに到着してしまった。


 この世界に数人しかいないAランカーの中でも“白套のリサ”は別格の強さを持っており、クロイツに続く二人目のSランカー間近と言われている存在。


 それ故に、こぞって皆がお守り代わりに白套を羽織って行動していたのだが……

 

「で、この指輪が何でしたっけ?」


 最早何も隠す事は無いので、威圧をかけながらロゼッタを睨みつけるリサ。


 流石は名実ともにAランク最上位と言われているリサの圧力を間近で受けて普通でいられるわけがなく、情けなく腰が抜けるロゼッタ。


「い、いや……何でもねー」


「何でもない事はないでしょう?私の宝物、師匠からの大切な贈り物を明確に奪おうとしたのですから、万死に値しますよね?」


 このリサのセリフで、この場にいる全員は嫌でも思い出した事がある。


 最強Aランカーの“白套のリサ”は殊の外師匠と呼んでいる人物を大切にしており、そこに悪い方向で触れてしまうと逆鱗に触れるのと同じである……と。


 良い方に触れても非常に面倒くさい事になると言う噂も同時に出回ってはいるが……


 ここにきて全ての事情を把握したこの場の全員。


 ギルドの職員は基本的に優秀であると情報が流れてきている“白套のリサ”であれば、怒りに任せてギルドに損害を与えるような事はしないだろうと言う安堵。


 周囲の冒険者は、目障りなロゼッタにお灸をすえてくれるだろうと言う期待。


 ロゼッタは、どうすれば命は助かるかと言う恐怖に支配されていた。


「私は残念ながらこのギルド、そして周辺の冒険者達にもかなり失望しています。今回絡まれたのが私だから良かったものの、恐らく既にこのクズには相当な前科があるのでしょう?何も対処せずに見て見ぬふり。聞き及んでいると思いますが、私は各国で活動しています。どこの国のギルドでも、一度もこのような悲しい出来事に遭遇した事はありませんよ?恥ずかしくないですか?」


 リサの一言で傍観していた職員、逃げ腰になっていた冒険者も表情を一変させる。


 自分達の期待が外れたばかりか、逆にその矛先が自分達にまで向かってきたのだ。


「おいで、ロロ!」


 この場の全員の表情が絶望に変わっているのを無視して、気配を消していた魔獣を呼び出す。


 そこに出てきたのは、クロイツを介してポチから渡されている狼の魔獣であるロロ。


 見た目は小さくて可愛いが、リサを除くこの場の全員を瞬殺できる強さを持っている。


「あれは……やっぱり“白套のリサ”で間違いない!」

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