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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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リサとの別れ(1)

 森の中で野営をしているある日……


「リサ、もう俺達はBランクになって暫く経った。漸く俺のアドバイスやフォローが一切なくても活動できるようになっただろう?そろそろ……自立の時じゃないか?」


 クロイツとしても、ここ数日悩みに悩んで出した結論だ。


 本音を言えば、何でも言えるようになっている唯一信頼できるリサと離れるのは非常に寂しいが、そもそもリサを救った時に自立するまで面倒を見ると言う決意で行動を共にしていた。


 相当過剰戦力ではあるが、今のリサは魔力の関係で魔法は一切使えないが、身体強化等を始めとしたスキルはAランクを軽く凌駕すると確信しているクロイツ。


 自らも冒険者として活動して行く中で理解した一般的な他の冒険者の実力から、そこは間違いないと思っている。


 唯一の心配は何者かに騙されると言った事だが、むしろ自分よりもしっかりしており、ここについても暫く行動を黙って見守っていた際に問題ないだろうと判断できていた。


 そこで自分と言う縛りから解放して好きに生きて貰おうと漸く決断した所だ。


 リサとしては救って貰った際に言われていた言葉が、自立までは必ず面倒を見ると言う言葉であったために、ついにこの時が来てしまったかと言う思いでいた。


 今までのクロイツとの生活が走馬灯のように蘇り、如何に贅沢に過ごせていたか、如何にクロイツが自分の事を考えて行動してくれていたかを噛みしめていた。


 そもそもクロイツの異能である育成によってあり得ない力をつけている事が、リサにとってはこれ以上ない程自立の手助けになっていた。


「し、師匠……私は、ずっと師匠と一緒にいたいのですが、我儘を言ってはいけませんよね。それに闇の奴隷商の件も、二人で同じ事をするよりも別々に行動する方が断然効率的ですし!」


 一生懸命前向きな考えを口に出しているリサ。


 強引に笑顔を作っているのだが、その頬には無意識の中でも涙が流れている。


 その姿を見てクロイツは心が痛んだが、自分と共にいて行動する事だけでは視野が狭くなるし、知らない世界をもっと知るべきだと言う思いで、必死で堪えている。


「そうだな。そう言えば、リサの両親を攫った犯人はまだ見つかっていないだろ?俺が見つけたらリサに連絡するし、リサが見つけたら俺に連絡しろ。その時には何をおいても必ず協力してやるからな」


 そう言いつつ手渡したのは、赤い宝石が付いた指輪。


「これはな、リサが危機的状況に陥った時には俺に直ぐ知らせが来るようになっている指輪だ。それと……これはポチからだ」


 小さな子犬に見える狼の魔獣を出すクロイツ。


「え?あの村の子じゃないですか!可愛い~!」


 あまりの愛らしさに涙が止まり、思わず抱きしめてしまうリサ。


「この魔獣はポチと繋がっているから、その魔獣を通してポチ、そして俺にも同じ魔獣がいるから、ポチを通して俺に情報を投げる事が出来る。な?だからこれから別行動にはなるが、不安はないだろう?」


 クロイツとしても完全にリサと袂を分かつなど有り得ないので、繋がりは維持したかったのだ。


 どうするかを悩んでいたところ、ポチがこの案を提案してくれたので即座に乗った。


「はい。ありがとうございます、師匠!もし仇を見つける事が出来たら、絶対に連絡しますね!」


「必ず直ぐに駆けつけるから、その時は暴走するなよ?」


 漸く本当の笑顔が出始める二人。


 リサは嬉しそうに左手の薬指に指輪をはめると、クロイツから渡された小さな狼を撫で続けている。


「そうそう。ポチ曰くその狼、普段は姿を完全に隠せるようだし、飯も適当に自分で食うらしいから、世話要らず。その上相当強いらしいから、何も心配はいらねーぜ」


「師匠!!私、頑張ります。立派な冒険者になります。なので、またいつか、一緒に活動してくれますか?」


 不安そうな表情でクロイツに聞くリサ。


「当たり前だろ!リサが自ら色々な世界を見て、それでも俺と一緒に行動したいとなったら声をかけてくれ。そうだな……Sランクにでもなったら、どうするかの判断をすると良い。流石にそのランクになる頃には、色々な物が見えているだろうからな」


 未だかつてSランクになった冒険者は存在しないのだが、クロイツから貰った力があれば絶対に到達できると信じて疑っていないリサ。


「はいっ!わかりました師匠。少し……いいえ、正直に言うとかなり寂しいですが、絶対にSランクになって師匠に会いに行きますね!」


 次があると分かった段階で、漸くいつも通りの明るさを取り戻す事ができたリサ。


「あぁ。それと、その間はあのダンジョンは俺が全て面倒を見ておく。リサは、遠くにいる場合は瞬間で来られるわけじゃないだろう?こっちは気にせず、しっかりと視野を広げてくれ」


「そうですね、ありがとうございます。でも、あの人達に暫く来られないと言う事だけは最後に伝えておきますね、師匠!」


 悲しい別れになってしまう事だけは避けたかったクロイツは、リサの態度を見て安堵する。


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