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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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闇の奴隷商人襲撃(2)

 受付からのまさかの言葉に、この場から去ろうとしていたクロイツは浮かしていた腰を落ち着ける。


「実はあの村には前々から疑惑があったのですが、今迄尻尾を掴む事が出来ませんでした。今回クロイツ様のお力で証拠も揃いましたので、襲撃する事になりました」


「それは良かったが、態々今後ブサ村の依頼を受けないと言う必要は無かったんじゃないか?」


「それは相手を油断させるためです。通常のギルドの行動から外れた対応をすれば、支部とは言えその存在は闇に消えてしまいます」


 確かに受付の言う通り、ギルドの規範に反する行為をしている村に対してお咎めなしでは怪しまれるのも当然だ。


 実際にそのような苦い経験があるのか、受付のミューテルは少々暗い顔をしている。


「それで、討伐隊も信頼のおける冒険者にしか声をかける事が出来ないのです。まず初めに登録後時間は経っておりませんが、そもそものきっかけを作ってくださったクロイツ様に声をかけさせていただいたのです」


 クロイツは受付の言葉を聞きながらもリサを見ているが、その表情に大きな変化がない事から思い切ってこう伝えた。


「リサ。思う所はあるだろうが、今後も似たような状況に陥る事もあるだろう。辛いかもしれねーがリサの故郷の対処、共に行くか?」


「はい、師匠。そもそも私には両親の記憶もありませんし良い思い出が一切ない村ですから、正直どうなっても問題ありません」


 クロイツの心配をよそに、あっさりとしたリサを見て安堵する。


「で、俺達の他には誰が行くんだ?」


「実は今選定中なのです。ブサ村の調査に向かった冒険者は信頼できるのですが、情報収集特化の冒険者であり襲撃には適しておりませんので。一応報酬は参加者全員にAランク相当の範囲内の報酬、白金貨5枚(500万円)を想定しているのですが」


 尻すぼみになるミューテルの言葉を聞いて、事実の報告と提案を行う事にしたクロイツ。


「俺がブサ村に行った時、村の中には捕らえられている人の気配は一切しなかった。この短い期間に誰かが連れられていれば話は別だが、恐らくブサ村に救出対象者はいない。それを踏まえると信頼できない冒険者と共に行動するのは多少骨が折れるので、ブサ村の一部の連中を捕縛、他の生死は問わずで良ければ俺とリサだけで引き受けるが?」


 普通であればDランカーではあるが新人のこのような言葉は検討に値しないのだが、今回の情報を与えてくれた人物であり、Bランクの魔獣二体を超短期間のうちに無傷で討伐した実績を持つクロイツの言葉だけに重みが違った。


「……私の独断では判断いたしかねます。ギルドマスターにも相談しますが、例えば前回のグレートオーガ二体の本体部分もギルドに納品して頂いていれば実績として認められて話が通しやすかったのですが……頑張って見ます。少々お待ちください」


 首は手持ちでギルドに納入して依頼達成報酬とは別に素材の買い取りとして報酬を得ているクロイツだが、受付の言う通りに確かに本体は納品しておらず、納品されれば大きな実績としてギルドに認識されていただろう事は間違いない。


 今この時もグレートオーガ二体の本体は未だ収納魔法の中にあるので、納品する事は可能だが問題がある。


 時間が経ちすぎており、そのまま討伐直後の新鮮な状態で納品してしまうと本来は相当劣化しているはずなので保管方法を追及されるのだ。


 魔獣の素材は色々な用途があり、特に心臓部とも言える魔核と言われる部分は尤も貴重で高値で取引されているのだが、この部分も当然劣化により素材としての価値が大きく下がってくる。


 そもそも高ランクの魔獣になるほど急所を狙って始末する必要が出てくるので、魔核を納品できる冒険者は稀だ。


 時間経過による価値低下にならない保管方法はクロイツが秘匿事項と決めている異能の一つである収納魔法なので、公にするわけにはいかずに黙っているクロイツ。


 その間、ギルドマスターに相談に行く為に受付は席を外す。


 個室に二人きりで手持ち無沙汰になったクロイツは、周囲の気配を探り情報漏洩がないと判断した上で自分の秘匿事項をリサに伝えておくことにした。


「リサ、丁度良い機会だから俺の能力を伝えておく。わかっていると思うがこれは信頼の証として伝えるもので、決して口外はするなよ?」


「良いのですか!嬉しいです。はい。必ず秘密は守ります、師匠。この命に懸けて!!」


 クロイツとしては命までかけて貰わなくても良いのだがと思いつつも、自らの能力を開示する事にした。


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