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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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172/214

各場所で(2)

 クロイツの来訪を知らせる使用人に対し、ベンゾンは自ら出迎えて共にハルミュレの待つ部屋に向かう。


 こちらから連絡してから到着するにはどう考えても有り得ない時間なのだが、そもそもSランク魔獣を護衛につかせ、好きに使って良いと言ってくれる尋常ではないレベルの存在なのだから、この位の時間で到着してくれるだろうと思って行動していた。


 部屋に向かう最中で二人はもう少し細かい話をしながら進んでいる。


「クロイツ様、あの店の二人が行方不明だそうで、部屋の様子から自ら失踪したか余程のプロに攫われた可能性が高いと言う状況だそうです」


「確か、対象はシシリーとアロッサーラと言ったな?俺が知る限り、失踪するような理由がねーな。もう拉致一択で動く事にする。だが……俺の姿を見られちまうか。まっ、あの二人を助けるのであれば身分がバレるくれーは仕方がねーな」


 “龍と高ランカーの集い”ではクロイツを始めリサやリージョも本物そっくりと言う立ち位置で楽しんでいたのだが、今回救出の為に力を貸すので本人であると明らかになってしまう。


「実は、彼女はもう少し何かを説明しようとしていたのですが、余程重要な事なのか話す事をためらっていた素振りがあります。ですので、そこは敢えて聞かずにクロイツ様をお呼びした次第です」


 相当な配慮が出来るベンゾンなので、言い辛い事であれば直接クロイツに話すべきと判断して敢えて席を外したのだ。


「失礼しますよ」


 再び部屋に戻ってきたベンゾンだが、一人ではなくクロイツを連れている。


「ク、クロイツ様?」


 ベンゾンと共にいるのであれば、偽物である可能性は極めて低い事は分かっているハルミュレ。


 個人的にはクロイツ推しのハルミュレなので、良く店に来るクロイツも本人と瓜二つと理解できるほど容姿も把握しており、目の前の人物も本人の可能性が高いと理解する。


「よっ、何やら切羽詰まっているみてーだな。俺達はあの店で随分と楽しませてもらった。正直、俺が少々落ち込んでいる所を助けてもらった恩もある。だから、今度は俺が力になる番だ。ベンゾンさんによれば何か言い辛い事があるみてーだから、そこんとこも話してもらえると助かるぜ」


「では、私は一旦失礼しますね。御用があればお呼びください」


 すかさずベンゾンが退席すると、ハルミュレはクロイツの話ぶりから目の前のクロイツは今迄3回程店に来てくれたクロイツなのだと理解する。


「ご本人だったのですか……」


 クロイツと話した事があるので、その時に感じた人柄から間違いなく自分の願いを聞き入れてもらえると思った安堵からなのか、言葉が出なくなるハルミュレ。


「今まで騙した様で悪かったな。だが、俺達はあの店で本当に楽しく過ごさせてもらえた事を嬉しく思っている。その恩返しをさせてくれ」


「ありがとうございます。ありがとございます……」


 少しの間ハルミュレが落ち着くのを見守ったクロイツ。


「取り乱して申し訳ありませんでした」


 流石は仲間を守る意志が強い店長だけあって、涙をぬぐって真直ぐクロイツを見つめる。


「実は、私達は赤を持たされています」


 そう言いながら項を見せたハルミュレだがクロイツの表情に変化はなく、振り返ったハルミュレも驚かれていない事に少しだけ間が開いてしまう。


「そうみて―だな。いや、気が付いていたわけじゃねーが、何か言いづれー事となれば、そう言った事だろうと思っていただけだ」


「そうですか。ですので、シシリーやアロッサーラにも相当な危険があるはずなのです。クロイツ様!あの二人を助けて頂けませんでしょうか?」


「愚問だぜ?俺は恩返しがして―と伝えたぞ?だがよ、俺が想像するに……シシリーであればあのブタ野郎(ベルヘルト)が一枚かんでいる可能性が高けーと思うが、アロッサーラは分からねー。何か心当たりはあるか?」


「私もクロイツ様と同じ要因、シシリーはベルヘルトが何かしたと思っておりますが、アロッサーラは分からないのです。恐らく……巻き添えになってしまったものではないかと考えております」


「だよな、わかった。今回リサはちょっと別件で色々動いているからよ、俺とリージョで対応させてもらうぜ?急ぐから、俺はこれでな」


 軽くハルミュレの肩を叩いて安心させた後にしっかりと扉から出て行き、少し離れた位置で待機していたベンゾンに事情を伝える。


「拉致された二人の対策を俺とリージョで行う。リサは、ちょっと今はあの町にいねーから、今回この対策に時間が取られたら、ベンゾンさんが来てくれた時には俺達が対応出来ねーかもしれねー。その際はミリアかレスレにその旨伝えてあるから、そっちと話をしてくれ」


「承知しました。私でできる事があれば遠慮なく仰ってください」


「助かるぜ。じゃあよ!」


 このまま屋敷から出て街道に入ると一気に転移してダンジョン町の自宅に直接転移しリージョに事情を話し、再びリージョと共にグアトロ王国内部に転移するが、今回は緊急事態であるため、事情はポチとミリア、そしてレスレだけに告げて町中から直接出国したのだ。


「では、私はベルヘルトの屋敷を調査してきます。仮に発見したら救出しておきますが……ポチ殿の眷属を通して連絡します」


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