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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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錬金術師協会(3)

 クロイツは、目の前の錬金術師組合の会長であるベルヘルト一行を口で脅しているが、力で抑え込むことはしていない。


 あまりにも戦力差がありすぎて、くしゃみ一つであの世に送れそうな程の存在なので敢えてこうしている優しいクロイツだ。


「そ、そんな……そうなると、市場のポーションがどうなるのか、責任をとる事になるかもしれませんよ?」


 この期に及んで口頭以外の圧がかかっていないのを良い事に、無理やり反撃してくるベルヘルト。


「は~、こんなめんどくせーのが入国してきやがって……そもそも、魔核納品前でも市場は安定していただろうが!そこまで言うなら、次回の魔核納品時にはテメーらの落札は認めねーぞ?」


「それこそ横暴ではないですか?特定の組織の入札を断るなど、あの市場が許すわけがありません!」


 数日で相当な利益を出した経験をしてしまった以上簡単には引き下がれないので粘っていたのだが、その権利が二度とないと言われて焦るベルヘルト。


「それなら、その競りに出さねーだけだ。なぁ、ベンゾンさん。競り以外に魔核をさばく方法はあるか?」


「……経費を多く取られてしまいますが、商人でもギルドに納品はできますので問題ありませんよ、クロイツ様」


 実際の所は競りの市場としても莫大な益を得る事が出来たので、一業者……錬金術師組合が魔核に関しては競りに参加できない事程度は簡単に受け入れる状況になっている。


 大前提として、この大陸に再び安定をもたらしたクロイツが治めているダンジョン町、SSランカー二人を擁するダンジョン町と錬金術師組合、どちらが重要かなど比較するまでもないのだ。


「って事だ。んじゃ、行くか?」


「い、行くとは?どこに?」


 まさかの事態に進んで頭が追い付かないベルヘルトと、同じく何も口を開けない同行してきた幹部の者達。


「あ?素材が必要なんだろ?それも、極上の魔石がよ?そいつを取りに行くんだよ。きっちりと案内してやっから、立て!」


「ま、待ってください。無理です。申し訳ありません。二度とあのような事は言いません。魔核も不要ですから!」


 椅子の上で小さくなって震えている巨漢のベルヘルトを心の底から軽蔑した様な視線で見ているこの町の人々とリージョ、ベンゾンと、あまりにも情けない醜態に苦笑いのクロイツだ。


「……はっ、今の言葉、忘れんなよ?」


 許されたと思ったベルヘルトは、高速で首を上下に動かした直後に挨拶もせずに食堂の外に向かって馬車に乗り込み、その後を慌てて他の幹部が追い、馬車は動き出す。


「全く、勝手な野郎どもだ。一応、出国するまではきっちり監視してくれ」


「承知しました」


 リージョが音も無く消え、きちんと門に向かえる様に陰ながら微調整しつつ見送る事にした。


 一行は門が見えると馬車の速度を上げてそのままの勢いでこの町を後にするのだが、初めて第三者が入国した様子を見て興奮していた門の外の人々は、何故逃げるようにこの町から去って行ったのかは全く理解する事が出来なかった。


 入国を管理している二人には情報が流れてくるので、あの一行は、次からは入国禁止と狼の魔獣と意識を一致させていた。


「ま、全く。元王族のはずが、なんですか?あの態度は!あんな野蛮な人間だから国家から追放されるのですよ!」


「ですが、事情はどうあれクロイツの怒りを買ってしまったのは間違いないですわ。そうなると、あの町の魔核を直接管理する事は二度とできないでしょう。ひょっとしたら、競売の参加も認められなくなるかもしれないわ」


「そんな事があってたまるか!我ら錬金術師組合無くして競売が成立するわけがないだろうが!」


 ダンジョン町が視界に入らない程の距離まで来てから、馬車の中では無駄に息を吹き返したベルヘルト一行が勝手な事を言っていた。


「それに……だ。本当に万が一競売参加が認められなかったとしても、第三者に依頼して競り落とせば良いだろう?」


 クロイツがこの程度の対策をしないわけがなく、今後ダンジョン町の出展品に関しては、有り余る力を無駄に使用して第三者との繋がりまで調査していた。


 一月後にベンゾンが持ち込む二度目の魔核の競売に参加拒否を言い渡された錬金術師組合は、保険として会場に第三者を潜らせていたのだが、何故か運営から参加を拒否された。


「おい、何故あの男が競売に参加できんのだ?我ら組合だけではなく一般客(・・・)まで締め出すとは、どれほど無礼な競売だ!」


 ベンゾンが魔核を出展するとの情報を掴んでいたベルヘルトはこの会場に来ていたので、運営に食って掛かるのだが……


「あの方は、錬金術師組合からの依頼でこの競りに参加されているからですよ、ベルヘルトさん。出展者であるベンゾン殿、ひいてはクロイツ様からの指示で組合関係者は魔核の競りには参加できないのです」


 あっさりと奥の手までも看破されてしまい、その行動の悪さが明らかになった事もあってかダンジョン町の素材、鉱石を含めて一切の競りに参加できなくなった組合だ。


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