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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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錬金術師協会(1)

「全く、あさましい連中が屯しているようですね」


 錬金術師組合幹部一行はダンジョン町に続く街道を只管進んでいたのだが、漸く目的地が近くなってくるにつれて人が増えている事に気が付いた。


 この人々は、以前からダンジョン町に群がっている戦力を底上げしたい冒険者や利益を得たい商人、権利を独占したい貴族等……確かにあさましい連中であるのだが、自分達はその中に含まれないと思っている。


 ある程度入国は難しいとのうわさも流れているので、門の前に長蛇の列が出来ているわけではなく、周囲で審査を受けている様子を見ている者が多数いる。


 彼等は、第三者がダンジョン町の厳しい審査を通過したのであれば、その様子を参考にしようとしているのだが、今の所はそのような一行はいない。


 ベンゾンのように認められている商人は、門の前で対応しているミリアかレスレに一声かけるだけでダンジョン町の中に入ってしまうのだ。


「なるほど。噂通りに入国は相当厳しいのは想像通りですが……」


「赤の紋章の事もあるでしょうが、確実に権益を確保するべく余計な情報を第三者に漏らさない対応かもしれませんね」


「それであれば、私達がしっかりと管理すると教えれば簡単に入国できそうですわ」


 審査自体はそう時間がかからずに、その全てがことごとく入国できずにはじかれているので、直ぐにこの一行の番になる。


 改めて対応しているミリアとレスレの前で馬車を止めて二人を見ると、その背後にはSランク魔獣のポイズナックが見え、その位置から街中が少々見えるのだが、やはり中にも同じようにSランク魔獣が闊歩しているのだ。


「これほど……これであれば、あの魔核は毎日でも得る事が出来ますわね」


 魔核だけを直接生成できるなどとは知らない彼らは、完全に制御されている魔獣から直接魔核を摘出したのだろうと考えており、この場所から目に見えるだけでも相当数のSランクの魔獣がいる事から、これから得られる益が跳ね上がる事に喜んでいる。


「私達は、グアトロ王国錬金術師組合の者だ。今回この町から納品された魔核を競り落としたのだが、この件について少々話をさせて頂きたい」


「話ですか?リージョ様とベンゾンさんの報告によれば、競りに出展が認められた時点で何も責任は発生しないと聞いておりますが?」


 既にダンジョン町に帰ってきている二人からの情報は共有されており、クレームかと思ったミリアは、責任はないはずだと先制攻撃を入れておく。


「いやいや、クレームなど、とんでもない。見た事がない程の極上品だった。それを踏まえて少々話をさせて頂きたいのだが?」


 入国審査を任される立場になってから初めての事なのでどうすべきか悩むミリアと、その話を隣で聞いていたレスレも即決できずにいた。


「ミリア、あの子(狼)が反応していないので……」


「そうですね。分かりました。では、あのポイズナックの後に続いて下さい」


 狼の魔獣は、目の前の男からは悪意を感じていないので反応していないのだが、それは当然で、男、男達は純粋な親切心からこの町の魔核を一手に管理してやろうと言う思いでいるのだ。


 まさかそこまで自分勝手な事を想うような人物がいるとは思えない魔獣では、この短い時間の会話からその部分まで考慮する事などできはしない。


「おぉ、通りやがった!」


 門の外からは、この様子を伺っていた面々が大騒ぎをしており、錬金術師協会とミリアの間でなされた会話から状況を把握して、自分達が入国できるにはどうすればよいかを必死で検討している。


 一方の入国を許可されたのは当然と思っている錬金術師組合の一行だが、まさかSランク魔獣の先導について行くとは思っておらずに少し腰気引けているのだが……上手く気配を調整しているのか、ポイズナックに対して馬が怯える事は無かった。


「やはり相当……見た事のない魔獣まで居ますね。それに、想像以上に栄えている事は間違いない。当然この環境を維持するのは相当資金が必要でしょう」


「私達がしっかりと管理する事が互いに有益と言う事ですわね」


 実際は健康の為と言う事もあって体を動かすべく自給自足のような生活をしているのだが、建屋を始めとした地上の町並みは、少し前に各国から職人を高待遇で迎えた事から相当立派な創りになっている。


 維持に関しては創りが良い事や出来立てである事から特に何かをしているわけでもないので、彼等の言い分は大きく的を外している。


 錬金術師組合幹部でなく現場の人員がこの場にいれば、何人かはこの町の建設の手伝いをした人物がいるはずで、正しい知識を得る事が出来ていたはずだ。


「キィ」


 やがてポイズナックは人々が食事をする食堂兼宿泊場の前まで行くと、振り返って一鳴きする。


「どうやら着いたようですね」


 馬車から降りて中に入ると、そこにはクロイツ、リージョ、そしてベンゾンが一つの机に座っており、遠巻きにこの町の住民が座って食事をしていた。


「クロイツ殿、リージョ殿、始めまして。私はグアトロ王国錬金術師組合会長のベルヘルトです」


 あえてベンゾンの名前だけを除いて挨拶するベルヘルトだが、クロイツ側としてはダンジョン町に対しての話であればベンゾンは第三者と言えなくもないので、とりあえず当たり障りのない挨拶をして着席を促した。


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