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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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初競り(2)

 まさかの競りの参加前に赤の紋章を見つけてしまい、急遽対応したリージョはその女性と共にベンゾンの元に戻る。


「ベンゾンさん。競りは楽しみでしたが、見学は次回にさせて頂きます」


 ベンゾンも事情は把握しているので理解を示したのだが、まさかの女性から異議が出た。


「あ、あの……助けて頂いてありがとうございます。その、本当にリージョ様である事は、私も冒険者カードを見させていただきましたので理解しています。なので……是非競りの見学は行ってください。私の為にそこまでして頂かなくても良いので……」


 そうは言ってもと言う思いがリージョにはあるのだが、救い出された事に恩義を感じている女性の気持ちもわかるベンゾンは、急遽もう一席準備して自分とリージョの中間にその女性を座らせる事にした。


「これを食べていてください」


 食べやすく栄養のある食事まで準備して見せたベンゾンの手際の良さに感心しつつ、当初の予定通りに競りを見学する事になったリージョ。


「さぁ、始まりますよ!皆さん準備は良いですか?」


 威勢の良い掛け声とともに競りが始まる。


「先ずは、この短剣!魔力を纏いやすく加工された逸品です。白金貨2枚(200万円)からスタート!」


 口々に参加者が値段を言っているのを聞いているリージョ。


「ベンゾンさん、その……製品の信頼性はあるのでしょうが、どの程度魔力と親和性があるのかまでは紹介が無いのですが、これで競りが成立しているのが不思議で……」


 魔力と親和性が高いと一口で言っても、やはり大きな差はある。


「そうですね。私達は最後の方での参加でしたから……間もなく資料が届くと思いますよ」


 実はこの競り、参加者に製品の詳細情報が記された一覧が提供されるのだが、最後の方で急遽参加した為にまだ資料を渡されていなかった。


「どの道、今回私の出品情報が加えられた資料が参加者に再配布されるので、もう少しだけお待ちください」


 ベンゾンの説明通りに、やがて前方から大量の資料を持った者が参加者に配っていたのだが……その資料に目を通した者達から競りの最中にもかかわらずどよめきが起き、中には慌ててこの会場から出て行く者までいたのだ。


「どうやらSランクの魔核の項目を見たようですね。私でも動揺してしまいますから、このどよめきは仕方がないですね」


「そうかもしれませんが、何故会場から出て行く者達がいるのですか?」


「あぁ、それは資金調達か、自らの主人に今回の魔核について説明して、上限金額の確認を行っているのだと思います」


 ベンゾンの説明に納得して成り行きを見守っているリージョ達の手元にも資料が配布され、確かに最終ページに大々的にSランク魔核(極上)との記載と共にクロイツが治めるダンジョン町から入荷されたとの説明が記載されており、写真のようなものまでついていた。


 他の品々にも写真のようなものと詳細な説明が記載されており、最初に競りが行われた短剣にも使用されている材料や作成した鍛冶師の名前まで記載されている徹底ぶりだ。


「これならば、確かに全てが理解できますね」


「そうなのです。ですが、全てがこれほど詳細に記載できるわけではありません。例えばダンジョンから冒険者が持ち出してギルドに販売し、それを第三者が入手して競りにかけたとするならば、詳細を追えなくなるのです」


 基本的に冒険者はギルド以外に素材等を納品する事は出来ないので、一度ギルドを通した製品群の詳細は性能のみになってしまう。


 ギルドとしては重要なのは性能であると言う事なので、こればかりは仕方がないだろう。


「ギルドで買い取った素材も、基本的にはこの競りにかけられるのですか?」


「あまり冒険者ギルドは詳しくありませんので大した情報ではないですが、一応冒険者に卸す事もしているようです。素材によっては錬金術師や鍛冶師にも直接卸しているようですね。ですが、基本的には大半が競りにかけられているはずですよ。まぁ、ギルドもこの競りの元締めも必ず製品は鑑定していますから、性能は保障されていますので……」


 リージョは素材やらをギルドで購入した事も無ければ、競りに参加した事も無いので詳しく知らなかったのだが、そう言う事らしいと納得する。


 やがて小一時間が経過しベンゾンの予想通りに最終競りが行われており、ダンジョン町の鉱石も有り得ない金額で落札されたが、やはりメインは……魔核だ。


 事前に納品時の注意事項を伝えていたのだが、資料にも大々的に記載されているとともに、進行役も改めて注意事項として説明してから競りが始まる。


「本日最後の競りになります。Sランクの魔核、極上品。正直私は長くこの業界にいますが、これほどの逸品を見た事がありません。恐らく皆様もそうでしょう。かなり前にギルドから同じような魔核が競りに出されましたが、アレは分割された状態でしたからね。では始めますよ?最初はSランクの依頼達成相当の虹金貨1枚(1千万円)からスタート!」


「虹金貨50(5億円)」


 初めから飛ばしている人物がいて、リージョとしては一声で決まるのかと思いきや……そうではなく、その勢いのままに誰しもが値を吊り上げて行く。


「さぁ、他はいらっしゃいませんか?極上品、次にいつ入手できるかは全くの未定でございます。現在虹金貨500枚(50億円)、如何ですか?」


 流石のリージョも唖然としていたのだが、同時に今迄ポイズナックやらの高ランク魔獣をほぼ無傷で納品した際にはこれほどの金額はつかなかった事を思い出して、相当ギルドに儲けさせていたのだなと思っていたのだが、ギルドも人件費が必要になるし、冒険者への各種補償も行う経費が必要なので仕方がない事か……と納得している。


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