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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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ダンジョン町での生活(2)

 ポチが行商人に販売する素材の一つとして準備したと言っている魔核とは、魔獣の心臓部にあたる物質であり、人族にとってみれば武器や魔道具、種類によっては回復薬の素材、更には高級なエネルギー源にもなる万能素材で非常に重宝されているのだが、当然ランクがあり、元の魔獣の存在が上位であるほど貴重であり高価な値が付く。


 高ランクのダンジョンを管理しているポチであれば、どれほど高位の魔獣の魔核であろうがそのもの自体を作成する事が出来るのだ。


「そりゃー良いや。で、どの程度の魔獣のレベルの魔核を準備したんだ?」


『え?ポイズナックが作れる魔核だけど……』


 ダンジョン町に住む人々の為、行商人に売るための魔核を準備したと宣言したポチと話をしていたクロイツ達だが、その準備された魔核がSランク魔獣に対応できる魔核だと言うので悩みだす。


「なぁ、ポチ。そう安易に高レベルの魔獣の魔核を出しちまうとな?場合によってはあの行商人が道中で襲われちまうぞ?ただでさえこの町に続く街道はさっきの冒険者みてーな連中で溢れちまっているからな」


『え~?ポイズナック相当でもダメなの?う~ん。僕のダンジョン……クロイツ様のダンジョンで弱い魔核を作るのは難しいんだよね』


 実際に魔核生成作業をした事が無いクロイツ達ではわからない内容なのだが、確かに自分も力を得た後に相当力を抑えて作業したり戦闘したりする事は非常に難儀だった事を思い出して共感している。


「そっか。じゃー今回は仕方がねーか?」


「しかし、師匠。その魔核を販売した後に、購入者から行商人の方に対して次の納品はいつかとせっつかれる可能性がありますよ?」


「そうですよ。その上、定期的に魔核を卸すとなると、それこそ師匠の言っていた道中の危険が増しますし……難しいですね。例えば月に一度だけ納品して、その際には私かお兄ちゃん(リージョ)が護衛につく……とかですかね?その際に、例の人達(・・・・)と接触できれば良いのですが」


 二人のSSランカーが対応策を考えている中で出てきた“例の人々”と言うのは、以前ゼリア帝国の騎士であるミュラとクロイツが接触した際、一度目の遭遇時にミュラは負傷しており、二度目の接触時にその負傷は自らの組織と敵対していた勢力によるものだと伝えられており、その対象の事を言っている。


 この敵対勢力と言う情報について、ナスカ帝国の負の遺産についてリーナに問い詰めた際に改めてリーナやミュラにも聞いてみたのだが、その詳細が分からなかったのだ。


 時折赤の紋章を運搬している際に襲い掛かられて、時には敗北して連れ去られたと言うのだから、クロイツ達としてはまだ救出できていない赤の紋章がいるのではないかと考えていた。


 闇の奴隷商の敵対勢力と言ってもクロイツ達と同様に赤の紋章を救い出している可能性もある為に、この時点では敵と断定せずに調査する方向にしていた。


「ですが、今の我々に見つけられない場所に匿っているとは……酷な話ですが少々考え辛いです」


 リージョの言う通りだが、今尚普通に赤の紋章を持つ人々が市中にいる事も事実だ。


「まっ、希望は捨てずに行こうや。例えばよ?俺はクソ寒みぃ~山なんかは調査していねーし、行っていない所……調査していねー場所は山ほどあるはずだ」


「そ、そうですね。そうですよお兄ちゃん(リージョ)。それじゃあ師匠、私達も時折遠出して調査する必要がありますね?」


「その通りだ。だが、この町の住民は一気に増えたからな。そのフォローと生活費……はポチの準備した素材を行商人に販売するのである程度はどうにかなりそうだが、今の話で行商人の対応、それと町の安全を考えると、俺達が全員この場を離れるってーのは賛成できね~よ」


「それは私もそう思います。ですから、私とリサが交代で外部に出向き調査をする事、残りが商人の護衛、最後に師匠がこの町の対応と言う事で如何でしょうか?」


「そうしましょう。お兄ちゃん(リージョ)の案に賛成です!」


『僕もきちんと守るよ~』


「そうか。結果的には二人の負担が多い気がするが、それで行くか。だが、無理はするなよ。それと、必ずポチの眷属は連れて行け」


 行商人に販売している人々を見ながら会話をした結果、今後の行動指針がある程度確立された三人とポチ。


「今回の魔核は少々高価なもので特別と言う事を伝えるとともに、販売先にもその旨確実に説明する為に私が同行する事にします」


「じゃあ、私は少し遠くを調査してきます。あの行商人の人が向かう先って……グアトロ王国ですよね?護衛となると行きは5日位かな?お兄ちゃん(リージョ)も気を付けてね!」


「「行ってきます、師匠、ポチさん(殿)」」


 直後にリサとリージョは防壁の上から消え、リージョは行商人の近くにいて護衛や魔核についての説明を始め、リサは既にこの町からグアトロ王国方面とは逆方向に向かい、通常では視認できない場所まで移動している。


「じゃあ俺は3階層と4階層の様子を見てくるからよ、引き続きこの場所は頼んだぜ、ポチ」


『うん。任せて、クロイツ様』


 通常ではあり得ない程の身体能力を誇るクロイツとSSランカー二人だからできる即断即決で、再び動き始めたのだ。


 クロイツは地上に飛び降りて歩き自宅隣にある3階層直結の入り口から中に入るのだが、あえて目立つように行動して、町の人々にその存在を認識してもらい安心してもらっているのだ。


「ゼリア帝国からの人達は……流石に魔獣にはなれた頃だろうな」


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