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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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ダンジョン町とシス連合国

「で、クロイツ殿。あの町の名前は何と付ける予定なのかな?貴殿の案を是非とも教えてもらいたい。小生の方から各国に通達しておきたいと思っているからな」


 ゼリア帝国の帝都にある豪華な一室で、この国の皇帝アソールと会話をしているのはクロイツ。


「な、名前……か。何も考えていなかったな」


「いやいや、それはまずいだろう。もう町は完成したと聞いているぞ?名前が無ければ、あの町やらこの町やらと言われるだけで知名度は上がらずに認知され辛い事になる。最終的には交易や人材確保の面で非常に苦労する事になると思うが?」


 皇帝アソールの言っている事は正しいのでグウの音も出ないクロイツ。


「た、確かにその通りだが……正直何も考えていなかったからな。後追いじゃダメだろうか?」


「いやいや、それもまずいだろう。町と言う規模とは言え一つの自治を持った地域が誕生するのに、名前はまだ決まってませんではどうしようもないと思うが?」


 クロイツは、さしあたりダンジョン内部で生活をしている面々と少数の信頼できる者のみを町に住まわせる事にしていたので、敢えて名前は決めなくとも問題ないだろうと甘い考えをしており、もう間もなく町が完成すると言う挨拶を隣接しているゼリア帝国の皇帝アソールにしに来ていたのだが、想定以上にダメ出しをされて少々凹んでいる。


「全く持って反論の余地が無いな。わかった。今決めよう……良し!あの場所はダンジョン町だ!」


「……」


 あまりこう言った事に対して高い能力を持っていないクロイツは、ダンジョンから派生しているのでダンジョン町と言う安易な名付けを行って目の前の皇帝アソールから冷たい視線を向けられているのだが、どう頑張っても別の名前など出てくるわけもなく押し切るつもりでいる。



「クロイツ殿、本当にそれで良いのか?小生としてはもう少し何と言うか、あまりにも安直……ゴホン!斬新すぎて別の名前の方が良いと思うが?規模故に町と名乗っているが、国家としての立ち位置と変わらないのだから、品格と言うか威厳と言うか……」


「いやいや、分かり易い名前の方が覚えてもらいやすい事は間違いないぞ!」


 もう力技で押すしかないと強引に取ってつけたようなメリットを強調するクロイツと、元とはいえ王族であるクロイツがあまりにも自信満々に言い切るので、そう言ったものなのだろうかと丸め込まれ始めている皇帝アソール。


「……そうか。まぁ、小生にはあの場所をどうこう言う権利はないからな。クロイツ殿が良ければ良いのだが」


「んじゃ、そう言う事でよろしく頼む」


 少し日和った皇帝アソールの隙をついて完全に押し切る事に成功したクロイツは、この話題は避けるべきだと即座に別の話に移行する。


「そうそう、ゼリア帝国はダンジョン町のお隣さんなのでダンジョン内部の資源は少々融通できると思う。既にご存じの通り俺の異母姉が治めてくれているナスカ王国にも融通するが……互いに上手くやって行けたらと思っている。当面こっちの住民はあまり外に出る事は無いと思うが、仮に出たとしても陰ながらダンジョンの魔獣を護衛につかせる。ないとは思うが、赤の紋章である事を良い事に支配下に置こうとした場合には、その人物は立場がどうであれ事情を聞かずに処分するから、その旨だけはきっちりと周知しておいてもらえるとありがたい」


「当然だな。改めて周知はしておこう。ところで、最近はSランク魔獣を見る事が無くなったのだが、ナスカ王国の“深淵の森”でも同じ状況と聞いている。国家としてはありがたいが、何時同じ状況になるのか戦々恐々としていると言うのが本心なのだが、そのあたりの情報はあるのだろうか?」


 ポチからはSランク魔獣がこれほど一気に見られるのは、他のダンジョンの支配者が情報収集をしている為ではないかと聞かされていたクロイツだが、どこまで説明すれば良いのかわからないので曖昧ながらも安全であると主張する。


「ん~、想像ではあるが、もう大丈夫だと思う。それに、何かあれば俺達の誰かが助けるから問題ない」


 以前も同じように安全を担保すると言われているが、一つの自治を持つ町の長としての立場で再度確約された事に安堵する皇帝アソール。


「そう言ってもらえるとありがたい。何せ冒険者や商人達も未だに不安がっている者が多数いるからな。そこにクロイツ殿のお墨付きがあれば安心して活動してもらえるだろう。そうなると、次に不安なのは魔獣ではなく国家だな」


「はぁ?またドレアのようなクズが治めている国家があって、粉をかけてくるって事か?」


「まだそうだとは言い切れないが、今までは我らが取るに足らないと思っていた小国が纏まったようで、動きが掴めないのだ」


 皇帝アソールが次の心配の種になる可能性があると言っているのは、丁度クロイツが治めるダンジョン町を境にゼリア帝国とは逆に面している小国群が纏まりシス連合国と名乗った国家だ。


「初めて聞くな」


「それはそうだろう。名乗りを上げてまだ一日しか経っていないからな。場所はダンジョン町の背後と言えば良いのか?我がゼリア帝国とは真逆の位置にある小国の群れ、いや、今では立派な大国と言えるのか?何せ建国宣言から一日なので、何も情報が無いのだ」


「あのあたりの国か。あそこからも赤の紋章を助け出した事はあるが……それ以外には目が向かなかったから状況がわからないな。町に戻ったらリサとリージョにも聞いてみよう。不穏な情報があれば別途連絡する」


「そうしてもらえるとありがたい」


 こうして目的外のありがたくない情報を仕入れて町に戻るクロイツは、堅牢な防壁に囲われた町の外に転移してきっちりと門から中に入り、人族の門番と普通では見えない状態になっている狼の魔獣のチェックを受ける。


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