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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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SSランカーへの道(1)

 予定通りに作戦を実行すべく、慎重に赤の紋章をつける事ができる人材をリベラ王国に集結させている闇の奴隷商と、Sランク魔獣を始末するべく向かっているナスカ王国の国王であるドレア・ナスカとアルファ、ガンマ、デルタの近衛騎士三人。


 闇の奴隷商の商会長であるリーナは、ナスカ王国の王城で作戦成功の吉報を待っている状態であり、まさか実の兄であるSランカーのクロイツに狙われているとは夢にも思っていない。


 いくらクロイツの実力が高くとも、現時点で確実にゼリア帝国で活動していると言う情報が入っている事も安心材料の一つだった。


 同じくSランカーである“白套のリサ”や“黒套のリージョ”も間違いなくリベラ王国に向かっているはずだと言う報告が上がっている。


「今回の作戦が終了したら、再び潜る必要がるかもしれませんね」


 私室で、今回の作戦によって相当資金を溜めた後に再び組織としての活動を抑える必要があると呟くリーナ。


 <傀儡>によって周囲を好きに動かせる状態になるので、何かを相談する事も出来ずに一人で決定する事が常になっている関係で、何かを考えていると問いかけるような形で一人呟く事が多くなっていた。


「いや、その必要はね~だろ?」


「どう言う事ですか?」


 無意識で聞こえてきた声に反論するのだが、瞬時に異常が起きたと気が付いて声のした方向に振り向くと共に、闇の奴隷商の護衛が音もなくこの場に現れる……のだが、その全ての意識が無いような形でピクリとも動かない。


「ク、クロイツ……何時の間に?」


「いや、悪いが結構前から居たぞ?気配を消してお前の事を護衛している連中もとっくに意識を奪っていたが、お前の独り言がおもしれーから俺がそいつらの気配を消しておいてやったんだ」


 有り得ない事を言ってはいるのだが、史上初のSランカーであり弟子を難なく短期間で二人共Sランカーに引き上げて見せたクロイツの力を侮る事はしないリーナ。


 即座に<傀儡>をクロイツに使用する。


 リーナもクロイツを一気に支配下にできるとは思っておらず、少しでも影響下に入れば継続的に術を行使し続ける覚悟だったのだが、何故か術が発動した気配がない。


「おい、無駄な事は止めろって。<傀儡>なんざ、俺がとっくに剥奪しておいてやったからよ」


 誰にも伝えていないスキルの名前をあっさりと暴露され、剰え剥奪したと伝えるクロイツに流石のリーナも思わず呆れてしまった。


「何を言っているのか、偶然私のスキルを言い当てたからって良い気になるのもそこまでですよ?そもそもスキルの剥奪などできる訳もないでしょうに。この時間で更に<傀儡>の影響が浸透するはず……」


「だ・か・ら!もうお前はスキル何てねーんだよ。ったく、ホラよ!」


 とある魔道具をリーナに投げるクロイツだが、リーナもその魔道具自体は有名であり、その効果は知っているので黙って受け取るが、罠が無いかを確認する為に慎重に鑑定している。


「そんな魔道具に罠なんてつける訳ねーだろ。俺にメリットがねーよ。今すぐにでもお前を潰す事もできるのにしないのがその証拠だと思わねーか?」


 どう見ても戦闘力ではかなわない状態であり、身の安全を確保するべく配置している部隊も無効化されているので黙って魔道具を起動するリーナ。


 その魔道具に手を付けて魔力を通すと盤面に文字が浮かんでくるのだが、そこには<鑑定>と言う文字だけであり、今まで自らをこの<鑑定>のスキルで鑑定していた時に出ていた<傀儡>と言う文字は見当たらなかった。


 本来リーナはこの鑑定の魔道具を使わず共自分のスキルを鑑定する事はできるのだが、少し前に日課の鑑定を行った際に<傀儡>がない事には気が付いていたのだが、恐らく<鑑定>そのものの調子が悪いと言う事なのだろうと逃げていた、


 そこに鑑定の魔道具であると鑑定した物を使って再び明らかになってしまう<傀儡>の喪失。


 今後自分が闇の商会長である為に絶対に必要なスキルが失われてしまった事に動揺を隠せない。


「ク、クロイツ。私のスキルを返せ!」


「はっ、何を言っていやがる。テメーに人生すら奪われた人が無数にいるんだ。スキルの一つ程度でガタガタ言うんじゃねーよ!」


 戦闘としては全くの素人であるリーナは、クロイツの少しの圧で腰を抜かして何も話せなくなり、その姿を見たクロイツは圧をかけつつ続ける。


「お前の今後の態度で、将来が決まる。よ~く考えてから答えるんだな。先ずはふざけた奴隷商の幹部連中についてだ。ミュラやベータを始めとして一部は捉えているが、今この大陸にいる連中を全て教えろ。っと、ミューテルはもう知っているから必要ねーぞ」


 商会として行方不明になっている面々は一部クロイツ達に始末されたと思っているのだが、まさか近衛騎士であるベータまでも捕えている(・・・・・)状態だとは思わなかったリーナは、もう逃げられないと思い情報を話す。


 スキル<傀儡>が無ければ何の力もないただの少女なのだから、クロイツの圧と力に抗う術は持ち合わせていなかった。


「はっ、相当だな!わかった。そいつらを個別に潰しに行くのは面倒だ。近いうちに緊急会合と言う体でここに集めろ。それと、今現時点でテメー等が把握している赤の紋章はいるか?」


「そ、それは一人もいません。市場にもいなくなりましたし……」


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