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元王子クロイツとその弟子達の軌跡-史上初のSSランクを従える男-  作者: 焼納豆


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闇の奴隷商の動き

レビュー、ありがとうございました!嬉しいです!

本作は、完結保証です。

 ギルドでは相当騒がしい事になっているのだが、一歩外に出て大通りを少し外れれば誰もいない薄暗い場所がある。


 そこに佇んでいるミューテル。


「ハイポーションの購入量は、計画通りかしら?」


「はい。ですが今は市場に在庫がなく、追加の購入は無理な状況です」


「大丈夫よ。丁度今日素材が入手されたから、間もなく流通するわよ。それも全て買い漁っておきなさい」


 Sランク魔獣が多数目撃されている為に身の危険を感じているのは、冒険者や一般市民だけではない。


 闇の奴隷商もその対策としてハイポーションを商会長の命令で買い漁っているので、必要以上に需要量が急増している。


 ミューテルの指示を受けて消えていく黒尽くめの男。


「ギルド受付として彼等の担当になるのはもう無理ね。だとすると……やはり組織の一員として動いた方が良いのかしら?そうなるとあの三人は確実に敵。どうしましょうか」


 ミューテルは身の危険がある組織の一員としてではなく、ただのギルド受付としての人生も考えていたのだが、その計画は初手から躓いている。


 結局再び組織の一員、幹部としての立ち位置で活動する事を決めてクロイツ一行をどう始末するべきかを思案するのだが、有り得ない成果を目の当たりにしているので手を出す事はできないと言う結論に至ってしまう。


「上手く行かないわね」


 愚痴を零しつつも無料で飲み食いできるギルドに戻っているところは、流石と言うべきか、図太いと言うべきか……


 一方の商会長である王族のリーナは、闇の奴隷商としての活動が長期間にわたってできていない事に焦りを覚えている。


 収入がなくなり組織を維持する出費だけが嵩み、最近のSランク魔獣対策でハイポーションを買い漁っている事から資金が枯渇し始めたのだが、対策としてできる事は限られている。


 危険を承知で活動を再開するか、自らが支配下に置いているナスカ国家の資産を奪うかだが、ナスカ王国も少し前にポイズナックの危機によって資産が目減りしているので、長く活動を維持する事は出来ない。


 実はクロイツ、ナスカ王国が王族や関係者以外が出国してすっかり孤立していると言う噂を掴んだ際に、王族としての義務を果たさずに国家を衰退させた罰の一つとして宝物庫の中身を、転移を使って追加で相当数没収していた。


 宝物庫に入った事のなかったリーナは、完全な状態を知らないのでその中身の少なさに呆れはしたものの、驚く事はなかった。


 こうなると選択肢は一つになり、活動を再開する為にはリスクを軽減するべく大陸中を危険な状態に陥れる必要がある。


 最も手っ取り早い手法は、他国への侵略……と言っても、必ずしも自の国家が向かう必要はない。


 その騒動の中であれば赤の紋章を作りやすく、赤の紋章の需要は今以上に急増する事は間違いない。


 更に最大の脅威であるクロイツ一行も、多方面で動く組織の全てに対して対処はできないはずであり、各国家が混乱状態に陥る騒動を起こす事にした商会長のリーナ。


「幸か不幸かSランク魔獣が散見されている今、その魔獣を各国にけしかけるようにできれば……ナスカ王国が仕掛けなくとも混乱に陥れる事もできるはず」


 商会長はこう呟き、各国のある程度の位置にいる者達に一斉に指令を出す。


 ギルドで大宴会が終わった翌朝の早朝、少々痛む頭を押さえながらもミューテルはギルドの外に出て、奴隷商の連絡係から一つの書面を渡される。


 これは商会長からの指示であり、ギルドと言う組織に職員として入り込んでいる幹部のミューテルにも指示が来ている。


「……なるほど。三人のSランカーを個別に活動させている間、周辺国にSランク魔獣をおびき寄せる……と」


 内容を確認した後に書面を焼却すると、指示を実行するべく痛む頭を押さえながら調査を始める。


 ギルドには、各国のギルドに寄せられた情報を総本部に報告する義務があり、逆に他国にあるギルドが報告した情報も、公開した場合に国家の危機に繋がると言った危険な情報でない限りは全て共有されている。


「本当に相当数のSランク魔獣が発見されているのね。でも、そのほとんどに討伐依頼が出ていない……いいえ、どうせ誰も受けられないと思って出されていないと言った方が正しいのかしら?」


 そう呟きながらも、なるべく近い場所に複数のSランク魔獣の発見報告がある場所を探すべく情報を精査し続ける。


 単体の魔獣の討伐にクロイツ達を向かわせてしまった場合、昨日のリージョのように瞬殺して帰還してくる可能性さえあるのだから、勝てないまでも相当魔獣の対処に時間を取られる状況にしなくてはならない。


 付け加えるならば、その騒動によって近隣の町に魔獣が避難するか、最良は混乱して襲い掛からせる必要があるので、非常に厳しい条件に合致する場所を探す必要が出ている。


 必死で探す事数時間、目撃情報の場所に魔獣が停滞している可能性は低いのだが、今の状態ではこれ以上の場所は見つけられないので、早速動くミューテル。


 その場所は自分自身の安全も考慮してゼリア帝国からは離れており、且つ商会長がいるナスカ王国近隣でもない場所……異動前に自らが働いていたギルドがあるリベラ王国に決定した。


ブクマや評価頂けると、嬉しいです。

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