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時風高校探偵倶楽部の活動報告  作者: 也麻田麻也
第一章 94盗難事件
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下着の行方

 ボタンはゆっくりと焦らすように外されていき、今では下半分まで外されていた。


「おや、良い腹筋ですね。鍛えているですね」

 クラスメイト達が日向の言葉に合わせるようにキャーと黄色い声をあげる。


「おい、マジで止めろ。止めてって。ちょっ、おいルーム長なに携帯向けているんだよ。ねえ、写メはやめて。止めてって」

 ルーム長は残念そうに向けた携帯を下げた。ルーム長につられたのか、他に携帯を向けていた女子も残念そうに携帯を下げる。


「恥じらう水澤さんも可愛くて良いですね」

 金井はこの状況を楽しむかのようにクスリと笑った。


 恥じらうに決まってるだろ。日向は背伸びし今度はシャツのボタンを上から外し始めた。150ないような小柄な体格では外しにくいようで苦労していた。

「高いし固いです。むー、自分のならぱっぱっと外せるですが」


 俺は首を揺すり、更なる抵抗を試みる。とはいっても外しにくさが少し上がる程度の抵抗だが。


 幼稚園生の子供じゃないんだ、ボタン一つ外すのにそこまで時間はかからないだろう。


 そこでふと、自分の思考の何かが引っ掛かった。

「……幼稚園……」


「誰が幼稚園生ですか。屈辱です。写メとるです」

 自分の事を幼稚園生と言われたと思ったのか、日向は語気荒く叫んだ。

 すると、下げられていた携帯がまた上がり俺に向いた。


 中にはシャツを片手で押さえながら撮影を試みるものもいた。見せたくないけど取りたいと言う複雑な乙女心が現れていた。


 もはや隠してはいない金井とは大違いだ。そう思ったときにふと疑問が湧いた。


「金井!」

 背後にいる金井を呼ぶ。


「はい。なんですか?」

 俺が金井と話をするのが分かったのか、日向はボタンを弄る手を止めた。


「俺が来る前も体育の時はスポーツブラに変えていたのか?」

 来る前とは転校してくる前と言う意味だ。


「はい。ずっと変えていますが」


「だったら……今日の着替えがいつもより遅かったのはどうしてなんだ?」


 俺の質問に金井はピクリと揺れた。

「それは……あっ……」

 

 金井が何かに気付いた声をあげると、ガラガラと、扉が開けられた。


「いやー体育最高だねー。無回転のコツつかんだし、次はバンバンシュートを決めれルぞー」

 教室の雰囲気等お構いなしに茜は中にずんずん入ってくると、俺を指差し言った。

 しかし誰もその言葉には反応せずに、指差す茜の手に握られたものを見ていた。


「あら、私のブラジャーですわ」


「やっぱりかー。トイレにかけてあったよー」

 木ノ実は持っていたブラジャーを広げた。

「こんなでかいのは祥子のかと思って持ってきたよ」


「うっ」

 と、足元で月城は声をあげると鼻を押さえた。どうやら刺激が強すぎたのか、月城はポケットを探りハンカチを取り出し鼻に押し付けた。鼻血が出たのかもしれないな。


 大丈夫かと気にする事もなく、俺はじろりと日向を見る。

 すると日向は外す時の十倍速でそそくさとボタンを閉じると、ごほんと咳払いをした。

「一件落着です」


「殺すぞチビスケぇぇぇぇ」


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