ぼくたちは
いよいよおわりますよー
ティーダは、ぼーっと何も無い空間を見ている。
もう僕のことも見えていないようだ。
僕の声が届いたか不安になる。
「ティーダ?」
ティーダは、今のようにキレて無ければ、いわゆる爽やかな男前なのだ。
黒髪黒目も、神秘的でとてもカッコイイ。
きっと女の子にもモテるだろう。
こんなことをしていないで、普通に可愛い女の子と結婚すれば良いのに。
そんなことを考えながら、ため息を一つ吐く。
結界を維持したまま、ティーダに近付く。
何の反応も無い。
「こんなの、止めよう。僕達、友達に戻ろう」
ゆっくりとティーダが僕の方に視線を動かす。
「友達?」
ティーダに、落ち着いた声で話しかける。
「僕達、友達だったじゃないか。友達だった時の君が僕は好きだった。こんなのおかしいだろ。僕達は、夫婦なんかじゃなく、元の友達として楽しく暮らそうよ」
僕は静かに笑った。
ティーダは、呆然としながらも、俯きながら話し始めた。
「俺は、、、初めて会った日から、一度もアルトを友達と思ったことなんてなかった」
ティーダの言葉に少なからずショックを受ける。
「俺は、アルトを自分のものにしたいって、自分だけのものにしたいって、ずっと思ってた。でも、アルトはそんな俺のことが嫌いだったんだな」
ティーダの言葉に、良心が痛む。
「僕は、もっと普通の関係でいたかったんだ。平等な関係で」
「普通ってなんだよ」
ティーダが僕の言葉をさえぎる。
「アルトは、最初から普通じゃなかったじゃねぇか。アルトが普通の子供だったなら、俺だってこんなに苦労なんてしなかった。国王だって、両親だって殺さなくて済んだだろ。俺の家は代々続く貴族だったけど、もうとっくに家は潰れた。みんな国外に逃亡した。俺もこんなにたくさん、人殺ししなくても良かったし、全てを失わなくても、普通の家庭が築けた。今頃、2人で楽しく暮らせていたかもしれない。男の子と女の子の養子もらってさ」
言いながら、ティーダは泣き出していた。
「お前を普通に愛せていたなら、こんなに苦しまなくて良かった」
泣きながら、膝から崩れ落ちていた。
僕は、なんてことをしてしまったんだろう。
ずっと自分のことしか見てなかった。
ティーダのことが全然見えてなかったんだ。
ティーダは、将来有望な貴族で、僕なんかが話すことも本当は出来ないような特別なエリートだったんだ。
生まれ持った稀有な才能と努力で、類まれな能力を手に入れて、これからの更なる活躍が期待されていたに違いない。
それが、僕と出会って、僕を国から逃れさせる為に、全てを投げ打った。
その中で、僕は知らなかったけれど、彼を支えてくれていた人たちも、おそらく亡き者にしてしまったんだろう。
そして、僕といない間、僕を探して、更に多くの関係無い人たちを殺めてしまった。
もう、僕達は取り返しがつかないところに来てしまった。
どうなると思います?




