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黒い影
きゃー
僕の願いも虚しく、ワカの両親に呼び出された。
ワカの両親は、本当に僕に良くしてくれていた。
僕が山神様ではなく、普通の人間であることも受け入れてくれている。
そこが、問題だった。
「アルト、実は話があってな」
ワカの父親から、改まって話を切り出されると、観念するしかない。
ずっと逃げて来たけれど。
恥ずかしそうに下を向くワカ。
村一番の美人と言われる娘は、確かに可愛らしい。
ああ、僕はどうしたらいいんだろう。
全てを話す?
どこから?
僕が転生したところから?
そんなことを、この村で慎ましく暮らして来た人達に話して、分かってもらえるはずがない。
じゃあ、結婚していた過去を話す?
あれは、まだ有効なのか?無効なのか?
もう、ここから逃げ出す?
僕は、また全てを失うのか。
いや、まだ方法はあるはずだ。
考えろ、僕。
「実は、娘から折り入って相談があって、、、」
ごくりと息を飲んで俯いて話を聞く。
「実は、娘はアルトと」
ドーンと轟音が村中に響いた。
星が落ちてきたのかと思う程の地響き。
急いでみんな家から出て、辺りを見回している。
だが、僕は出なかった。
家の中にいても、僕の耳には、しっかり聞こえていた。
「アルト」
あの人の僕を呼ぶ声が。
来たー
どうする?




