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馬車
こわいよーこわいよー
生まれて始めて馬車に乗った。
前世も含めて。
あれからティーダは、森には向かわず、僕が行こうとしていた街へ向かう馬車に僕を乗せた。
何で知っているのか、なんて恐ろしくて聞けない。
それに、この首に巻かれた細い布のようなものは何なのか。
苦しくも痛くも痒くも無いけれど、僕の魔力は、本当に全く無くなったのだ。
ポーションでさえ作り出せない。
隣にぴったり寄り添うティーダは、満ち足りた表情で、僕の肩を抱き、新婚旅行のようなテンションで話しかける。
「アルトはあの街から出たこと無かっただろ。隣街も、なかなか良いところなんだぜ。名物がこれまた美味くて、、、」
僕は相槌を打ちながら、全く別なことを考えていた。
「アルトと、こうして旅に出れるなんて、幸せだな」
僕の指にキスするティーダを見て、これは誰だともう1人の僕が言っている。
こいつは危険だと警鐘が鳴りっぱなしだ。
幽霊よりも、生きてる人間がこわい




