やなやつ
こっから、またグロいですー
「よお」
目の前に立っているのは、街の衛兵の1人。
いつか、僕たちをからかって、嘲っていた嫌な奴。
大嫌いだ。
あいつが、街で偶然会った知り合いのように声をかけて来た。
「こんなとこで、何してんだ?」
自然に話しながら、僕たちの方に近付いてくる。
暗さで、表情は見えにくいが、微かに笑っているように見える。
ただ、僕は今、ものすごく周りが見えてる。
不思議なほどに。
彼の背後にいるものも、全て細かく見えているし、音も聞こえる。
だから見えているんだ。
彼が立っているんじゃなくて、後ろにいる奴に吊り下げられていることも。
首に絡みついてるのは、恐らく魔物の足。
彼の足は、もう無くて、足のように見えているのも、魔物の足。
あまりの不気味さに、吐き気がする。
でも、ここで止まってたら、ラヒムまでたどり着かない。
後ろの魔物の射程圏内に入らないよう、後ずさる。
「おいおい、逃げることないだろ。せっかく会ったんだから、少ししゃべろうぜ」
衛兵は、必死に話しかけてくる。
こうやって、自分が生かされる代わりに、他の人間を餌にしてきたのか。
悲しくなる。
もう、死なせてやった方が楽になれるのに。
僕は、思い切り上空に飛んだ。
こんなに飛ぶとは思わず、自分でびっくりした。
木のてっぺんを超えたぞ。
そこから、結界を出して、試しに魔物へ向かって結界を投げた。
結界、投げられるんだ。
予想よりも遥かに上を行くスピードで、結界は魔物に飛んで行き、一刀両断した。
人よりデカい蜘蛛の魔物。
その足から解放された衛兵は、その場に倒れた。
笑っているように見える。
「ハハ、、、やっと死ねる」
彼の体は、既に蜘蛛の魔物と結合していた。
魔物が死ねば、彼も死ぬようだ。
僕は、フードを降ろして、彼の頭を撫でた。
「お前、神様だったのか」
そう言って、初めて見る澄んだ笑顔で、彼は逝った。
すみません、すみません、すみません




