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生きるってこと

登場人物増えます。たぶん

ポーションを次々作り、スーが1人ずつ、飲ませて行く。

僕のポーションは、そりゃあ良いものだけど、ここまで瀕死状態からの回復なんて、正直出来ない。

切れた腕が繋がるわけでも、裂けた腹がくっつく訳でも無い。


それでも、目の前にいる奴らを放っておくことが僕には出来なかった。


飲ませる前に息絶える者、飲んだ直後に息絶える者。


結局、僕は誰も救えない。


無力感が、ポーションを作ることに、必要以上の魔力を注がせた。

僕にはこれしか出来ないから。


そして、銀色に輝くポーションが1本出来た。

僕が普段作るポーションは、無色透明。

それだって、すごいんだ。

他の商品は、濁っているし、効き目だってイマイチ。

普通に作るポーションだって、なかなかの物なのに、、、


僕は自分で作り出した初めての輝きに、目を奪われていた。


その時に生き残っていたのは、1人。

比較的、見た目の傷は浅いが、内臓を損傷しているのか、口から血を流していた。

僕の方を見る力も無い。


そっとスーに顔を上に向けてもらい、銀色のポーションを口に注ぎ込む。

大量の血が溢れ出して、とても飲み込めない。


僕は、意を決して銀色のポーションを口に含み、血の隙間から、口移しでポーションを注ぎ込んだ。

ポーションを注いだ分だけ、血が出てきて、僕の口にも喉にも、服にもおびただしい量の血が付いた。

それでも負けじと、血の隙間からポーションを注ぎ続けた。


ポーションが半分くらいになる頃、流れる血が減ってきた。

もう少し、と思っていると、獣の足音が、遠くから聞こえた。

おそらく、群れだ。

魔物の群れ。


まずいと思った僕は、スーに、この男だけ担ぐように指示した。


「スーいそげ!逃げるぞ!」

そこからは、僕の足が絡まって転ばなかったのが奇跡といえる速さで、僕たちは森から逃げた。


街の入口近くの川で、息を吸う、吐くを繰り返して、ようやく一息つく。


スーに男を下ろさせて、状態を見る。


虫の息状態は同じだが、やはり出血は止まっている。

口の周りにこびり付いた血を、川の水に浸したボロ布で拭ってやる。


顔は、泥やら血で汚れがひどく、よく分からないが、体型からして、割と強そうな男だ。


もう一度、残りのポーションを男の口に注ぐ。

出血もおさまったから、もうそろそろ飲めるんじゃないか。

そう願いながら飲ませると、こくりと飲み込む音が聞こえた。

そうして、ポーションの残りを飲み込み、男の体は銀色に光った。

と思ったのは一瞬で、すぐに光はおさまった。


ゆっくりと、目を開ける男。

僕はあわてていて、フードを下ろしたままでいた。


「大丈夫?」


声をかけると、男はうなづいて


「俺は天国に来たようだ」


そう笑って、もう一度目を閉じた。


どーしよっかなー

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