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仰いだ空のリビン神  作者: ジーナ・ベル
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空に届かなかった慈愛

私より安全な国に生まれたんだ。もうテイアのいない世界なんて嫌だ。

どうやって会いに行こう。まずはつまらない英才教育が大好物な学校と腐り落ちた家庭から逃げる事が先決で。大学までの進路を切り開かなくてはならない。

簡単なはずだった。作り笑いを浮かべ。どこにでもいる普通の女の子を演じきればよい。ヨヅキは知っていた。「普通に生活する」というのが一番難しいんだ。

ユレスタエネルギーが見えている時点で、普通の態度をどうとる。

図書館に行って、退屈な本、赤面しそうな本、教養のある本。どれをとっても「普通」に使える。教師に褒められるかどうかは二の次。常識とやらを流暢に語れればそれが近道。

教師はあれやこれやと知識をひけらかす。ガリは蘊蓄を並べ立ててさえいれば、勝手に安心していた。穀物アレルギーを起こしてて酒が飲み歩けないのを、愚痴っているが知ったことではない。


6歳の時に生まれてきた弟のバリイは、母親の愛玩品でしかなかった。バリイが泣くと決まって「嫉妬で虐めただろう。と、あらぬ疑いをかけられるので構っていられなかった。なかなか乳臭さのとれないバリイを不憫にすら思えてた。


それにしても、猿程度の知能しかない下級生の付きまといが鬱陶しかった。自分に注目してるのだという勘違いが、「ふうふうー」と、奇声をあげさせてるのだろうと一目で気づいた。まあ、要らない連中なので「あれぇ、ヨヅキがすきなんでしょーう。」と言って、恥をかかせてやった。これが3年間はあった。

落ち着いた年上の男の子の振る舞いに憧れていた。大学生になれば自然と大人になれているのだと安直な想定をしていた。果たして、性教育の不十分な田舎のアマガで、身体を野卑な男から守っていくにはどれだけの労力を要するか。憂鬱になったのなら、ニュースと新聞に熱を入れて見ておけば気が紛れた。

暇そうな観光客に声をかけられたら、リビン神の力をかり、未来視を語っていた。車に自動衝突防止機能が付くこと、電子マネーの普及から試験管ベビーの定着にそう時間はかからないとかだ。笑ってお小遣いをくれる律儀な旦那と出会ったりしてた。あまり語れないのは不幸な出来事の話。「不吉」と指摘されていた経験をしてしまっていたからだ。

そうしていると9歳になったいた。

不吉な未来の日。容赦なくやってきた。教師の怠慢で移動式ブランコが固定されないまま生徒達に使われていた。「先生、固定しないと危ないですよ。」と、腹の出た男性教師に訴えた。それでも、「ああ。」と生返事を残し、遊具の前を通り過ぎていった。「もうこの野郎は使えない。無能だ。」いきどうりが湧いた。あくる日、キャリちゃんという親戚の女の子は死んだ。ヨヅキの「危ないよ!」と叫ぶような注意をした直後だった。ブランコ下敷きになって、肺が破裂していた。

こんな思いはもうしたくない。受け入れられない。なんで、職務怠慢してる大人達に理解を期待なんかしたんだろう。他人に興味を持たずにいれば幸せなのか。リビン神は慈悲深い意志を揺らぎなく伝えていた。「耐え忍べ。」と。





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