テイアの誕生
体が竹串に突き刺される様に痛む。いつものダークリビンに触れられたな。ダークリビンはマイナスエネルギーで、どうにもこうにもかちらからよけないと、服にかすっただけで痛みや痒みをもたらす。
蚊の形で現れるものもある。リビンと、どう違いが分かるのかというと、黒い羽虫や球体をしていて悪意の断片が迫ってくる感じだ。自力で手にリビンを込めて、払い除ける事がてきたのは、5歳の時だった。
人に害のないユレスタは白い球体に見える。清浄な風にのって飛んでいたりする。そういった際は、邪魔をしないで流れるままにしてある。リビン神の使いかもしれないからだ。
稀に、心の声が聞こえる。お前の声もだ。と。訳知り顔で近づく奴らがいる。
リビン神の人と人を取り持ってくれる力を、我が身にしか宿っていない特別な能力と勘違いをしている。心が裸にされたみたいで、恥ずかしいだろ。と言ってくる者もいる。やましい事なんて無いのだから、干渉されても、浅はかだな、と間抜けにみえたものだ。
追い払う時は、リビンを指先に込め、左から右へ空を切る。すると、当てられた側は、身体のどこかに痛みを覚えるらしい。
ある程度、自衛しないとダークリビンを持っている者に熱病を引き起こされる。
とかく、自分にとってはありがたくない客とは出会いたくなかったものだ。
ガリもトグサも、気まぐれに子供に構い、こちらが用事があって困った日は「邪魔!」と、突き放したりする。付き合いが面倒だ。馬鹿なふりをしているとかわいいだの言ってくる。どれだけ、自分を偉いとおごっているのやら。
本当の所、家でを考えていた。日が落ちても家から気配を消して気の済むまで隠れてみた。
珍しく探し回ってた。どうせ、こんな時だけ構うのだ。リビンは体を透明にする力もある。
人を避けるには便利だ。ガリと叔母のブナが隠れて何やらいやらしくちちくりあっているときも現場を目撃したるすると、眉間に傷のある顔で、気味悪く薄ら笑いをしていた。田舎特有の近親相姦であった。
ヨヅキは、ああはなるまいと、冷ややかな態度で、嫌悪感を見せて返した。
こんな血の濃くなった島で、子供を作ろうなどと思えなかったヨヅキは、遠くの光がさす青空を見上げ、私の最愛の人となるのは、ここにはいないのだと確信が湧いた。リビンのほとばしっている大気を吸い込み、リビン神の微笑みが見えた気がした。
突如、記憶が蘇った。夢でみたのだ。私を包み込む白金色に光る男の子の輪郭を。
なんて慈しみが溢れるんだろう。生まれたての男の子のらしかった。
名前を知りたいと願うと、ふと脳内に、テイアという文字が浮かんだ。
この子と確実に出会う。そうなるべきなんだ。ヨヅキは彼を助けに行こうと決意を固めたのだった。
どんな道であろうとも、軽々と乗り越えていける予感がした。




