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第97話:多様化するエコシステムと、トップランカーたちのシステム思想(アーキテクチャ)

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【迷宮都市・冒険者ギルド】

『三律の連環』が真・ダンジョンの超重力空間(隔離環境)に引きこもり、泥臭い基礎鍛錬ハードウェアのアップデートに没頭して数週間。


主役不在の迷宮都市では、残された冒険者たちによる「次世代の覇権争い(シェアの奪い合い)」がかつてないほどの熱を帯びていた。


夕刻のギルドホール。

酒と肉の匂いが充満する酒場エリアでは、毎晩のように上位パーティーの噂話(ログの解析)が肴にされている。


「なぁ、最近『三律の連環』の連中、全く迷宮ダンジョンで見かけねえな。またどこかで極秘クエスト(非公開プロジェクト)でもやってるのか?」

「さあな。もしかすると【第99層】をクリアした燃え尽き症候群スリープモードか、それとも未知の第100層で致命的なバグにでもぶち当たって、身動きが取れなくなってるのかもな」


古参の冒険者たちがジョッキを傾けながら、トップランカーであるミクたちの不在を怪しむ。

だが、その疑問をかき消すように、若い冒険者たちの熱狂的な声がホールに響き渡った。


「そんなことより、今は『魔剣神』だろ!! 昨日、ついに【第88層】のボスをワンパンで沈めたらしいぜ!!」

「マジかよ、あの階層の重装甲ボスを!? マルコたちのあの一撃必殺(バッチ処理)、どんだけ威力がインフレしてんだよ!」


現在、ギルドで最も注目を集めているのが、破竹の勢いで深層を突き進む『魔剣神』だ。

どんな強敵の攻撃もタンク一人に集約(一極集中)させ、その間に魔力ゲージをMAXまで溜めた魔剣士がすべてを粉砕する。分かりやすく派手な『重火力ウォーターフォール型』の戦術は、多くの若手冒険者たちの憧れ(トレンド)となっていた。


「あの勢いなら、今年中に『三律の連環』の記録を抜いて、トップ(管理者権限)が入れ替わるかもしれねえぞ!」


熱狂する若手たち。

だが、ギルドの壁際で静かに酒を飲んでいた情報通のシーフが、鼻で笑うように口を開いた。


「トップ争いもいいが、今の迷宮は『魔剣神』だけが波に乗ってるわけじゃねえぜ。……例えば、最近ランキング3位に食い込んできた『氷炎の魔女』ファイリールのパーティーとか、な」


その名前が出た瞬間、周囲の冒険者たちの顔が、サッと青ざめた(エラーを吐いた)。


「ファイリール……。あの、前衛を『消耗品(使い捨てリソース)』としか思ってねえ、イカれた女魔術師か……」

「ああ。あいつのパーティーの思想は異常だ。防御陣形もクソもねえ。前衛の剣士や盾持ちは、ただファイリールが魔法を詠唱するまでの『肉のダミーデータ』として使い潰される。……先週なんて、第80層の探索で前衛が3人も死にかけた(クラッシュした)ってのに、本人は平然と『魔法使い(コア)さえ無傷ならクエストは成功でしょ?』と言い放ったらしいぜ」


魔法使いというメインプロセッサさえ生き残れば、前衛のハードウェアは壊れても代わり(新規インスタンス)を補充すればいい。

極端な『マスター/スレーブ構成』であり、非情極まりない戦術だが、ファイリール自身の魔法火力が規格外すぎるため、なぜか高い踏破率パフォーマンスを叩き出しているという脅威のパーティーだった。

常に新しい前衛を募集しているため、金に目が眩んで加入し、ボロボロになって辞めていく(メモリリークを起こす)冒険者が後を絶たないという。


「ファイリールのところには絶対に入りたくねえな……。極端といえば、ランキング4位に上がってきた『アニマルズ』もヤバいぜ」


別の冒険者が、身震いしながら話題を変えた。


「『アニマルズ』……ああ、あの獣人だけで構成された、魔法使いゼロ(魔力レス)のパーティーか」

「そうだ。あいつらの戦い方は完全に『野生ベアメタル』だ。支援魔法も回復魔法ミドルウェアも一切使わねえ。ただ全員が規格外の敏捷性アジリティで迷宮を駆け回り、敵が攻撃のモーション(処理)を起こす前に、近接戦闘で八つ裂きにしちまうんだ」


『アニマルズ』。

彼らは魔法という複雑な演算処理を完全に切り捨て、肉体の機動力(ハードウェアの処理速度)だけに極振りした『超機動・近接特化型アーキテクチャ』だ。


魔法の詠唱時間レイテンシゼロで敵の懐に潜り込む彼らのスピードは、迷宮の魔物たちですら対応できないほど速い。しかし、広範囲の魔法攻撃や状態異常ウイルスを食らえば一瞬で全滅するリスク(冗長性のなさ)を抱えた、ピーキーすぎるシステムであった。


「バランスが完璧で隙のない『三律の連環』。

 防御と超火力に極振りした『魔剣神』。

 前衛を使い捨てる冷酷な魔法砲台『ファイリール』。

 魔法を捨てて超速機動に特化した『アニマルズ』。

 ……ハッ、最近の迷宮都市は、ずいぶんとピーキーで面白い連中(多様なエコシステム)が揃ってきたじゃねえか」


カウンターの奥でジョッキを磨いていたギルドマスターが、ニヤリと笑う。


「どの陣形システムが最も優れているか……。浅い階層ならともかく、本物の絶望(深層のバグ)に直面した時、最後まで生き残れる『真の正解ロジック』を持っているのは誰なのか、見ものだな」


冒険者たちが己の信じる戦術アーキテクチャを武器に、迷宮の覇権を争う群雄割拠の時代。


彼らはまだ知らない。

ギルドで最強と謳われる『三律の連環』の七人が、今この瞬間も、既存のあらゆる常識が通用しない「真・ダンジョン」という裏世界(バージョン2.0)で、泥と汗にまみれながら基礎から身体ハードウェアを造り直しているという事実を。


そして、この多様化した冒険者たちのシステム思想が、やがて来る未曾有のエラー(大暴走)において、大きく交差することになるという未来を。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


「面白い!」「この連携、理にかなってる!」「続きが読みたい!」と少しでも思っていただけましたら、

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明日も更新予定ですので、引き続き『三律の連環トライ・リンク』の活躍をよろしくお願いします!


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