表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
95/99

第94話:強固なる亀の陣形(コンテナ化)と、重力加速が導く飛ぶ斬撃

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【真・ダンジョン 第一階層・アース・エリア(第4ループ)】

『――アース・エリア、第4ループを開始します。環境重力を【1.7倍】に設定オーバークロックします』


無機質なシステム音声が荒野に響き渡った瞬間、七人の全身に、文字通り鉛を流し込まれたかのような凄まじい圧力がのしかかった。


立っているだけで膝がガクガクと震え、肺から強引に空気が押し出されそうになる。第3ループの「1.5倍」をさらに超える、狂気の超重力環境。


「くっ……あ、あぁ……ッ! 本当に、ループごとに重力が増していってる……!」


ミクは荒野の赤土に両足をめり込ませながら、かろうじて双剣を引き抜いた。

地面を蹴って加速しようとしても、体が重すぎていつもの敏捷性アジリティは発揮できない。高速移動でヘイトを稼ぐ戦術は、もはや完全に不可能(フリーズ状態)だった。


だが、今回の彼らは、ただ無策のまま全滅を待つつもりはない。

機動力が奪われたのなら、陣形アーキテクチャの根本的な思想を変えるだけだ。


「全員、予定通りのプロトコル(新陣形)を展開して!! 亀のように固まるのよ!!」

ミクの鋭い命令に合わせ、七人は互いの体が密着するほどの超高密度な円陣(コンテナ構成)を瞬時に構築した。


「魔法組の三人は真んコアへ! ガストン、ガルド、ヴァレリア、そして私! 物理組の四人で周囲を囲んで、絶対に魔物の攻撃を中の魔法系に届かせない壁になるのよ!!」


ミクの指示通り、ルカ、ユリウス、アリアの三人が陣形の中央に密集する。

そして、その周囲360度を囲むように、ガストンとガルドの大盾、さらにはミクの双剣とヴァレリアの大斧が外側へ向けて構えられた。


ミクもヴァレリアも、前衛の全員が等しく「後衛を護るための絶対防壁ファイアウォール」として機能する、究極の防御特化陣形だ。


『――Wave 1/7。ストーム・ウルフの大群をデプロイします』


超重力環境にネイティブ対応したウルフたちがスポーンし、物理法則を無視したかのような超高速の残像モーションブルーを残しながら、荒野の全方位から殺到してくる。


「速すぎて的が絞れねえ!!」


ガストンが叫ぶ。


「絞らなくていいわ!! 魔法の生成プロセス(演算)に重力は関係ない! ならば、魔法の威力だけでこの空間を殲滅ブロードキャストするのよ!」


ミクが中央の三人に叫んだ。


了解アクセプトだ!! アリア、出力を最大フルロードで同期しろ!」

「はいっ!! 吹き飛んでください……『焦熱の烈火陣フレア・バースト』!!」

「『紫電の暴風雨サンダー・ストーム』!!」


狙いを完全に捨てた、周囲の空間一帯を焼き尽くす広範囲殲滅魔法。

陣形を中心に、半径数十メートルに及ぶ極大の爆炎と銀色の雷撃が、荒野の地表をデタラメに焼き尽くしていく。ウルフたちの姿は見えなくとも、超高速で走り回る彼らの移動経路上を、魔法の暴力が丸ごと飲み込んでいく。


『ガ、ギャァァァッ!?』


魔法に巻き込まれたウルフたちが次々と消し飛んでいく。

だが、その極大の魔法の網目(隙間)を縫って、数匹のウルフがミクの守る方角へと、音速の爪を突き立てて滑り込んできた。


「させないわ……!!」


移動を封じられているミクは、躱すことを完全に諦めた。

泥臭く両足を荒野の土へ踏ん張り、迫り来るウルフの残像を真正面に見据える。そして、ミクは手に持った双剣を、重力に逆らって「真上」へと高く持ち上げた。

敵が射程に入るその瞬間――ミクは一気に、双剣を真下へと振り抜いた。


シュオンッ!!

上から下への縦の軌道。1.7倍という重力は、振り上げるときこそ多大な負荷となるが、一度振り下ろしてしまえば最高の「加速装置」となる。


ミク自身の増大した体重だけでなく、双剣そのものの重さまでもが重力によって強烈に乗算され、今のミクの腕力からは信じられないほどの凄まじい『速度スループット』を生み出した。


ドコォォォォォォンッッ!!!!


「えっ……!?」


ミクの口から、呆然とした声が漏れた。

超加速した双剣の刃がウルフの硬質な頭部の装甲を捉えた瞬間、巨大な鉄杭パイルバンカーを撃ち込んだかのような理不尽な破壊力が爆発し、その巨躯が一瞬で粉砕されて光の粒子ポリゴンへと変わったのだ。


(そうか……! 振り下ろす軌道なら、双剣の重さも加わって勝手に速度が出る。そして速度と質量が合わされば、威力が異常に跳ね上がるんだわ……!!)

実戦で「当ててみた」ことで、ミクのPMとしての頭脳が、アース・エリアの真の仕様を完全に理解した。


「みんな!! 聞いて!!」


ミクは震える声で、しかし確信に満ちた瞳で叫んだ。


「この超重力は、私たちを遅くするデバフじゃない! 上から下へ振り抜く動作において、武器の重さと速度を何倍にも引き上げるためのバフ(仕様)よ!! 当てさえすれば、絶大な威力が出るわ!!」

「なんだって……!?」


大斧を構えたヴァレリアが、驚愕の目を向ける。


「ヴァレリア! 横薙ぎに斧を振るんじゃないわ! 斧を高く持ち上げて……重力と一緒に、真っ直ぐ地面に振り下ろすのよ!!」

「重力と、一緒に……! ガははははっ!! そういうことか!!」


ヴァレリアが、重力で鉛のように重くなった新調の大斧を、頭上高くへと引き上げた。


そして、目の前を音速で駆け抜けようとするウルフの群れへ向けて――ただリソースを抜き、重力加速度にすべてを委ねて、大斧を真上から真っ直ぐに振り下ろした。


ズバァァァァァァァァンッッ!!!!

ウルフに直接当たったわけではない。

だが、超質量と重力加速度が乗った大斧が地面に激突した瞬間、そのあまりにも巨大な運動エネルギーの行き場が失われ、空間を切り裂く『巨大な真空の斬撃(衝撃波)』となって前方の荒野へと飛んでいったのだ。


「う、嘘だろ!?」


ヴァレリア自身が目を剥いた。

飛んでいった極大の斬撃は、荒野の地面を深く抉りながら一直線に進み、その直線上にいた超高速のウルフたちを、目にも留まらぬ速度で真っ二つに両断していった。大地には、まるで巨大な竜が爪痕を残したかのような「深い溝」がくっきりと刻まれていた。


「す、すげえ威力だ……! なら、俺たちの盾も同じだな!!」


ガストンとガルドも、瞬時にそのロジックを理解コンパイルした。

彼らはもう、盾を振り回して敵を弾こうとはしなかった。

ただ大盾を地面に深く突き立て、増大した自らの超重量をすべて盾の裏に乗せて、岩のように「固定」した。


超高速で突っ込んでくるウルフたちが、その動かない巨大な質量(壁)に激突する。すると、ウルフたちは自らの突撃の速度(運動エネルギー)と、盾の超重量の反発力によって、勝手に自らの身体を砕いて消滅していった。


「……ハァ、ハァ……! 見つけたわ……!」


ミクが双剣を構え直し、荒野の土を強く踏みしめる。

敵のスピードは圧倒的だが、中央の魔法組が広範囲殲滅で削り、前衛が超重力バフを利用した一撃(飛ぶ斬撃と質量防壁)で護り抜く。


絶望のどん底であった『増大する重力』という環境変数。

しかし、実戦の中で泥臭く武器を当て、その真の仕様(重力加速による威力の乗算)に気づいた『三律の連環』は、真・ダンジョンを攻略するための確かな糸口アルゴリズムを、ついにその手で掴み取ったのであった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


「面白い!」「この連携、理にかなってる!」「続きが読みたい!」と少しでも思っていただけましたら、

ページ下部にある【ブックマークに追加】と、

【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、毎日の執筆のモチベーションが爆上がりします!


明日も更新予定ですので、引き続き『三律の連環トライ・リンク』の活躍をよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ