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第84話:運営の実況中継(熱狂)と、黒死竜(致死級バグ)の完全処理

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


迷宮最深部、コントロール・ルーム。

水晶のモニター群を囲んでいた魔族たちは今、かつてないほどの熱狂と興奮の渦に包まれていた。


「おいおいおい嘘だろ!? 第92層のランダムスポーンで『黒死竜ブラック・デス・ドラゴン』を引き当てやがったぞ!!」

「うわぁぁぁッ、終わった! いくらあの異常なパーティーでも、あんな『歩くバグ(理不尽)』みたいな隠しボスに出くわしちゃ全滅クラッシュ確定だ!」


魔族の一人が頭を抱えて叫ぶ。

部屋の隅で縛られているアリアも、その名を聞いて息を呑んだ。


黒死竜。それは冒険者の間で「遭遇イコール死」と恐れられる、生ける天災。通常の魔物とは根本的にステータス(処理能力)の桁が違う、絶対の絶望だ。


(逃げて……! ミクさん、みんな……!)

アリアが祈るように目を閉じた、その時だった。


「……はぁ!? あいつら、エスケープ・シーケンス(撤退行動)に移行しねえぞ!」

「マジか!? タンクの男二人が前に出て……ウソだろ、真正面から黒死竜の『極大ブレス(トラフィック・フラッド)』を受け止める気かよ!?」


魔族たちの悲鳴に近い実況が、コントロール・ルームに響き渡る。


「うおおおッ!? 後衛の水魔法使い(ルカ)が、ブレスの着弾コンマ数秒前に、五重の反射結界(多層ファイアウォール)を展開しやがった!」

「前面のドワーフ盾と、背後の大盾の男がピタリと重なって『二重防壁(物理的冗長化)』を組んでる! 黒死竜のブレスの負荷ダメージを完全に分散ロードバランシングして耐え切ったぞォォッ!!」

「「「うおおおおぉぉぉぉッッ!!?」」」


魔族たちが、もはや完全にファンと化して歓声を上げる。

その熱狂的な声の波の中で、アリアは閉じていた目をパッと見開き、ポロポロと涙をこぼしながら必死に祈った。


(耐えた……! すごい、みんな……! ガルドさんも、ガストンさんも……ルカさんも! いける、今の最強のみんななら、絶対にあの絶望(理不尽)を越えられる!! がんばって……!!)

縛られたまま、アリアは心の中で叫び続ける。モニターの向こうで戦う、かけがえのない仲間たちの勝利を信じて。


 * * *


【カメラ移行:第92層・荒野の戦闘領域】

『ギャオォォォォォォォォッ!!!!』

荒野を揺るがす黒死竜の咆哮。

放たれた漆黒の瘴気ブレス(極大負荷)の直撃を受けながらも、ガストンとガルドの二重防壁デュアル・シールド、そしてルカの多層結界は、ただの一歩も後退していなかった。


「……ハッ! 昔聞いた伝説じゃあ、地形ごと蒸発するほどの威力だって話だったがな!」


盾の表面から凄まじい熱と瘴気を放ちながら、ガストンが不敵に笑う。


「俺たちの装甲ハードウェアを貫通するには、少々パケットが足りねえみたいだぜ!」


背後でガストンを支えるガルドも、血走った目で吠え返した。


「ブレスの掃射、終了(プロセス完了)! 敵のディレイ(硬直)に付け込むわよ!」


最前線で戦況を俯瞰していたミクが、双剣を構えて赤い稲妻(割り込み処理)となって飛び出した。

黒死竜の巨体が次の動作へ移るよりも早く、その巨大な顔の眼前に肉薄する。


「目障りなヘイト(標的)は私よ! こっちを見なさい!!」


双剣による超高速の斬撃が、黒死竜の硬質な鱗に火花を散らす。

ダメージは通らない。だが、視界を塞ぐ煩わしいハエのような攻撃に、黒死竜は苛立ちと共に巨大なアギトをミクへと振り下ろした。


「ミクに釣られたな。……脆弱性セキュリティホール、丸見えだぞ」


その一瞬の隙(がら空きになった胸部)を見逃さず、後衛のユリウスが杖を天へと突き上げた。


「ルカ! 導電率を上げろ!」

「応ッ! 『瀑布のウォーター・プリズン』!」


ルカが放った極大の水流が、黒死竜の胸部の鱗に叩きつけられ、びしょ濡れにする。


「システム(神経系)の根幹ごと、ショートさせてやる! 『裁きの雷帝インペリアル・スパーク』!!」


ユリウスの杖から放たれた白銀の極太の雷撃が、水に濡れた胸部の鱗へと正確に直撃した。

水が雷の威力を奥深くまで浸透させ、竜の強靭な筋肉と神経網(回路)に莫大な過剰電流を流し込む。


『ギャ、ガァァァァァッッ……!?』

けたたましい放電音と共に、絶対的な力を持っていた黒死竜の巨体が、一時的な麻痺スタンによって完全に硬直した。


「完璧なデバフ(処理遅延)よ!」


空中で竜の牙を躱したミクが、着地と同時に叫ぶ。


「ヴァレリア! メインプロセスの実行トドメを!!」

「待ってましたァッ!!」


誰よりも高く、荒野の空へと跳躍していた戦斧の戦士。

ヴァレリアは、己の全筋力と闘気リソースを、限界までその重厚な戦斧に一点集中させていた。


「アタシら『三律の連環』の前に立ち塞がったのが運の尽きだ、トカゲ野郎ッ!」


麻痺して動けない黒死竜の、雷撃によって鱗が剥がれ落ちた首筋クリティカル・ポイント

そこへ向けて、ヴァレリアは隕石のような速度で落下しながら、渾身の一撃を振り下ろした。


「これで完全に……フォーマット(初期化)完了だァァァッ!!」


ドゴォォォォォォンッ!!!!

戦斧が黒死竜の首を深々と両断し、荒野の大地に激震が走る。


圧倒的な質量の衝突によって巻き起こった土煙が晴れると……そこには、首を刎ね飛ばされ、ゆっくりと光の粒子ポリゴンとなって崩壊していく、巨大な漆黒の竜の姿があった。


「……ふぅ。タスク、完全終了オール・クリアね」


光の粒子が舞い散る中、ミクが双剣をクルリと回して鞘に収める。


直後、黒死竜が消滅した場所には、今まで見たこともないほどの極上のレア素材アセットと、彼らのシステムをさらに一段階上へと引き上げる莫大な経験値アップデート・データが降り注いだ。


絶対の絶望すらも、完璧な連携ロジックで解体してみせた六人。

コントロール・ルームで狂喜乱舞する魔族たちと、涙を流して喜ぶアリアの視線の先で、『三律の連環』は、いよいよ迷宮の真の最深部へと向けて、最後の歩みを進めるのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


「面白い!」「この連携、理にかなってる!」「続きが読みたい!」と少しでも思っていただけましたら、

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明日も更新予定ですので、引き続き『三律の連環トライ・リンク』の活躍をよろしくお願いします!


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