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第13話:中層の快進撃と、書き換えられた噂

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をどうぞ!



迷宮第15層。苔むした石畳が続く水没エリアで、『トライ・リンク』の四人は流れるような連携を見せていた。


「右舷からリザードマン四匹! ガルド、前線を構築して!」

「おう! ここから先は一歩も通さねえ!」


ガルドが大盾を構え、堅牢な防壁となる。


「ルカ、足場が水浸しよ。敵の機動力を削いで」

「指示されるまでもない。……『氷結結界フリーズ・エリア』」


ルカが杖を軽く突くと、リザードマンたちの足元の水面が瞬時に凍りつき、彼らの突進の勢いが完全に殺された。


「アリア、凍結した敵に炎を! 装甲ごと脆くするわ!」

「はいっ! 『ファイア・ストーム』!」


熱衝撃サーマルショックによる装甲の破壊。ルカとアリアの連携は、もはや合体魔法を使わずとも、通常戦闘の中で恐るべきシナジーを生み出していた。

そして、脆くなった敵の陣形を縫うように、ミクが神速の踏み込みで駆け抜ける。


――閃刃。

ミクの剣が、装甲の剥がれたリザードマンの急所を次々と、そして正確に穿っていく。


「ふぅ……殲滅完了ね。ポーションの消費ゼロ、討伐タイムも昨日の記録を更新したわ」


剣を鞘に収め、ミクは満足げに頷いた。


「ルカさんが敵の動きを完全にコントロールしてくれるから、魔法の狙いがすごく定めやすいです!」

「フッ、当然だ。私の完璧な魔力制御があってこそだからな」


アリアの無邪気な称賛に、ルカはふんぞり返る。しかし、以前のような棘はなく、どこか得意げな、パーティーの一員としての顔になっていた。


中層に足を踏み入れてから数週間。

四人の連携は日を追うごとに洗練され、ギルドから受注する討伐や採取のクエストを、危なげなく、かつ驚異的なペースで完遂し続けていた。


その日の夕方。冒険者ギルドの買い取りカウンターには、中層でドロップした高品質な魔石や素材が山のように積まれていた。


「……はい、確かに。リザードマンの魔石が20個、毒蛇の牙が15本。状態も完璧です。素晴らしい成果ですね、『トライ・リンク』の皆様」


受付嬢が、驚きを隠せない様子で査定額の金貨を差し出す。


四人がギルドの酒場スペースに移動して祝杯を上げている間、周囲の冒険者たちの視線は、明らかに以前とは異なる熱を帯びて彼らに向けられていた。


「おい……今日も中層のクエストを無傷でこなしてきたらしいぞ」

「マジかよ。しかも、討伐ペースが異常だ。中堅どころのベテランパーティーでもあんな速度は出せねえ」


噂の中心は、間違いなく「二人の人物」に絞られていた。


「見ろよ、あの『水狂い』のルカを。……普通に仲間と酒を飲んでるぞ。しかも、火炎魔法使いの小娘に魔法の講釈まで垂れてやがる」

「信じられねえ。あのプライドの塊が、完全にパーティーの歯車として機能してやがる……。一体、どういう魔法を使ったんだ?」


冒険者の一人が、ゴクリと唾を飲み込み、視線をルカの対面に座る少女へと向けた。


「魔法じゃない。……あの女剣士だ」

「ミク、だったか? 賢者ユリウスに『使えない』ってクビにされたっていう……」

「ユリウスの目は節穴か? あれのどこが使えないんだ。見ろよ、あのルカが、ミクの指示には一切口答えせずに動いてるんだぞ」


酒場にひそやかな、しかし確かな畏怖の念が広がる。


「水属性しか使わない、協調性ゼロの変人。それを、たった数日でパーティーの『完璧な制圧システム』として組み込んだ。……あの女剣士、ただの回避盾じゃない。戦場全体を俯瞰して駒を動かす、とんでもない戦術家なんじゃないか?」

「ああ。猛獣使い(テイマー)なんて目じゃねえ。あのルカの手綱を完璧に握ってやがる……」


ユリウスのパーティーを追放された哀れな剣士。

そんな同情と嘲笑を含んだかつての評価は、完全に書き換えられていた。


今のギルドにおいて、ミクは「あの気難しい天才水術師を従え、新進気鋭のパーティーを牽引する底知れぬ女リーダー」として、一種の都市伝説のような扱いを受け始めていたのである。


「ん? なんだか、周りからすごく見られてないかしら」


ミクは果実水を飲みながら、周囲の視線に気づいて首を傾げた。


「ミクが気にすることじゃねえさ。やっかみ半分、驚き半分ってとこだろうよ」


ガルドが豪快に笑い飛ばして肉を頬張る。


「フッ。私の洗練された魔法の美しさに、凡人どもが見とれているだけだろう」

「ルカさん、さっきの氷結魔法の展開速度、本当にすごかったです!」


ルカの傲慢な発言をアリアが素直に絶賛し、ルカが少しだけ照れ隠しに咳払いをする。

そんな彼らのやり取りを見つめながら、ミクは小さく微笑んだ。


(私が戦術家? 手綱を握っている? ……まさか)

周囲の勝手な噂など、ミクにとってはノイズに過ぎない。


彼女がやっていることは、ただパーティーのシステムエラーをなくし、効率的に回るように各モジュールの配置を整えているだけだ。ルカを従えているわけでもない。ルカ自身が、このパーティーが自分の魔法を活かすのに最も論理的で最適だと判断したから、自らの意志で機能しているだけなのだから。


「さあ、明日は16層の探索クエストよ。今日よりも敵の装甲が硬くなるデータがあるわ。気を引き締めていきましょう」

「おう!」

「はいっ!」

「……任せておけ。私の魔法で、すべて粉砕してやろう」


噂がどう一人歩きしようと関係ない。


『トライ・リンク』の四人は、ただ真っ直ぐに、自分たちの最適化された冒険の道を突き進んでいくだけだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


「面白い!」「この連携、理にかなってる!」「続きが読みたい!」と少しでも思っていただけましたら、

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明日も更新予定ですので、引き続き『三律の連環トライ・リンク』の活躍をよろしくお願いします!


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