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137 林世昌と次郎の商談

1547年6月

福建海商 林世昌


林世昌は息子二人と共に、福建の港で旗艦となる大型ジャンク船に乗り込んだ。


護衛兼荷物船として中型船二隻が付き添い――計三隻を率いての福建出港だった。


出港から十日後。

林世昌たちは無事に伊予の国の広江港に辿り着いた。


広江港での上陸後は、すぐに次郎の重臣、有馬庄吉に案内されて、楠予家の新たな拠点・池田城に入城した。


池田城では譜代重臣や一門衆の屋敷は二の丸にあり、次郎の屋敷もそこにある。


二の丸の壬生屋敷の広間に通された林世昌は、静かに正座し、深く頭を下げた。


「壬生様、ご無沙汰しております。この度は会談のお時間を頂き、誠に感謝いたします」


林世昌はこの3年で4回、伊予を訪れている。


次郎との初めての交渉の時と、大鏡の1〜3回目の運搬の時である。


そのため、林は今では完全に日本語を覚え、通訳なしでも次郎と話せるようになっていた。


次郎は軽く首を振る。


「とんでもない。世昌さんなら何時でも大歓迎です。鏡では随分と儲けさせて頂いてますからね」

「いえ、こちらこそ割れた大鏡を原価で作り直して下さり、大変感謝しております」


次郎は苦笑する。

世昌には大鏡の原価は500貫文と言っているが、本当は10貫文もしない。

大鏡を製造している工場長と幹部5人の給料が300貫文を超えているので、大鏡に全振りすれば、一枚当たり160貫文の原価と言えなくもない。


「いえいえ。海を渡り荷を運ぶのは大変ですからね。全てのリスクを世昌さんに負わせるのは申し訳ないですからね」


世昌が怪訝な顔をする、知らない日本語だと思った。


「……リスク?」

「あっ、えっと。危険性? ともかく海を渡るのは危険、だから何度も運行していれば事故が起こるって事です」


世昌は首を傾げた。


「危険……。確かに、海は荒れますし、嵐もあります。

しかし、それは我ら海商の宿命。“リスク”という言葉は、そういう意味なのですか?」


次郎は少し笑って肩をすくめた。


「まあ、そんなところです」


世昌が真剣な顔になる。


「壬生様。本日、私が来た目的は4つあります。

1つ目は、割れた大鏡を原価で作り直して頂ける事のお礼を伝えるため。

2つ目は、壬生殿に息子を紹介する事です。

……お前達、ご挨拶をしなさい」


世昌の後ろに控えていた二人の若者が、緊張した面持ちで膝を進めた。


「長男の林忠と申します。父がいつもお世話になっております」

「次男の林子武です。壬生さんよろしくね」


次郎が笑う。

「二人とも日本語が上手なんだね。俺なんて英語、……じゃなくて他国の言葉をいくら勉強しても話せるようにはならなかったよ」


忠が少し驚いたように目を瞬かせた。


「壬生様でも、ですか?」


「うん。全然ダメだった。

頭では分かってるのに、口が動かないんだよね」


子武が思わず笑みを漏らす。


「……なんだか安心した。父さんが“壬生殿は何でも出来る”と言うから、てっきり言葉もすぐ覚えるのかなって思っちゃった」


次郎は肩をすくめた。


世昌はわずかに目を細め、その光景を見て微笑んだ。


しかし、すぐに表情を引き締める。


「壬生様、目的の3つ目は交易です。去年は大鏡を12枚、中型鏡を500枚、小型の手鏡などを5000枚ほど買わせて頂きました。

ですが書状で説明した通り、明国では楠予家の鏡が大流行しており、以前よりもさらに品薄となっております。今年はどの程度の増産が可能でしょうか?」


次郎は苦笑する。


「工房長も新たな鏡職人の育成を頑張ってくれてはいるのですが……。そうですね、最低でも今年は林家に8000枚は渡せるように頑張らせましょう」


世昌は勢いよく頭を下げた。

「ありがとうございます!」



次郎は2年半前、嘉靖帝と大鏡の話を聞き閃いた。


安い小型の手鏡を大量に作って、まずは明国に楠予家の鏡を広める。


しかし小型以外の鏡は、大きさにより値を大きく釣り上げて、鏡の大きさこそがステータスになるように仕向ける。そして楠予家の鏡をブランド化していこう、と。


結果――その考えは正解だった。


現在では明国の藩王や功臣、大商人、富裕層たちまでもが、こぞって楠予家の鏡を求めている。


なぜなら藩王の妻や側室たちが楠予家の素晴らしい鏡を持っていなければ、社交の場で他の藩王の后から笑われるのだ。


ただ予想外だったのは小型の手鏡すら高値が付いた事だ。


明国の者たちは、最低でも手鏡を入手しようと、手鏡にすら銀50両(約50貫文)という高値を付けたのだ。

※明国の両と日本の両はグラム数が異なる。


その様な状況にあるため、手鏡よりかなり数の少ない中型(30センチ級)に至っては、その10倍の銀500両と言う大金で取引されていた。


次郎の予定では当初は、中国での林家の販売価格は楠予家の日本での販売価格と同じ五貫文くらいになると考えていた。そのため林家に2貫文と言う安値で売却した。


だがすぐに林家から、

『明国では楠予家の鏡が大流行している! 豪商たちから催促されている、15貫文で買い取るから、たくさん鏡を作って欲しい!』と連絡が来たのだ。


そのため楠予家では主に鏡職人の大量育成に力を注ぎ、大増産計画が実行されている。


★鏡の昨年の利益。


※明国売上合計 20万5千貫文

※国内売上合計 1万1200貫文

ーーーーーーーーーー

※雇用費用 4170貫文

※原材料費 6740貫文

ーーーーーーーーーー

★利益 20万5290貫文。



※以下は明細(読み飛ばしても影響ありません)

ーーーーーー

売上

☆大鏡(2m)

5000貫文×12枚= 6万貫文

小計6万貫文


☆中鏡

※50cm級 

300貫文×50枚= 15000貫文

※40cm級 

200貫文×100枚= 20000貫文

※30cm級 

100貫文×350枚= 35000貫文

小計7万貫文


☆小鏡15cm級

15貫文×5000枚=7万5千貫文

小計7万5千貫文

合計20万5千貫文。


ーーーーーー

★人件費


鏡工房の職人は昨年91人

ーーーーーーーーーー

• 見習い職人40名× 8貫文 = 320貫文

• 一般職35名 × 30貫文 = 1050貫文

• 熟練職人5名 × 60貫文 = 300貫文

• チーム長5名 × 100貫文 =500貫文

• 幹部5名 × 300貫文 = 1500貫文

• 工房長1名 × 500貫文 = 500貫文

ーーーーーーーーーー

※雇用費用 4170貫文

ーーーーーーーーーー




※楠予家の鏡の儲けの額は、日明貿易で有名な大内家が、明国に交易船を派遣した際に得ていたであろう、利益 10万貫文(推定) を遥かに超える規模となった。


しかも大内家の日明貿易が『10年に1度』という国家的大事業であったのに対し、楠予家は毎年の事であり、今後さらに増加していく予定である。


※大内家の日明貿易は最終的に5年に1度 になっている。

大内家は交易船を毎年明国に送りたかったが、それは出来なかった。明国が海禁政策を取っており、交易船の頻繁な来航を許さなかったからだ。


なお大内家は公式ルートを守るため、中国からやって来る密航船を本拠地の山口に入れなかった。


その代わり九州の博多商人と密航船の取引を厳しく取り締まらず、逆に“裏口”として利用した。このため公式な貿易が行えない年でも 数万貫文 の現金収入を得る事が可能だったと推測される。




ーーーーーー


次郎は訊ねる。


「鏡の増産は良いのですが、突然流行が終れば困ります。小鏡の生産は年間どの程度までがいいですかね?」


世昌は指を折りながら静かに考えた。


「そうですね……。明国の市場は非常に大きく、人口は1億を優に超えています。

もし“100人に1人が鏡を持つ”と仮定すれば、最低でも100万人分の需要があります。鏡の寿命なども考えると……20年で市場が一巡すると見て、年間5万枚ほどが適正だと思いますが……」


次郎がニタリと笑った。


(これはまだまだ儲けられるな!)


「やっぱり明国は大きいですね! 世昌さんの計算も正確そうです! では最終的には手鏡は年に5万枚の生産を目指しましょう!」


世昌も釣られて笑ったと思ったあと、すぐに困った顔をした。


「壬生様……。楠予家では明国よりも優れた生糸と絹織物を作り始めました。そのため日本での明国の生糸の需要が急激に落ちております」


次郎はクレームかと身構えた。


「……それで?」


「はい。何か明国の品で、楠予家の港で売れる品はございませんでしょうか?」


次郎は顎に手を当てて考える。


「そうですね。実は最近、琉球王国との交易が上手くいっていないのです」


「琉球とですか?」


世昌が興味深そうな顔をした。


「はい。琉球からサトウキビを買って砂糖にしているのですが……。琉球がサトウキビの値を当初の数十倍にまで釣り上げたため、黒砂糖の製造費用が堺の商人から直接買ったのと同じ、1斤で銀60もんめくらいの値段にまで上がっているのです」


世昌は期待して身を乗り出す。


「では……」


「はい。堺の商人よりも安く売って頂けるのなら、林家から購入してもいいですよ」


世昌は笑顔で応える。

「大丈夫、問題ありません! 堺の商人の50分の1。いえ、100分の1の1斤、銀0.6匁でご用意させて頂きます!!」


次郎は、一瞬何を言われたか理解出来なかった。


「⋯⋯は?」


次郎があんぐりと口を開けて固まった。


「……壬生様?」


次郎はハッと我に返り、世昌に詰め寄る。


「いやいやいやいや、林殿! 100分の1ってどう言う事ですか!? なんでそんなに安いの!! それ本当に黒砂糖ですか!?」


世昌は説明する。

「我ら明国の商人は黒砂糖を生産地で1斤、銀0.2匁で仕入れ、その30倍の1斤、銀6匁で堺の商人に売ります。そして堺の商人は、仕入れた値の10倍で売るから高いのです」


(つまり、30倍✕10倍で300倍⋯⋯)


次郎が呆然と固まるのを見て、世昌は微笑んだ。


「だから私は壬生様に堺の商人よりも遥かに安く砂糖を売れます。……ただ、明国に納める税や運搬費用、船が沈む事などを考えればさすがに1斤、銀0.4匁以下の値では損失がでる可能性があるので⋯⋯」


(そう言う事だったのか……。俺が砂糖を作ってボロ儲け出来た理由は……)


次郎は即決した。

「分かりました! では黒砂糖を1斤、銀1匁で売ってください!」


世昌は笑顔で頷いた。


「はい。では黒砂糖を1斤、銀1匁でお譲りしましょう。サトウキビは明国の特産品、幾らでもご用意できますよ」


ーーーーー

※余談

この直後、林家から安い黒砂糖を仕入れるようになった楠予家は琉球のサトウキビを購入するのを止める。


――その影響はすぐに琉球王国を直撃した。


琉球王国の財政は、ここ2年楠予家へのサトウキビの輸出利益に依存していたのだ。


始まりは3年前、酒に酔った塩飽衆の船乗りから『楠予家は砂糖や砂糖菓子で大儲けしてるが、琉球のサトウキビが無いと作れないだろうな』と聞いた事だった。


そのため琉球王国は調子に乗ってサトウキビの値を上げ続け、楠予家の砂糖事業の利益を吸い上げた。


――結果、

琉球王国の財政は凄く潤った。


だが楠予家がサトウキビをまったく買わなくなり、在庫の山を抱えた琉球の民が暴動を起こした。

そのため琉球王国はすぐに楠予家に泣きを入れ、『当初の値段でいいので買い取って下さい』と頭を下げる事になる。

ーーーーー



世昌は息子たちを見る。


「聞いたであろう。壬生様はこちらが真剣に相談すれば親身になって、考えてくれるお方なのだ。もし明国の商人に『0.4匁以下で売るのは厳しい』などと言えば、『0.2匁でも行けるだろ?』と返ってくるに決まっている。

壬生様はこちらの利を考えてくれる欲のないお方だ、壬生様には誠意を持って接するのだぞ」


「「はい!」」


子供たち、特に次男の林子武は次郎をキラキラした目で見つめて返事をした。


次郎はポリポリと頭を掻く。


(なんだろ……?

中国じゃ、子供を連れて来て、相手を褒めて、胡麻をするのが流行ってるのか……? いや、これ本気で言ってる顔だよな……?)


忠と子武は真剣そのものの表情で次郎を見つめている。


世昌も次郎の顔を見て、再び真剣な顔をした。


「4つ目なのですが、大鏡をもっと大きく作れませんか? できれば楠予家の長さで言うと、3mほどの大鏡が欲しいのです⋯⋯」


次郎は眉を寄せた。


2mの大鏡の作成の成功率は90%ほど。3mの成功率は恐らく20〜30%くらいに激減する。


作れなくは無いが、製造時間は2mの倍のひと月以上は掛る。

それで失敗が前提なのだから、売値は2mの20倍は貰わないと割に合わない。


だが――林は砂糖を安く売ってくれると言うし『1枚、10万貫文は欲しい』と言うのは気が引けた。


「⋯⋯それは無謀です。3mともなれば、作る事も、船で明国に持ち帰るのも非常に難しいです。なぜ……それほど大きな鏡が必要なのですか?」


世昌はすがるような目で言う。


「それは……嘉靖帝に献上するためなのです。

これまで12枚の大鏡は、献上するもの以外は藩王や功臣に売っていました。しかし……陛下がそれを不快に思われれば、林一族が滅びてしまうのです」


次郎は意味が分からなかった。


「え……? 一族が滅ぶ?

鏡の大きさが家臣と同じくらいで?」


世昌は静かに頷いた。

「はい。

壬生様には信じがたい事かもしれませんが……。

明国では“皇帝と同じ物を持つ”という行為は、それだけで不敬と見なされるのです」


「え、ガチで? じゃあ手遅れじゃないのですか? もう2mの大鏡は、他の人にも一杯売ってるんですよね?」


世昌は静かに頷いた。


「はい。ですが今はまだ陛下が林家に目を掛けてくれているので大丈夫です。それに陛下に献上する大鏡の枠は主に金を使い。藩王は銀を。功臣は銅と差をつけています」


次郎はほっとした。


「なら大丈夫じゃないですか」


世昌は再び首を横に振る。


「いいえ……“今は”大丈夫なだけです。

陛下が“藩王たちが自分と同じ大きさの鏡を持っている”

と気にされれば……

枠が銀であろうと銅であろうと、林家は不敬の罪で滅びます」


次郎は眉を寄せた。


「林殿、なぜ今頃そんな事を言い出したのですか? 初めにそれを言ってくれたら、皇帝用以外は1.8mくらいで作ったのに……」


世昌は項垂れた。


「私も鏡の大きさが重要になるとは思わなかったのです。それに……陛下が大鏡をここまでお気に召す事も……。

陛下は確かに最初の献上の折、大変喜ばれましたが、“珍しい”“面白い”程度だったのです。

しかし最近は、特にご執心になられたご様子らしく……」


次郎は皇帝に気に入られるのも大変なんだな、と腕を組んだ。


世昌は続けた。


「暇があれば陛下は四枚の大鏡を並べて眺めておられるそうです。

そしてある日、お付きの宦官が申したそうです。

『真ん中に、もう少し大きな鏡があれば、陛下の御姿がさらに映えましょう』と」


(……おい宦官! なに余計なこと言ってくんだよ!)


世昌は嫌そうな顔をする。


「それを聞いた陛下は、大きく頷かれ“もっと大きな鏡を持って来るよう林家に伝えよ”

と仰せになったのです」


次郎は解決策をしばし考えた。


「……分かりました。

ではこれからは大鏡の大きさと数の配分を変えましょう」


次郎は両手を使って数を示す。


「これからは年に献上用の2.3mの大鏡を1枚。2mを3枚、1.8mを6枚、1.5mを12枚、1.2mを36枚作ると言うのはどうでしょうか?」


世昌は目を見開いた。

「……壬生様、と言う事は2.3mの鏡を作って頂けるのですね!!」


次郎は軽くうなずいた。


「はい。ただ、たった30cmの違いでも成功率は天と地ほど変わります。

お値段は……そうですね。1.8m以上はすべて5,000貫文ということにしましょう。どうですか?」


世昌は一瞬、言葉を失った。


「皇帝用の大鏡を5000貫文、たった5000貫文でよろしいのですか?

壬生様、2.3mの大鏡は“皇帝陛下専用の特別な鏡”となるのですよ。

そのような貴重な品を、たった5000貫文で……?」


次郎は心の中で笑う。


(2mが5,000貫文なら、1.8mは本来はお値段は4,000貫文くらいで売らないとイケない。

つまりこれは“大鏡の全体の値段の底上げを狙ったステルス値上げ”。

林君――これが現代人の知恵と言うものだ。そしてもう一つの罠をくらうがいい)


「もちろんです。では1.5mはお値段は……4000貫文、1.2mは3000貫文でどうですか?」


「はい。それで結構です!」


次郎は心の中で再び笑う。


(昔読んだビジネス本の作戦が見事に決まったぜ!

まず最初に小さい要求を通して、次に高い要求を通す!

現代人には通用しなかったけど、本当に有効だったんだな!)


世昌もまた――心の中で笑っていた。


(大鏡をさらに多く作ってくれるのか!

しかも大きさの異なる大鏡とは面白いじゃないか! 

次の競売――これは絶対に盛り上がるぞ!!)




※幕間

4か月後。

林世昌は巨大な布に包まれた2.3mの大鏡を嘉靖帝に献上した。


宦官たちが布を外すと、宮殿の光が鏡に反射して、嘉靖帝の顔がぱっと明るくなった。


「こ……これは……!」

嘉靖帝は思わず立ち上がる。


「これまでの鏡より……大きい……!」


宦官たちが一斉にひれ伏す。

嘉靖帝は鏡の前に立ち、自分の姿が“より大きく、より鮮明に”映るのを見て

満足げに笑う。


「林世昌、よくやった!

これこそ天子の鏡である!

褒美に――林一族の命を助けてやろう」


世昌はギョッとして顔を上げる。


嘉靖帝は、すべてを見透かすような目で世昌を射抜いた。


「これまで藩王どもに、余と同じ大きさの鏡を売り、利を貪っておったのであろう。

その不敬、今回に限り許す」


世昌は慌てて土下座した。


「ははあ! ありがとうございます!!」


嘉靖帝の声が、宮殿の空気を凍らせる。


「だが覚えておけ。もし次に藩王どもが、この鏡と同じ大きさの物を持っておれば――族滅と心得よ」


世昌は一瞬で顔を青くし、何度も床に頭を叩きつけた。


「林家の罪、万死に値します……!

陛下の大恩、決して忘れませぬ……!」


(……危なかった。陛下はやはり気にしておられたのだ……)


こうして林家の首は辛うじて繋がった。



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