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復讐  作者: しうぉん
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6


「それで今更なんだけどさ⋯⋯今の俺の実力って世間一


般じゃどのくらいなのかな?」




つい焦って一直線にこの街にやってきたのはいいものの勝てなかったら意味がない。

最も重要な事を失念してしまっていた。

メアを召喚する前に一度火属性の魔法を打ってみたけど比較対象がないから比べるにも比べられない。




「人間の中では結構強い方なんじゃないのかのぅ。少なくともこの街で一番強いはずじゃぞ?」




どうして彼女がここまで言いきれるかというと、悪魔は魔力の感受性の高さが人間の10倍ほどらしい。

そしてこの街には俺より強い魔力を持ってる人間はいないらしい。




「よし。それなら安心だな。心置きなく暴れられる」




そういう俺の顔は以前の俺では考えられないような酷く不気味な笑みを浮かんでいる。



⋯⋯自覚はしている。



だが俺をこんなにしたのは他でもないお前達だ。せいぜい後悔でもしていろ。




突然メアが声を上げた。





「むっ?⋯⋯⋯シドよ、ちょいと呼ばれたので魔界に戻ってくるぞ。早くとも朝には戻るから今晩の行動は控えるのじゃ。一人じゃもしもの時対応できぬからのぅ」





すまぬなと言い残しメアは転移していった。



どうやら呼び出しをされたらしい。

まあメアは随分上位の悪魔らしいそんなこともあるだろう。

メアの言い分も正しいので今日動き出すのは諦めて明日メアが戻ってきてから動き出そう。

そう決めて俺は意識を暗闇に手放した。







――――――――――――――――――――






時を同じくしてある屋敷のとある部屋で一組の親子が話し合いをしていた。

部屋の中には金銀財宝と装飾品が至るところに飾られている。

親子の方はというと、




親は金髪で引き締まった身体、そして右目に出来ている深い刀傷。恐らく冒険者をやっていたのだろう。もう片方の目はエメラルドグリーン。だがその目は酷く濁っていた。




対して息子の方は同じく金髪で緑の目なのだが体型はだらしなくぽっちゃりとしている。顔にはなんの傷もなく綺麗なままである。温室育ちというのがみるだけでわかる。




⋯⋯領主とその息子だ。







⋯⋯ダンッ!






と、大きな音が部屋の中に鳴り響いた。

息子の方が机は叩いて立ち上がった。





「父上!式はいつになったらあげられるんだ!」




勢いそのままに息子の方がもう待ちきれないといった表情でそう告げた。

それに対し、



「あぁ、明日にでもあげようか。使用人に伝えておく。お前は準備をしておいてくれ。あの娘とも少しは仲良くなっておくんだ」




息子の態度を注意することもなく心ここにあらずといった表情でそう呟いた。





「あぁ、分かった。でも⋯仲良くつってもな⋯あの野郎、僕が話しかけてやってもなんの反応もしないんだよな。まぁ当たり前か。無理矢理連れてきたんだからなぁ。クク⋯強制的に結婚させられるって伝えられたらあいつはどんな顔してくれるのかなぁ〜??」





酷く歪んでいた。

勿論表情もそうなのだが特に思考がだ。

彼の目には怒りの情がギラギラと燃えていた。








――――――――――――――――――――――――――



彼は昔一度、ある村の容姿が凄く良い娘に告白をした。だがその娘は取り付く島もなくあっさりと彼を振った。



振り返ってみれば今まで欲しいものは全て手に入った。食べ物に財宝に地位、名誉などほとんどのものがだ。ただ唯一あの娘だけは手に収める事ができなかったのだ。

それがものすごく悔しかった。そしてその娘を憎んだ。


⋯絶対に許さない。


⋯絶対に後悔させてやる。


⋯絶対に捕まえて許しを請うまでいたぶってやる。いや、許しを請うてもいたぶり続けてやる。


ほとんど八つ当たりだ。だがそんなのは関係ない。だって『腹立つ』のだから。



彼はこの日を1日とて忘れたことはない⋯⋯⋯








そしてなんの前触れもなくチャンスはやってきた。





あれは今からちょうど()()()()⋯⋯⋯




突然王都から使者が派遣された。



表向きは情勢確認だ。

そして裏向きが、ある娘の拉致だ。


⋯その娘はこの領地の端っこに位置する村の女らしい。歳は18。とても美しく、僕とも面識があるらしい。


そこで僕はピンときた。あいつだ⋯。


いつもならここで父上が反対するはずなのだが、今回はなぜか口を挟まない。


どうしたのだろうか。誠実堅実が売りの父がこのような非人道的な行いに賛同するはずがない。


だがこちらとしても反対されないのは大助かりだ。



結局使者はなぜ娘を拉致するのかは教えてくれなかった。

それでも俺にはそんなこと興味がない。

一言返事で引き受ける僕と何も言わない父。



それに満足したように使者は頷いて呟いた。




「精々頑張りたまえ」




そう呟く使者はこちらとは違う方向を見つめていた。

少し疑問に思ったものの僕は特に気にすることもなく受け入れた。





――――――――――――――――――







それが⋯まさかここまで上手くいくとは⋯⋯。



「クク⋯。明日が楽しみだなぁ。明日から徹底的に痛めつけてやる⋯⋯」



込み上げてくるひどく歪んだ歓喜に領主の息子は身体を震わせた。




















だがこれは所謂(いわゆる)、嵐の前の静けさ。

復讐に打ちひしがれる獣の如き嵐は静かにそして着実に近づいてきていた。





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