新たな転校生
それから、上田は体調不良で保健室に逃げ込むことが続いたが、目立った症状が無い上田の態度はずる休みと先生たちに受け取られ、それもできなくなって数日が経った朝の事だった。
開いたドアから担任の小谷と見慣れぬ男子生徒が入ってきた。
上田に続いて、同じクラスに二人目の転校生?
信じられない展開に教室にざわめきが起きた。
「また、転校生なんか?」
「何で、他のクラスとちゃうん?」
入ってきた転校生らしき人物は身長は170cm後半のがっしりしたタイプだが、風貌は温和。そんな感じを醸し出す笑顔の男子生徒だった。
「静かにせい」
小谷が大きな声を張り上げると、教室に静けさが戻ってきた。
「先生!」
礼もまだだと言うのに、小山がそう言って立ち上がった。
「また、このクラスに転校生なん?」
「そや」
「なんで、またこのクラスなん?」
「そんな事、俺が知る訳ないやろ。
そう校長から言われたんやから」
「ふーん。まあ、うちはええけどな。
かっこええ男子が増えるんは歓迎やし」
「なんか、タイミング狂わされてしもうたけど、自己紹介してもらをか」
小谷に促されて、新しい転校生が一礼し、黒板に自分の名前を書き始めた。
川岡将義。
そう自分の名前を書いた転校生は、教室内の同級生たちに向き直って、自己紹介を始めた。
「僕はこの前まで、神戸の学校に通っとったんやけど、家の都合で今日からこの学校に来ることになりました。
分からんことばっかりで、色々教えてもらわなあかん事が多いんちゃうかと思うとんねんけど、よろしく」
そう言って、もう一度頭を下げている川岡に小山が言う。
「あんた、かっこええから、なんでも教えたんでぇ。
うちに聞きやぁ」
顔を上げた川岡が小山ににこりと笑みを返しながら、言う。
「ありがとう。
よろしくな」
「えーっと、お前の席やけどなぁ」
小谷がそう言った時、川岡が小谷に振り返って、話しはじめた。
「先生、このクラスには僕よりちょい前にやって来た転校生がおるって聞いとんねんけど、どうせやったら、その子と隣の席にしてもらえませんか?」
突然の川岡の要望に、小谷も同級生たちもざわつき始めた。




