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【秘めた気持ちは表に出ない】

『おお~い。作成具合はどうよ。足元ふらついてんぞ。これでも食えよ』



『ポント殿、その格好は一体…』

『おっと。俺の名前はポン太郎だ、ただの世界をまたに駆けるお節介焼きだ』


おうおう、かなりのもん作ってるな…こりゃ剣…か…


俺は持ってきた大量の食い物を咽るほど熱い工房に広げていく。


『ポント殿、確かに根を詰めすぎていました。感謝します』

『俺はポン太郎だって…まあ、いいかどうでも。それよりもこりゃなんだい』


壁にかけられていたり、地べたに置かれていたり水に浸かっていたりといろいろな状態にあるがどれもこれも奇妙な形が多い。

黙々と食べ物を口に入れるゲンの目は虚ろだがその瞳の奥の輝きは飢えた獣のようにギラついている。


『…あの方が振って壊れない、これだけでも大変でした…』


目の前の大量の食べ物を平らげ、静かに語りだした、それを黙って聴く。


『この身で感じた力、いろいろ試しました。頑丈にとにかく頑丈にと…そして私がたどり着いた答えは一撃一剣………あれほどの力で使われるものに耐久性を求める事が間違いだと気づいたのです…』



ぶっ飛んでるな…そしてとびっきりおもしれー


そう思いながらも気になった疑問を口に出してみる。




『同じ形のものがほとんどだが、形の違う物は試作品かい』




ゲンは暫く眺めると形の違う物だけを工房の床に並べる、その数9本。


『同じ形のものは対イマジニア破壊の為のもの……そして、この9本はより強大なものが出てきた時の為のものです…』


『…ほう…俺には……使えんな…』


『でしょうね。造っておきながら、使える気がしません。まったく』



こんなもの使えそうなのは一人しかいない。



『ゲンは協力者を知っているんだな』



『いえ、気づいたと言うのが正しい表現ですかね』

『無事に済んだら、俺にも一振りなんか造ってくんねーかな』


『いいですよ。無事に済んだらですけどね』

『そのために、今できる事をだろ…』

『そうですね…』


暫く、出来上がった物を眺めてから俺は工房を後にした。






『セント、話しがあるんだ』


思いつめた表情…ノワールはそちら側なのね。


『なあに、改まって』

努めて明るく返事を返す。


なんか、キョロキョロしたり、落ち着き無く腕を組み替えたり頭を掻いたり。


『掻いてあげる…』

ノワールの頭をやさしく掻く。

そうね、私はこの人の味方だわ…この人が私の味方だと思うから、いや、そう思いたいから…



頭を撫でながら、

『大丈夫よ、私はノワールの味方だから…』

『すま…』

『何も、言わないでいいの』


ノワールの口元にそっと指を添えて、そのままノワールの頭を撫でる。



ヘルさんが魔王さんの頭を撫でる時もこんな幸せな気分なのかしら、きっとそうね。

ふっとそんな事を思って笑ってしまった。


『そんなにおかしいか』

『いえ、知っている人を思い出しただけよ。ノワールはとっても可愛いわよ』


それを聞いたノワールは顔を赤くして俯いてしまう。

もう私の気持ちは決まった。迷う事はない…



『ノワール、ナセキのところに行きましょう。あの子の肩の荷を少し軽くしてあげたいから…』

少し驚くノワールごと私達を靄が包み込む。






タイミングがよかった見たいね…


『ここではこうするのがルールかしら…ねぇ、皆様』


私は銀の仮面を取り出し目元を隠す。




『セントさんが協力者でしたの…』

『いえ、私は協力者ではありませんよ…』

『木仮面ですわ』



『まあ、呼び方はどうでもいいですが…まあ、この場では必要な事であるのなら…はいノワール』


私と同じ形の真っ黒の仮面を差し出す。


『これでいいかしら。私は銀仮面でこちらは黒仮面でいいですかね』



ナセキの方を向く。


『私から草仮面、貝殻仮面、砂仮面、鉄仮面、木仮面です。で、今日はどういったご用件でしょうか』


こちらを探るような問いかけに明確に答える。



『あなた達に協力する気持ちはまったくありません。私は黒仮面に協力する事を宣言しに来ました。これだけ伝えれば十分だと思うけれど…』


『協力者は黒仮面と言う事ですのね』


一同は一斉に木仮面を見る。


『…気づいてない奴がいたんだな…まあ、いいや銀仮面はどのように黒仮面に協力するんだい』

『わかりません』


『わからない…それでどうやって協力するんだい』


『彼が望むようにできることを協力するだけです』


木仮面、貝殻仮面、砂仮面から『『『お~愛だね~』』』と声が出る。




愛なのかしら…


『これは私のエゴです。皆さんに何と言われようと、思われようと関係ありませんけど………草仮面の方、少しやつれたのでは、しっかり食べる事をお勧めしますわ、ではごきげんよう』


靄に包まれその場を後にする…




『ノワール、お腹すいちゃった。何か食べに行きましょう』

『………そうだな、何がいいかな』


『平原料理が食べたいわ』

そういいながらノワールの腕に自分の腕を絡ませる。

頬を掻きながらノワールにエスコートされるように一緒に歩き出す。




『セント、お勧めを頼む』

『もちろんよ』


私はとても清々しい気分になった。






一方、残された仮面の面々は。暫く、固まっていた。その沈黙を破ったのは草仮面であった。



『調整者が黒仮面に協力するのであれば、間接的に我々に協力すると同じ事。黒仮面がどうやって調整者の協力を得ればよいかいろいろ考えていたが…その時間は無駄になったな』


正直助かった…ノワールの力は強大だがそれだけであの魔王に届くはずが無い。

大幅な強化が必要だ、イマジニアの破壊だけを目的にしても今のままでは圧倒的に足りないのだから。


『そう気取らなくてもいいんじゃねーの。ホッとする話じゃねーか…』


『愛ゆえの協力であれば強く信じる事ができますわ』

『気楽ね…でも、同意見…』


『私は私に出来る物を出来るだけ造るのみ』



『同士一同、これで可能性がより高くなったことを喜ぼう』

しかし気は抜けない…この瞬間にも邪魔は入るかもしれない…




『かっこつけも草仮面らしいが、折角の気遣いありがとうって受けとれんかね。まあ、しっかり飯でも食おうや。お前らは根詰めすぎだ。肝心な時に動けませんでしたなんて笑えない話はごめんだぜ』


確かに、いちいち正しいと思えることをこちらに提案してくる…これが持ち味か。

ふん、少しだけ羨ましいものだ…自分に無いモノはこうも輝いて見えるものか…


『我々はそんなに間抜けではない。が、砂仮面の話も一理ある。新たな協力者の登場をよろこんで精のつくものでも食べるとしましょう。これからが大詰めなのでね』


「よかったー、パーッとやろう。ぐらいでいいのにな」なんて砂は言ってる…ふん、羨ましくなんか無いからな。物事には重みも必要なのだ…




骨付き肉をかじりながら、「姉様ありがとうございます」と心の中で呟く。俺は頂点に立つ王なのだ…言葉に出さなければいい。


そういうものだ。






それぞれの場所での食事。それ自体に意味は無い。しかし、生きている。そう、同じ時を…




そして今、同じ目的を持って、時間は止まらない、進み続ける。


ただただ、先へと…


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