【秘密会議】
『それでは、仮面会議を始めましょう』
定期的に行われていた謎の仮面会議、参加者は必ず仮面を着用して参加する。
仮面会議の目的はよりよき世界について。
『仮面会議の掟、その一。私利私欲を求めない事』
『仮面会議の掟、その二.仮面の下の素顔を詮索しないこと』
『仮面会議の掟、その三、ここで知り得た情報を表に出さないこと』
進行役の仮面がそう言うと2つの仮面が同意を示すように頷いた。
『今日は初めに新しいメンバーを紹介しようと思います。どうぞこちらへ』
静かに1人の仮面が入ってくる。
『よろしくお願いいたしますわ』
『それでは、鉄仮面と貝殻仮面の間へどうぞ、私のことは草仮面とおよびください』
全員が席に着く。
『何とお呼びすればいいでしょうか』
三つの仮面が新しい仮面の方を向く。
『木仮面と呼んで頂けますか』
一同は頷きでこれを肯定した。
『では、本題に入りましょう。準備は整いつつあります。木仮面が加わりよりよき世界への道はまた1つ近づいたと言えるでしょう』
『1つよろしいかしら』
『どうぞ…』
『本当に、鉱石の力の無い世界などできるのですか…』
『できるか、できないか。ではなく、するのです。誰かがやらなければ現状は変わりません。木仮面も我々に賛同したからこそ…この場に居るのでは』
『そう…そうですわね。弱気な発言を撤回いたします』
『簡単な事ではない…木仮面、あなたはやり遂げられる』
『1人では難しくとも、いや。難しいからこそ協力が必要なのです』
『よりよい世界の為に…この世から鉱石の力を消し去る』
正体のわからない謎の仮面会議が世界にどう影響を及ぼすのか…
その頃、「荒野」の王ポントは中央の町へ訪れていた。
『クロネ、急ぎの用件ってことだが…』
『とにかく奥へ…』
奥へ入り一同を見渡す。よく知った顔ぶれだ。
『諜報関係の重役勢揃いとは…どんな大事だ』
これだけ揃うのはセントが姿を消した時以来じゃねーか。
『最近、各国の代表が不可解な動きをしています』
クロネが代表で報告するのか、しっかり纏め上げているな。
『どんな感じに不可解なんだ』
『定期的に4各国の代表が姿を消しているのです。偶然と言える回数ではなく、集まっているのか、バラバラなのかも現時点では解りません。諜報部の監視から一定時間消えるのです』
偶然と思えない回数であるのなら集まっているのは間違いないだろう、問題はその方法ではなく、目的…それと、セントの関与だな…
『クロネ、問題となるのは何だと考える』
『どのようにして我々の監視を振りきっているのか…何をやっているのか、でしょうか』
『問題は、何をやっているかではなく。何の為にやっているかだと俺は考える。随分前には痛い思いしたからな。聞いてみようぜ、直接気になる人物に。俺はセントに話を聞きに行く。クロネは各国代表に聞いてみてくれ』
『そう簡単に行くでしょうか』
『俺達に話せないなら、俺達に都合の悪い事ってことだ。それだけでも収穫だろ。どーんと行ってみようぜ。じゃあ頼むな。行ってくら』
勢いのまま街の中央へ1人で向かう。近づいていくとちょうどセントが階段を降りてくるのが見える。
『おーい、セントぉー。ちょっと話しがしたいけれどいいかぁー』
聞こえたかな、チラッとこちらを見たような気がするが。念のため、もう一発大声で…
『ポント様、恥ずかしいのであまり大声で呼ぶのは止めてください』
かなり遠くに居たはずのセントの声は俺の真後ろから聞こえた…
『気づかずに振られちゃ寂しいからついつい、すまんな。ちょっと時間いいか』
『大丈夫ですよ。急ぎの用事はありませんし』
近くのオープンテラスに座り、注文をする。
『ポント様がこちらに来られるのは珍しいですね。もっといらしたらクロネさんも喜びますのに』
『イマジニアもだいぶ深くなってきてしっかり指揮取らないとけが人が増えちまうからな、それにこれでも王様だから忙しいのよ』
『それでは、まず本題を聞くのがいいのですかね』
銀の仮面を傾かせてこちらに問いかけてくる。
『悪いな。実は家以外の4か国の代表が定期的に会っている可能性があるんだが。なにか知らないか』
この表情、これは知らないな…
『ありがとな。今の表情でよく解った。今度はちゃんと土産持ってくるからな』
セントの手を取りその甲に口づけを…できなかった。
『おっかないねぇ、相変わらず元気そうじゃね。あいさつぐらいいいんじゃないの』
『お前は油断ならない』
『ノワール、剣を引いて。ポント様に悪意は無いわ』
俺の前の剣は静かにお家に帰っていく。
『番犬がおっかないから今日はあいさつ諦めるわ。じゃね』
『ポント様…もし何か解りましたら。教えて頂けないでしょうか…』
背中からの声に俺は振り返る。
『りょーかい』
手を振りながら俺はその場を後にする。クロネのほうで収穫があるといいんだが…
セントはポント様に任せて、ってよく考えたらこっちの方が人数が多いじゃない…
でも、面識薄いからしょうがないか…
一番聞きやすいのはフランさんかユー…フランさんね。
「森林」の区画を歩き、代表の館で面会を申し込む。
『フラン様はもうじき戻られると思いますがどうなさいますか』
『待たせていただきます』
待合室で1人ポツンと待ちぼうけ。
壁に鳥が翼を広げた織物が飾ってある。その細やかな仕上がりと繊細な色使いにただただ時間を忘れて眺めていると
『お待たせしましたわ。何か御用かしらクロネさん』
『急に訪ねてきてごめんなさい。素晴らしいわねこれ』
『家の一流の職人の作品よ。お茶でも飲みながら話を聞きますわ』
フランさんの後をついて殺風景な部屋に通される。
『飾り気が無くてごめんなさい、私の仕事部屋なの。それで今日はどういったご用件』
『単刀直入に聞くけど、4国で何をしているの』
『なにもしていないわ』
『シラを切るつもり…』
『そうではないわ4国では何もしていないと言っているのよ』
『誤魔化そうって…』
フランさんの表情が変わる…
『その件であれば、私から話す事はないわ』
有無を言わせない強い決意の表情に私は言葉を発する事ができない。敵わない…今のフランさんに私は敵わない…この差は覚悟の力…
『それでも、貴女にも事情があるでしょう。ユーロさんを訪ねるといいわ。私の名前をできれば出して欲しくないけれど』
表情を和らげ、そう言うフランさんにお礼を言って「島国」のユーロさんの元に向かう。
道の真ん中で踊っているユーロさんはすぐに見つかった。
『おっ……蜘蛛女。おっす』
『ユーロさん少しお…』
『大丈夫、言わなくても解る。言いたいことはね』
ピタッと私の鼻に指を軽く当ててくる。
『始めに私が、おっ……ぱいって言うと思ったんだろう。色ボケ蜘蛛女め』
鼻に当てられた指を軽く掴み、捻りながらぶん投げる。
『わはははははははははははっ』どむっ…
回転しながら宙を舞い、笑いながら背中を打つ…
ひょいっとユーロさんは飛び起きるとこちらに背を向けた。
『背中掃ってくれる…』
背中を払いながら声をかける。
『悪かったわね。私を馬鹿にするからつい』
『いや、馬鹿にしたことは謝らないが。投げられた事は面白かったから別にいい』
『あなた達は何をやっているの』
ユーロさんの手が止まる…
『知りたい…本当に…知りたいの…今の貴女にはいろいろ足りないと思うけれど…それでも知りたい…』
気になったことを投げかけてみる。
『それは私が知りたいと言ったなら知ることができるのかしら』
『それは解らない。少なくとも貴女の王様よりは可能性があると…私は思うけれど』
解らない、1つだけ解っていることはこの瞬間、私はユーロさんに試されている。なんとなくだけれどここでの返答で今後が大きく変わる気がする。
理解できない不安感だけが私を包む…
『…貴女、国を捨てられる…』
どうやって戻ってきたのか思い出せない。目を閉じるとさっきのユーロさんの笑顔が…
底が見えない深さに恐ろしくなったんだ、私は返事をする事も出来ずに、逃げた…
ユーロさんから、問いかけられた内容から…ポント様の命令から。
私は、無力なの…
閉じこもった部屋の外からポント様の声が聞こえる…今は顔も見せられない。
『おい、クロネ。どうした、大丈夫か』
酷くうろたえた表情で戻ってきて部屋に閉じこもったらしい。さっきから声をかけているが返事も無い。
諜報からの報告では「島国」の代表と接触していたらしいが…行くしかないか。
うちの可愛い娘のお礼をしねぇーとな。
『クロネ…ゆっくり休めよ…』
『ちょっと、行って来る。みんなクロネを頼む』
こりゃ、事と次第によっちゃあ戦争だな…俺は思っていた以上に気が短いらしい…




