【とりあえず平和か】
『気をつけてくださいよ』
『調整者様、ありがとうございます。なんとお礼をすればいいのか』
『お礼などはいりません。これは私が勝手に行っている事。無責任なお節介ですので』
私の目の前には小さな村のまとめ役がペコペコ頭を下げている。その向こう側には背の低い木が生えている。
『…お姉ちゃん、ありがとう…』
『怪我がなくてよかったわ』
それはノワールの連絡から始まった。
『小さな村の近くの森が燃えている。その中に子どもがいるようだ』
『すぐ行きますね』
黒いもやを抜ける…
目の前は異様な熱気と、煙を産み出す赤い景色。
私は願う…
激しい雨を、眼前の赤を黙らせるために。
青い空は一気に暗く重くなり、私の周りだけが明るいまま。
変化は一瞬、堰を切ったような豪雨の中を私の黒が駆け抜けていく。
赤が黙り、私の黒は子どもを抱きかかえて戻ってくる。
その子の頬を撫で、全身はきれいになった。
黒い大地に手をかざす。
地面から短い緑がその背を伸ばす。
立ち去ろうとする私達を村の人達は引き止めた。
気がついた子どもお礼を受け取って2人で歩く。
このような生活が最近の日常だった。
『少し無理をしていないか』
その声色に感じる優しさが嬉しい。
『大丈夫よ。ノワールが最近よく姿をあらわしてくれるから、鉱石のポイントも結構あるもの』
『少しは休んだらいい…』
『それはお互い様でしょう。一緒に休みましょうか』
『…それも、いいかもね』
私はその言葉に少し驚いた…
『今は、その時じゃないけれど…いつか…』
『そうね、いつか…』
各国の鉱石の使い方はある程度の種類にパターン化されている。
要人の治療、不慮の事故による怪我の対応など。医療的な使用。
大型の災害復旧、土地開発の補助など。土木的な使用。
天候を操るような使用。
地上は平和であっても、イマジニアの攻略はまだ続いており、完全攻略を果たした国はなく。
そこに入る者達も変わってきた。
人手が足りなくなってきている。
領土を開発する人手の確保とイマジニア攻略の為の人手の両立は出来ないのが現状。
各国は考える。
領土開発は調整者の力で大きな問題は解決できる…人手はイマジニア攻略に回すのが得策であると。
戦闘に関する技術が装備が、より高い水準に引き上げられる。
それでも、国同士の争いは起こらなかった。
起きるはずもない。
人は自分の為に動くように変わっていく…
新しい世界は変わり続ける、その本質も…すべては時間と共に…




