表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/39

【選べない選択肢】

『調整者、ポント様に公開通信をお願いします』


中央にポントさんの姿が映る。妙にニコニコしながらどうやらモッキーの頭をぽんぽん叩いているようす。


『ポント様、クロネです。今、よろしいですか』



『モッキーからクロネの声、この後どうなる』

『暫らくするとこちらの様子がモッキーの腹部で見えるようになります。ポント様の姿はこちら各国代表とセントにはすでに見えています』


ポントさんは慌てて髪や服装を整え始める。


『ポント様、先ほど言いましたが服装を直している姿も見えていますよ』

『こういうのは気持ちが大事だ。うっぅぅん、あー、あー、よし。おお、見えてきた見えてきた』


『お久しぶりと始めまして。「荒野」のポントだ。よろしく。セント元気か、俺に出来る事はなんでもする。遠慮なく俺にでもクロネにでも言ってくれ。で、クロネは何か用か』


『実はこのような通信が出来る装置の購入と各国の戦争の意志について確認したく…』

『通信は個別が可能なら買いだ。セント、戦争の意志についてはセントの気持ちを今聞きたい』



『無用な争いで命が失われるのを避けたいと思っています』

『「荒野」は防衛以外の戦闘を他国としないことを宣言する』

『ありがとうございます』


『他国と揉めない程度にクロネを使ってくれて構わない』

『ポント様、考え浅く我が国の伝統服をセントに贈ってしまいました。こちらのフランさんによってリメイクして頂きました』



『他国の方々、要らぬ心配をかけたこと申し訳ない。「森林」の方、ありがとうございました。クロネ、後日罰を与える』

『ポント様、私が困っていた為によかれと思ってしてくださったこと、罰を与えることはおやめくださいませんか』




『他国の方々に対して申し訳が立たないので、「荒野」のことは「荒野」で裁かせていただく…と言いたいがその場の皆様が気にしないというならこの件はセントの言うとおりにする』


『揃って喰えない…けれど、この程度のことでいちいち騒がない』


『別に、私のセンスで丸く収まったこと、気にしませんわ』


『異論は特にありません』『僕も姉様がそう願うなら問題なしです』



『クロネ良かったな、皆さんのお陰でお咎め無しとする』

『皆さん、ありがとうございます』


『茶番…』


『そこの子なかなか厳しいね…茶番でも見せることが重要な場合もあるよ。近々、そちらにあいさつに行くからよろしくね。揉めない程度の手土産もってさ』


『楽しみにお待ちしています』


『嬢ちゃんは笑っている方がいい、じゃあまたな』


ポントさんの言葉に先生を思い出す…

「姫様は笑っていらっしゃる方が可愛らしくていいですぞ」


マーロン先生…




先生の命を奪ったお父様…先生が命を落した「平原」…


『「平原」はどうしますか、公開通信を使用しますか』



『いえ、使用しません。他の国とは違い仮の代表は僕ですのでもう少し他の者と相談しますので。現時点の鉱石では折角の通信も活かせないので』


『解りました。今後鉱石使用の際は螺旋階段1階に扉ができていますのでその中に居るモッキーに名前を言って鉱石を預けてください。名前ごとにポイントが貯まります。手元にカードが残りますので無くさないようにお願いします』




『ちなみに、無くしたらどうなるのかしら』

『どうにもなりません。加えて、ポイントの譲渡は出来ません。そのカードでのみポイントは使えます』


『鉱石自体は時間経過と共に減ることはないですか』

『ありません』




なんとなく現状会議で話すことは無いような雰囲気になってきた。


『特になければ、本日の会議は終了、通信設置を望まれる国はこの後設置を行いますので一度下まで降りて交換所を実際に見ていただいて終わりとしましょう』


全員が席を立ったことを同意とみて円卓の間を出て行く。


『セント、あんなに不安がっていたけれど、堂々とした進行だったわ』

『クロネさん、皆さんが協力的だったからです。今後はどうなっていくか解りませんし…』

『ポント様も言っていたけれど私達は協力するから』

『フン、蜘蛛女。見え見えの糸は私の鋏の餌食になるがいい』

『おっと、失礼。セントの反対側は私がいただきますわ。蟹は蟹らしく横歩きしていればどうかしら』

『この猿め』


『ほーっほほほ、ポジションキープしている私は動じませんことよ』


私のとなりで繰り広げられる無邪気な争いは地上に着くまで行われた。




螺旋階段の上り口の反対側に扉がある。


『こんなところに扉がありましたか』

『鎧狸、さっきセントは言っていた。1階に扉が出来ている…と。セントにはこういうことが出来るということ』


『ホルダーとも違う力。邪魔して申し訳ない、説明をお願いできますか。セント様』


『では、皆様中にお入りください。今回は私のカードを使ってみますので』


胸元からカードを取り出す。


モッキーが2体どこからともなく現れ「お預けですか」と抑揚のない声でこちらに話しかけてくる。もう1体のモッキーの手には鉱石が抱えられている。


『セントです。鉱石を預けます』

正面のモッキーの黒いもこもこに細長く穴が空き、そこにカードを差し込む。


差し込まれたまま鉱石を食べるとモッキーからはチャリン、チャリン、チャリンと音が鳴り全て食べ終わるとモッキーは私にカードを渡し床に吸い込まれるように消えていった。


『随分と簡単なのですね』

『簡単…いい…』

『交換過程はシュールだったわね』

『私、少々気持ち悪いですわ』


『姉様、1つ質問があるのですが』


今まで一言も発していなかったナセキが口を開く。


『どうぞ』


『姉様は個人でそのカードを所有しているのですよね。それは誰にでも可能なのですか』



『可能です。注意点はカードの使用はその登録者の意志が必要になる。もし、亡くなったり意志を表明できなくなった場合そのカードとポイントは実質使用不可になってしまいます…例外が1つ、国名での登録は国全体の資産とみなしこちらの判断で使用に値すると思われる人物であれば複数人で使用可能となります』


『解りました。どちらにしても今の「平原」には関係が薄いので』


「平原」を除く4国は国名で通信装置設置+αのポイントを変換する予定のようだ、ポイント変換後の使用がまだ明確でない以上慎重になるのも仕方がないと思えた。


『ここの使用は自由ですので準備が出来た方から仰ってください。後、先ほどの公開通信のポイントは後ほど頂きますので』


最初の会議の本当の終わりは今だったのだろう…


私は膝から崩れ落ちた…






『セント大丈夫』

『姉様』


クロネさんとナセキが私の顔を覗き込んでる…


『私はいったい…』


『姉様はポイントの説明をされた後意識を失ったのです。「山脈」のゲンさんが姉様を上へ運んでくださいました。大丈夫なのですか』


『心配かけたわねナセキ、大丈夫よ。きっと緊張で疲れてしまったのね、恥ずかしいわ』


『無事で何よりよ。フランとユーロさんも心配していたけれど少し前に自分達の区画に戻っていったわ』



情けなさと、申し訳なさで悲しくなる…


『姉様が大丈夫だと言っている。クロネさん後は僕が付き添いますので』

『そうね、あまりやりすぎると他国から疑われるわね。ナセキさんにお任せするわ』


『クロネさんありがとうございました』

『セント、クロネ、呼び捨てでいいのよ。今は会議の場でもないし。また、疲れちゃうわよ。またねセント』

『はい、クロネ…ありがとう』


手を振りながら颯爽と階段を降りていった。




『姉様、すいませんでした…』

『ナセキ、謝ることはないわ。兵は引いてくれるわよね』

『はい、「平原」には鉱石が少ないので伝令を使います。少々時間がかかりますが必ず』


『公開通信で誰かに頼むことは出来ないかしら』

『今のところお父様の時代からの古参の方々と現在国の運営をしている文官、武官を僕が取りまとめている状態ですので…姉様が「平原」の代表としてこちらに居ていただければすぐにでも戻れるのですが…』

『それは出来ないのよ』


『そうですね、出来る範囲で急ぎますので。不甲斐ないです、自分が…』



『ナセキ、私より幼いあなたに苦労をかけてしまってごめんなさい』

『そう思ってくださるだけで十分です。姉様、お身体は大丈夫ですか』

『大丈夫よ。心配は要らないわ。お願いね…』

『必ず…姉様のお力に』

『ナセキ、貴方が本当に私の力になりたいというのなら…民の為にその力を使って頂戴』


『わかりました。では、急ぎ準備を整えますので』


1人、ふらつく身体を持ち上げる、重い足取りで円卓の間を抜け自室へたどり着く




私は…強くならなければならない…今よりも…何よりも…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ