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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
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If影虎~2人だけの物語⑥~ラビアベルside

「つい、うっかりと雷を落としてしまいましたわ」

「そうか。

で、原理は?」


 マイペースに尋ねるお父様に苦笑しつつ、答える。


「万が一に備え、この空間に入った瞬間から常に周りを漂う魔力と親和性を高めるようにしておりましたの。

ですからこの空間の権限も、お父様が本気で拒絶しない限り、私がほぼ同等に有しておりますわ」

「なるほど。

やはり権限は、創造主の方が強いか」

「左様ですわ。

時にお父様。

あそこにいるのは今世の私の婚約者で、トゲツと申しますの」

「女に跨がられているな」

「ええ、跨がられて……ふふふ、まったく……影虎と同じ状況に陥るだなんて。

トゲツとトゲツのトゲツを確認次第、彼女の方も含めてトゲツ共々、少々荒治療しようと決めましたわ。

ええ、今世こそ、やってしまいましょう」

「殺すのか?

お前もそんな風に殺気を纏う事もあるのだな。

ここなら完全犯罪が可能だぞ」

「前世とはいえ、娘に殺人教唆する父親って、どうなのです?」

「前世であっても、お前は私の娘だろう。

やりたいようにさせて、フォローは私がすれば良いのでは?」


 さも当然のように言う姿を見て、やはりお父様なりには、娘である私に愛情があったのだろうと感じる。


 お父様に倫理観は、そもそも求めていないし、求めても無駄なのでしょうね。

けれどついつい、殺意が削がれてしまったわ。


「ふむ……。

前世ではありますが、身内であるお父様に、その手の姿を見せたくはありませんの。

外の世界に出て、お待ちいただけまして?」

「つまらん」

「私の邸へ繋がる扉ですわ」


 つまらなそうな顔をしながらも、未だお父様が主張しない空間の権限を使い、お父様の真横に扉を出現させる。


「今なら私の邸で、聖獣ちゃん達が餅つき大会をしてますわよ」


 私の誕生日に合わせ、祝い餅を作ってくれている。


 今年の誕生日当日は、昼間は家族、夜はトゲツ、翌日は聖獣ちゃん達と過ごす事になっていた。


「伸びる白いモチモチか」

「ミゾレ醤油ダレ。

お好きでしたわよね?

もちろんご用意してましてよ」

「長らく食べてなかったな」


 言うが早いか、お父様が扉を開けて入っていく。


 それを見届けてから、権限を使ってこちら側を見えなくしていた前々世でいうところのマジックミラーのような壁を取り払う。


 これで私の姿を、トゲツ達も見る事ができる。


 体を重ねたシルエットの方へと歩を進めた。


「ねえ、トゲツとトゲツに跨がる誘拐犯さん?

随分とお楽しみのようね?」

「ラビ!」

「ちょっとアンタ!

何でここにいるのよ!

大体、学園でルーガ=イガチンカだと教えてあげたでしょう!」


 息継ぎせずにまくし立てた後、誘拐犯は睨んでいた私へ、勝ち誇った顔を向けた。


 トゲツに座り直し、いかにもな体制になる。


 確かに誘拐犯の方は、シャツのボタンを全部外している。

けれど一応、2人共、服もズボンも身に着けているわよ?


「ああ、お子様には刺激が強いでしょう。

あっちに行ってなさいな」

「おい!」


 焦ったようにトゲツが声を荒げた。


「ふむ……月和の時と同じね」

「……ツキナ?

ツキナ……どこかで……月?」


 私の言葉に反応するトゲツは、もしかして僅かにでも前世の記憶があるのかしら?


 確かに時々、私を見ながら懐かしい何かを思い出したような顔をする事もあった。


 きっと私が月和やラビアンジェの頃に取った言動に触発され、僅かな記憶が断片的に頭を過っている。

そう思いつつも、ラビアベルである私は現在()にフォーカスして生きているからと、あえて触れずにいた。


「……ああ、気にしないで」


 言いつつも、ここはある種の願いを叶える空間である事が気になる。


 トゲツが思い出したいと願えば……あるいは思い出せるかもしれない。


「ちょっとトゲツ!

子供の相手なんてしないで、私を見なさいよ!」


 けれど今はこの邪魔者がいるせいで、トゲツの相手をする気になれない。


 だってこの()、言うが早いかトゲツに口づけようと顔を近づけたのだもの。


――ガラガラ、ドーン!


 瞬間、部屋の周りで雷が走って落ちる。


 当然だ。

今度こそ、この空間の()権限を瞬時に、かつ完全に掌握した私は今、もの凄く腹を立ててしまったのだから。


 トゲツ達を驚かせたいわけではないから、この2人には見えないようにしたけれど。


「あらあら、駄目よ?」

「むぐっ?!」


 前世でエイナ子爵として販売しつつ、更に改良を重ねていった捕縛用の縄を亜空間収納から出現させ、女の体を縛する。

同時に口元には、縄が猿ぐつわのように巻きついた。


 トゲツは顔を背けたけれど、そもそも女にトゲツの唇を許してやるはずがない。


「ふぐ?!

ふぅ?!」


 縄は電撃を一瞬だけ女に走らせた後、強弱をつけて震える縄となり、体の自由を奪われたら女が、トゲツの上から崩れ落ちる。


「決めていたの。

()は完全犯罪するって」


 言うだけ言って、女の姿を目の前から消す。

完全犯罪は、いつでもできる。


 そうして私は、何が起きたのかついていけていない様子のトゲツもトゲツのトゲツも、改めて観察した。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

誘拐犯のフルネームに、作者の遊び心が出ております(*´▽`*)

気づいていただけるかな~( ´∀`)

次回、答え合わせをします!


番外編の本編的な話は次回ラスト。

番外編の後日談的な短いショートストーリーをラビ視点とトゲツ視点で投稿して、完全完結となります(=゜ω゜)ノ


【宣伝】

本作書籍版の最終巻が、1月9日に発売されてます。

WEB版にはない、感動オリジナルシーンに加え、WEB版とはラストも違う5巻(最終巻)。

是非ともお手元にお招き下さい!

https://kadokawabooks.jp/product/kitainoakujo/322504000469.html

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