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《書籍化、コミカライズ》稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
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709.白犬と犠牲者

「はあ……まあ……まあ、いいんじゃない?

仕方ないよね。

引き取れば……まあ、僕はいいよ……くっ」


 黒犬大公をジトリと睨んでからの、何だか悔しそうな発言をしたのは、キャスちゃんだ。


「どうして?

私はキャスちゃんだけでも良いのよ?

ディアも独り立ちしたし、ピケルアーラはラグちゃんと親子水入らずで何十年か過ごしたいからと、ラグちゃん共々、あまり顔を見せなくなったわ。

私と一緒の時間が長く過ごせるって、喜んでいたのに……」

「……ふふふ、僕の腹毛が、こんなに危機的状況になるなんて、考えてなかった……」


 するとキャスちゃんが……うーん、声がくぐもっていて、何を言ったのかわからなかったわ。


「キャスちゃん?

ボソボソ声で聞き取れ……」

「とにかく!

自力解除できないみたいだから、黒犬を解除するまでラビの側に置いて、僕の腹毛の身代わり、んんっ、番犬代わりにでもしておけばいいよ」

「でも、本当に納得しているの?

キャスちゃんが少しでも嫌だと思うなら、私は……」

「それにソイツ、ベルの時より毛並みが良くない?」


 キャスちゃんが発する魅惑の言葉に、はたとなる。


「あらあら、確かに」


 言われた通り、黒犬モードの大公はツヤツヤのフワフワしている。

特にお腹の毛が……ああ、たまらん~……。


「キャウッ」


 どうしてかしら?

まるで怯えるように、黒犬大公の尻尾が、お尻の方にクルンと丸まって、耳も垂れてしまったわ?


「レジルス、堪えろ。

選んだのは、お前……」

「ワンワン!

ワンワン!」


 お兄様が何かを言いかけた時、全く別の方向から、大公とは違う犬の鳴き声がした。


「まあまあ、今度は白犬さんね?」


 白い犬が、どこからともなく……あらあら?


「あ、頭に寄生植物?

いや、魔獣?

まさか昔見た……いや、しかし随分と小さいな。

それにしても何で、眉毛の太い山羊が……」


 そう、私同様に困惑し始めたお兄様の言う通りだ。


 白犬の頭頂部には、隊長が品種改良した山羊(ハイヨ)がいる。


 小さいけれど、隊長の魔力を内包した寄生植物の山羊は、ハイヨしかいない。

ハイヨは教皇であるリリの頭頂部に寄生していたはず。


「ワンワン!」

「ンメェ~」


 黒犬を押し退けた白犬もまた、私の手に頭を擦りつけてきた。


 この子もハイヨも、毛がツヤツヤのフワフワ。

大変、心地良い。


「ねえ、この犬って……」

「そうね、キャスちゃん。

はあ……困ったわ……」


 ドン引きした声を出すキャスちゃんは、白犬の正体に気づいているみたい。


『リリじゃ~ん!

どっかの大公が、犬になる魔法を開発したのを聞きつけたリリが、自分も犬になってラビと旅がしたいって言ったじゃ~ん!

だからハイヨを媒介にして、獣化させたじゃ~ん』


 その時、どこからともなく隊長の声が頭に響く。


 白犬の正体は、リリで確定だ。


 けれど今の私は、そんな事よりも……。


「何て撫で心地の良い……ああ、吸いたい……その、腹毛達が……私を呼ぶ……」

「「キャ、キャウン?!」」

「「ヒゥッ(メッ)」」


 うっとりと毛並みの感想を呟けば、どうしたのかしら?


 白黒の犬達も、私とリリの頭頂部それぞれに鎮座するキャスちゃんとハイヨも、小さく悲鳴を上げる。


 どうしてかしら?

悲鳴を上げるシチュエーションじゃなかったはずよ?

きっと大きく息をしただけよね?


 息をした獣達が、1つに固まって私から遠ざかる。


 だからどうして?


 私の頭にいたはずのキャスちゃんまで、いつの間にか転移して、塊の構成員になっているのだけれど?

解せないわ?


「ラビアンジェ……ひとまず、その変た、いや、人ならざる顔を戻すんだ」

「お兄様?

言い直した意味……」


 チラリと視線を下に向ければ、塊を構成する各々(おのおの)が、ビクッと体を強張らせる。


『変態はそのへんにするじゃ~ん!

リリも預けたし、さらばじゃ~ん!

あ、教皇の座はナックスっていう百合沼神官が継いだから、心置きなく白犬リリを可愛がるじゃ~ん!』


 言うだけ言って、隊長の気配が消える。


「ラララ、ラビ!

白犬も飼って!

身代わり、んんっ、犠牲者は多い方がマシ!」

「「キャウン?!」」


 キャスちゃん、言い直した意味。

それに一緒に旅をしたがっていたはずの犬達(人達)が、どうして悲鳴のような鳴き方を?


「ラビアンジェ、キャスケットの許しも出たし、増えた白犬共々……な?」

「……そう、ですわね。

まあモフモフ可愛らしいので、旅のお供には良いのかしら?」


 きっと2頭の犬達は自らの寿命を迎えるまで、私の側にいる。


 そんな風に魔法師としての勘が告げる中、首を縦に振った。


 そうして私は、どこに行くにも白黒の犬達を連れ歩くようになった。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

本編完結まで、あと1話(*^_^*)

そして明日は本作書籍の発売日です!

WEB版とは結末が変わり、冒頭も、影虎とのラブが一瞬ですがあったりと、オリジナルシーンが随所に入ってます(*´∀`*)

良ければぜひ、ご購入をお願いしますm(_ _)m

https://kadokawabooks.jp/product/kitainoakujo/322504000469.html

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