決着②
その手助けをしようと成功するかしないかは分からないが、私はある作戦を思いついた。
「あんな単調な手の攻撃なんてブルーには効かないんだから!二つの手なんて動きが見え見え!降参するなら今しかないわよ?」
とやや大きめの声でアッサラームを挑発する。
その挑発にアッサラームが私を一瞥した。
それに少なくとも私の挑発が空振りではないと悟る。
「…二つだけだと思うなよ」
アッサラームが小さな声でボソボソと言ったのが微かに聞こえる。
その瞬間、二つのアースハンドから逃げるブルーの先に更にもう一つのアースハンドが現れた。
だが、寸前のところでそれを躱したブルーがその三つ目のアースハンドの上に飛び乗る。
「馬鹿め。ナナミの挑発にまんまに乗るとはな…」
ブルーがアースハンドの上からアッサラームを見下ろしながら言った。
そして、その刹那、アースハンドが全て消えてなくなる。
無くなったアースハンドから急に空中に投げ出されたブルーが綺麗に地面に着地した。
アッサラームが驚きの表情で自分の手を見ていた。
「…どうやら冷静さをすっかり失っていたな。普通なら自分のルウの限界ぐらいは把握している筈だ。ルーラーなら特に…あの段階で無理に三つ出したのは致命的だった」
ブルーがそう言いながらポセイドンを鞘に仕舞って、アッサラームに近づいていく。
そして、そのまま横を通り越して、私のところまでやって来た。
「大丈夫か…?どこか怪我はないか…?」
とブルーが優しく私に訊ねた。
それに私は見上げるようにブルーの顔を直視する。
たった、一日しか会っていないだけなのに、もう随分とブルーに会っていなかったように感じた。
「…うん。私は大丈夫…あっ、このブルーに買ってもらったマント早速汚しちゃった…ごめん」
マントに触れながらそう謝った。
「…阿保。言った筈だ…その時はまた新調すれば良いと」
とブルーが私の頭に手を置いた。
「…どうやら、悲しい想いをしたようだな。辛かっただろう?」
そのブルーの一言で気が張っていた何かがプツンと切れた。
そして、ブルーに抱きつく。
目から涙が溢れ出す。
「…私、何も出来なかった!アイリンが殺されるまで、何も…ううん…アクエリアスやブルーがいなきゃ私なんて無力だ!」
と泣き叫ぶ。
「そんなことはない。あの子供たちが助かったのは少なくともナナミがここにいたおかげだ…」
ブルーがそう言って、私を優しく抱きしめた。
もしかしたら子供たちが見ているかもしれないけれど、感情が抑え切れずにブルーの胸でわんわんと泣いた。
『おい!何か忘れていないか?早く助けろよ!』
と怒るアクエリアスの声が聞こえてきて、私は涙を止めた。
ブルーの身体から顔を上げて、アッサラームの足元に視線を向ける。
呆然と立ち尽くしているアッサラームの足の下にアクエリアスがあった。




