剣を捨てて降参しろ
私は食堂の奥で固まっている兵士二人に視線を向けた。
すると、ビクッとした表情で私を見た。
「この子たちを見ててくれない?もし、傷つけたりしたら絶対に許さないからね!」
私の言葉に兵士二人はこくこくと頷き、分かりましたと返事をする。
「…ごめんね皆んな。少しここで待っててね?」
と私は目の前の子供たちに優しい表情をみせた。
そして、すぐに外に出る。
「私はここよ!アンタなんかに逃げも隠れもしないわよ!」
アッサラームに向かってそう叫んだ。
「…ほう?この状況にそんなことがよく言えるな?」
アッサラームが勝ち誇るように言う。
「…私みたいな少女相手に人質を取るの?情けない…何が王国のルーラーよ!」
と挑発をする。
「無駄だ。私は手段を選ばない。お前のメアはそれだけの力があるからな。そんな挑発には乗らないさ」
アッサラームが不敵な笑みを浮かべた。
挑発は効かない…どうする…?
アクエリアスの意思を確認するように剣の柄をぎゅっと握った。
「さあ、剣を捨てて降参しろ!そうすれば命だけは助けてやる」
アッサラームの言葉にパウロたちが反応する。
「ダメだ!こいつの言うことなんて聞くな!」
「私たちのことはいいからアイリンの仇を取って!」
その声にアースハンドがじりじりと幅を狭める。
「やめて!」
アッサラームに向かって叫ぶ。
「…分かった。大人しく剣は捨てるわ…」
と少し前へとアクエリアスを放り投げた。
「そうだ。それでいい…」
アッサラームが不敵に笑う。
すると、パウロたちを挟んでいたアースハンドが一気に地面の中へと消えていき、すぐに私の前後に現れた。
そして、勢いよく私に向かって倒れ込んでくる。
「ナナミ!」
パウロが叫ぶ。
「酷い!剣を捨てたら命は助けるって言ったじゃない!?」
サマンサがそう怒りを露わにしながらアッサラームに向かっていく。
すると、アッサラームの右手によって弾かれたサマンサが地面に倒れ込んだ。
「サマンサ!」
トンヌラがサマンサに駆け寄る。
「さて、予定通り全員奴隷だ。覚悟しておけ!」
とアッサラームの言葉を私はアッサラームの背後で聞いた。
それにアッサラームが気づいた。
しかし、すでに遅い。
私はアクエリアスをアッサラーム目掛けて真っ直ぐ振り下ろした。
その刹那、目の前に激しく渦を巻いた水柱が現れ、アッサラームを飲み込んでいく。
アッサラームの僅かな悲鳴が渦の中へと消えていった。
アッサラームを飲み込んだ水柱は一気に上昇していく。
そして、しばらくして水柱から解放されたアッサラームが一気に地面に落ちてきた。
ピクリとも動かない。
私はその様子に安堵して、少し力を抜いた。
なんとか上手くいった…




