アッサラーム②
しかし、アッサラームは倒れるどころか平気な顔をして立っていた。
「へぇ…土のルウを得意とするタイプか。奇遇だねぇ。私もだよ」
アッサラームはそう言ったあと、地面に手を当てていとも簡単に揺れを止めた。
アイリンは再度、同じ力を使うが何も起きない。
「くっ…力が抑えられているのか」
とアイリンが地面から手を離して後ずさる。
「残念だ…タイプは私と一緒だが、能力がまるで違う。私のルウはそんなチンケなものではないからな。
仕方ないから本物を見せてやろう」
アッサラームが不敵な笑みを浮かべて、地面に向かって手を伸ばす。
「なるべく地面には触れたくない。手が汚れるからね」
とアッサラームがそう言った瞬間、地面から大きな土で出来た手が現れる。
私は思わずそのでかい手を見上げた。
ルウの具現化…
ノアニールさんとの戦いの時にブルーが言っていた。
ルウを具現化するのは相当な使い手だと…
アイリンが危ない…
その手は一気に上昇して、アイリン目掛けて勢いよく下りてきた。
寸前のところでアイリンの手を引いて助ける。
避けたが、手が地面にぶつかった衝撃で私とアイリンは吹き飛ばされた。
「ボス!ナナミ!」
パウロがすぐ駆け寄ってきた。
「大丈夫だ…ありがとうナナミ。助かった」
アイリンがすぐに立ち上がり、私の手を取って言った。
すぐさまアイリンに引っ張って立たせてもらう。
「アイリンも逃げよう!」
アッサラームのルウの凄さを目の当たりにして、思わず出た言葉だ。
…あんなのに敵いっこない。
「…皆んなで逃げるなんて無理だ。誰かがやつを引きつけないと…」
とアイリンが首を小さく横に振る。
「なら、俺が引きつける。その間にボスとナナミは逃げてくれ!」
とパウロが言い捨てて、アイリンの腰にある短剣を素早く抜き取り、アッサラームに向かっていった。
「やめろ!パウロ!」
咄嗟のパウロの行動にアイリンが手を伸ばして叫ぶ。
しかし、パウロは止まることなくアッサラームに短剣を振り下ろす。
だが、振り下ろす前にパウロの体が土の手によって捕まえられてしまう。
そして、パウロを掴んだまま土の手は上昇していく。
「パウロ!」
アイリンが見上げて叫ぶ。
「私に短剣で斬り掛かるなんて悪い子だ。悪い子にはお仕置きが必要だな。このまま、握り潰してやろうか?」
アッサラームの言葉にアイリンが逆上して素手で突っ込んでいく。
しかし、アイリンはアッサラームの手前で右手を土で覆い剣のようなものを作り出した。
「パウロを離せ!」
アイリンが土の剣でアッサラームを攻撃する。
だが、突然アイリンの背後から大きな手が現れた。
「何!?」
すぐさまアイリンがその出てきた土の手に捕まってしまう。




