旅立ちの朝①
「おはようナナミ。昨日はよく眠れたかい?」
昨日、宴をした場所で皆んなが集まり朝食を取る。
そこで私にアイリンが訊ねた。
「うん、お陰様でよく眠れた。ありがとう」
私は朝食を頂きながら、向かいに座るアイリンにお礼を言った。
久しぶりにベッドで寝た気がする。
気持ち良さすぎて朝が来ても、なかなか起きる気にならなかった。
「もう旅立つのかい?」
アイリンが少し寂しそうに訊いた。
「ええ…きっと一緒に旅をしている人が心配している筈だから、なるべく早くここを発ちたい」
「…そうか、残念だ。ナナミがずっとここにいてくれたら何かが変わる気がしたんだが…」
アイリンはそう言ったあとですぐに首を横に振った。
「…すまない困らせることを言うつもりはなかったんだ。ナナミにはやるべきことがある。それが何かは知らないが、上手くいくことを祈っているよ」
「…アイリン。ありがとう…私も皆んながいつまでも笑顔でいられることを願ってる」
私がそう言うと、私にサマンサとプリンが勢いよく抱きついてきた。
その拍子でテーブルの上のパンが皿から落ちる。
「行かないで!ずっと私たちと一緒に居ようよ!」
とプリンが涙ながらに私の顔を見て訴える。
「一晩だったけど、私はナナミが好きになったよ!アクエリアスのことも!」
とサマンサが私の顔を見ないで私を抱きしめた。
「やめろ二人とも!ナナミが困ってるだろ?」
テーブルの横に立っていたパウロが二人を私から引き剥がす。
そして、何か言いたげに私を見た。
「すまなかった…牢なんかに閉じ込めて。サマンサのことありがとう…」
と少し恥ずかしそうにパウロが言った。
「ナナミ!俺たちのこと忘れんなよ!」
後ろからトンヌラが大きな声で言った。
思わず後ろを振り返る。
すると、トンヌラの横で少し照れながらクッキーが私を見た。
「…また、近くに来ることがあったら立ち寄ってよ。歓迎するからさ…」
「うん、必ず立ち寄る」
と約束した。
その時だった…パウロに引き剥がされてむくれながら席に一旦座ったサマンサが勢いよく立ち上がった。
「…アイリン。誰かが罠に掛かったよ」
山に仕掛けてあるルウの塊のことだ。
どうやら、あのルウの塊はサマンサが作り出しているものらしい。
なので、誰かが罠にかかればサマンサに伝わるようになっているのだろう。
サマンサの言葉に急に場が緊張感に包まれた。




