楽しい夜③
「そうなんだ…誰にでも使える訳じゃないんだね」
「うん、実際パウロやトンヌラはルウが使えないしね」
プリンがうんうんと頷く。
この世界の人なら皆使えるものなのかと思っていたが、どうやらそうじゃないらしい。
すると、サマンサが私の寝転んでるベッドの横に立て掛けてあるアクエリアスを指差した。
「ナナミにはその剣があるじゃない?それメアでしょ?」
サマンサに訊かれて、イシスというルーラーがアクエリアスのことはメアだと言っていたのを思い出した。
「メアはルウの力を秘めた武器だから、ルウが使えない人が持つんだよ。ナナミもルウが使えないからメアを持っているんだと思ってた」
サマンサの説明に、もしかしたらポセイドンというメアを持っているブルーもそうなのだろうかと考える。
『俺様はメアなんかじゃない』
突然、アクエリアスが喋った。
しかし、サマンサもプリンもアクエリアスの声に反応がない。
アイリンは聞こえたみたいだけど、二人にはどうやら聞こえないらしい。
「…何かアクエリアスが自分はメアじゃないって言ってる」
アクエリアスの言葉を二人に伝える。
「えっ…?剣が今喋ったの?」
サマンサが驚いた表情を作る。
「アイリンには聞こえるみたいだけど、私たちには聞こえないんだね残念」
とプリンががっくりする。
「私を操ったり、プリンを眠らせたり出来る立派な剣とおしゃべりがしたかったなぁ」
とサマンサも残念そうに言った。
『おっ!こいつら俺様の良さが分かってるじゃねぇか。見どころあるぞ』
アクエリアスがややご機嫌だ。
「あまりアクエリアスをおだてると調子に乗るからやめてね」
と二人に釘を刺す。
『何んだと!?俺様がいつ調子に乗って言うんだ!』
アクエリアスがぎゃーぎゃーと吠えるので、堪らず耳を塞ぐ。
そんな私とアクエリアスのやり取りを見て二人はクスクスと笑っていた。
それから私たちは少しだけたわいない話に花を咲かせて、やがて眠りにつく。
そして、楽しかった夜が終わりを告げて、旅立ちの朝がやってきた。




