楽しい夜②
「お姉ちゃん大丈夫?」
湯に一緒に浸かっている一番最年少の子が私の様子を心配して訊いた。
「うん、大丈夫。ごめんね…少し考えごとをしてたの」
とその子の頭を優しく撫でる。
この時間もとても至福の時間となった。
そのせいで私もこのままここに住みたいなという願望に駆られそうになるが、自分の本当の目的を忘れないように湯で顔を洗い気を引き締め直す。
…あと一瞬、ブルーの顔が浮かんできて心苦しくなった。
すると、何故か今すぐにでもブルーのところに帰りたくなってきたのだ。
お風呂から上がると皆で二階の寝室へとやってくる。
少し小さいけれどサマンサがプリンの寝間着を貸してくれた。
それから、それぞれベッドの上に横たわる。
私はサマンサの横のベッドを貸してもらう。
小さい子は宴で疲れたのか、ベッドの上に寝転んで少ししたら寝てしまっていた。
その寝顔に思わず小さな笑みを浮かべた。
するとプリンと10歳の女の子二人があとから寝室に入ってきた。
10歳の二人も疲れたのかすぐに寝てしまう。
サマンサとプリンはそれを見届けて、シーツをしっかり掛けてあげていた。
彼女たちも11と12と変わらないくらい幼い。
なのにお姉ちゃんだとしっかり自覚して頑張っている。
とても、小学生の年齢には見えないくらいの頼もしさだ。
私としてはもう少し子供っぽいところを出して欲しいとは思うけれど、この国の環境がそれを許さない。
…この子たちのためにもファーシル王国は私がなんとかしないといけないのだ。
そんな自覚も実感もまだピンとこないが、フリーダムに出会って私は確実に変わらないといけないと思った。
国が豊かにならない限り、この国の子供たちは子供っぽく笑えないのだから…
「ねぇ?何でサマンサとプリンはそんなに凄いルウを使えるの?」
私はベッドに横たわりながら、二人に訊ねた。
すると二人はシンクロするように首をぶんぶんと横に振った。
「凄くなんかないよ。アイリンに比べたらまだまだ…」
とサマンサが謙遜する。
「ここに来たあとアイリンに教えてもらったんだぁ」
アイリンは元々小さな頃からルウを教わった経験があったらしく、孤児院でもそれを活かしてマリアの助けになっていたらしい。
ベッドの上に座りながらプリンがそう語っていた。
「へぇ…凄い。でも、私からしたら二人とも凄いしアイリンがマリアさんの助けになっていたように、二人は充分にアイリンの助けになってるよ」
と私が言うと二人は照れ臭そうに笑った。
「私もルウが使えるようになるかな…?」
私はふと天井を見上げながら願望のような質問を口にした。
「ルウは産まれ持った適正らしいから使えない人は使えないよ」
とプリンが答える。




