今夜は宴③
宴は外がすっかり暗くなってもまだまだ続いた。
子供たちだけの集団なので、お酒はないがまるでお酒を呑んだかのようにみんな楽しんでいた。
踊る子もいれば歌う子もいた。
それに、私も充分に楽しませてもらった。
「ナナミって変わった服を着ているよね?」
サマンサとプリンが私のマントを捲って訊いた。
その質問にどこまで正直に答えてたらいいのだろうと悩んでしまう。
「…私って少し遠いところから来たから、ここの文化とは少し違うのかも…」
と曖昧な言葉で誤魔化す。
まあ、彼女らになら誤魔化す必要なんてないし、全て正直に答えたところで支障はない。
…でも、おそらく信じてはもらえないし、混乱させてもとやめておく。
「ナナミはフリーダムのことをどう思う?」
サマンサとプリンの質問に答えたあとで、アイリンが少し真剣な表情で私に話し掛けてきた。
「…どうって?」
その質問にどう答えていいのか迷い、思わず訊き返した。
「…私たちは生きていくためとはいえ、山を通る旅人を罠に嵌めて襲い、身ぐるみを剥いで記憶を消してから山に返す。命は取らないと言っても所詮はやっていることはそこらの盗賊と変わらない…そんな私たちをやっぱりナナミは軽蔑するか?」
アイリンの言葉にすぐに返事が頭に浮かんでこなかった。
「…分からない。正直、フリーダムがしていることは正しいことではないとはないと思う。でも、正しいことだけが全てではないって最近はよく感じてる…だから、私はフリーダムがどうとかは言えない」
…そうだ。
この世界に来て、それは身をもって知った。
それに彼女たちがこんなことをするにはそれなりの理由がある筈だから…
「…私たちは元々ドナキエという大きな町の孤児院で育ったんだ」
アイリンが昔を思い出すようにゆっくりと話し始めた。
ドナキエはメキラの町から北にあるとブルーが教えてくれたことを思い出す。
「あの頃は幸せだった…何よりシスターのマリアが優しかった」
「シスターのマリア?」
「ああ、私たちの世話をしてくれる親代わりの女性で孤児院の院長でもあった。前の院長は彼女の親で病気で亡くなったあと、彼女がドナキエの町に戻ってきて跡を継いだんだ。まだ、若いのに自分の幸せは考えず、常に私たちの幸せを第一に考えくれる人だった」
優しい表情でアイリンがマリアという女性のことを語った。
その表情にアイリンもこんな気を許した表情をするんだと思った。
今の目の前のアイリンは初めて見た時とは別人に見える。
それだけ、普段は皆のボスという責任感が重いのだろう。




