アイリン①
ついこの前までは常にネガティブ思考だったのに…少しは成長しているってことだろうか?
と自然と笑みが溢れた。
とにかく、今はじっとここで身を隠しチャンスを窺おう。
…誰か来た!
出口から繋がっている道に人の姿が見えた。
見つからないように覗く。
子供だった。
さっきの子供たちとは違う。
年齢は更に幼く見えた。
私がいた世界で言えば、小学校に通う低学年だろうか。
…また、子供。
やっぱり、大人の姿がない。
あの私と同じくらいの少女がボスなら、ここにいる人は皆それよりも幼い可能性はある。
しかし、まだあくまで憶測だ。
油断は出来ない。
それから、しばらく私はこの集落の様子をここから窺っていた。
何人かの子供の姿は見たが、やはり大人の姿はない。
本当にこの集落には子供しかいないのなら、アクエリアスさえ戻れば本当になんとかなる気がしてきた。
更に時間が過ぎていった。
私はじっと動かずに身を潜めている。
少し疲れを感じてはきているが、山を歩くよりは随分とマシだ。
まだ、アクエリアスを持っていった男の子たちは出てこない。
そして、私が逃げ出したこともまだ知られてはいなかった。
…思い切って、他の建物を探索してみようかな?
と痺れを切らした矢先、ある建物からさっきの男の子たちが出てきた。
男の子たちは私が捕まっていた建物の中へと入っていく。
…いよいよ逃げたことがバレる。
でも、アクエリアスはきっと男の子たちが出てきたあの建物の中にある筈だ。
しかし、まだあの建物にはボスと呼ばれた少女とあの女の子たちがいるかもしれない…
まだだ…動き出すのはまだ早い…
とはやる気持ちをぐっと抑える。
「逃げた!さっき捕らえた女が逃げたぞ!」
私の様子を窺いに行った男の子たちの一人が勢いよく建物から出てきた。
すると、たちまち他の建物の中から人が外へと集まってきた。
その光景を見て憶測が確信に変わる。
間違いない。
この集落には子供しかいない。
そうだ…集まっているのは皆んな子供だったのだ。
しかも、予想以上に幼い子もいる。
…まるで孤児院のようだ。
そんな感想を抱いていると、アクエリアスがいるであろう建物からボスと呼ばれた少女が現れる。
「アイリン!」
割と小さな子供たちが嬉しそうに彼女の方へと駆け寄っていった。
アイリン…それがあのボスの名前…
「よしよし、済まないがお前たちの相手は少しあとにしておくれ。クッキー、あの少女が逃げたのは本当か?」
アイリンと呼ばれた少女は幼い子供たちに囲まれながら、私が逃げたと騒いだ男の子にそう訊いた。
すると、その質問にその男の子が答えずに、私が捕まっていた牢がある建物から出てきた赤茶色の髪をした男の子が代わりに答える。




