私、変わりたい②
と憎まれ口が返ってくる。
「じゃあ、後半に向けてここらで腹ごしらえでもしておくか」
そう言って、荷物袋から昨晩のうちに作っておいた魚の身を挟んだパンを二つ取り出した。
そして、ひとつをナナミに手渡す。
「えっ…?」
ナナミは受け取ると驚いた表情を俺に向けた。
「店主に貰った食料は無くなっただろ?口に合わなかったら無理して食べなくても…」
と俺が言い終える前にナナミは豪快にパンにかぶりついた。
そして、もぐもぐと口を大きく動かす。
ナナミはごくりと飲み込んだあとにこちらに満面の笑みを浮かべた。
「美味しい!」
そう言って、次々とパンを口に頬張っていく。
よほど、体力を消耗していたのだろう。
それに、迷いが無くなったおかげか精神的にホッとし、食欲が出てきたのかもしれない。
まあ、何にせよ少しは成長が窺えて俺としても安心した。
なので、俺も急にお腹が空いてきた。
ナナミにつられるように俺もパンを頬張る。
何度か作っては食べている味が今日はなんだかいつもより美味しく感じた。
…その理由は言わなくとも分かっていた。
久しぶりの感覚に少し心に安らぎを覚える。
『…二人とも美味しいそうに食べるじゃないか。そんなに美味しいのか…?』
とアクエリアスが羨ましそうに言った。
「アクエリアスも食べる?ていうか食べられるの?」
『食べられないから羨ましいんだよ…』
その会話に思わず笑ってしまう。
すると、ナナミが俺をじっと見つめた。
「ん?何かおかしかったか?」
「…ううん。ただ、ブルーもそんな風に笑うんだなと思って…」
ナナミの言葉に何かを気づかされた気がした。
「…俺だって笑いたい時は笑うさ」
…忘れていた。
あの日からずっとそんな単純なことを…
悪くないなこんな旅も…
と素直にそんな感想が湧き出てきた。
ナナミはこの旅で変わりたいと言った。
もしかしたら俺も変われるかもしれない。
そしたら絶え間なく続くこの虚無感も少しは和らいでくれるだろうか…?
とにかく、今はあれこれ考えずにこの旅を楽しもうと残りのパンにかじりついた。




