厄介事②
本当にこの娘がファーシル王の娘のナリアであるなら、このままではおそらくファーシル城に着いても王位争いには耐えられない。
この旅で少しでも成長してくれればと願うばかりだ。
『お前、何考えている?』
ナナミの顔を見ていると突然あのお喋りな剣が俺に話し掛けてきた。
これは俺に話し掛けてきたものなので、はっきりと頭の中に聞こえる。
「…なんだ起きていたのか?」
とナナミから目を逸らして視線を火に移す。
『お前からは殺気や何か企んでいるものを一切感じない。なら、お前の目的はなんなんだ?』
と剣が絡んでくる。
…本当に面倒臭い。
「…たしか名はアクエリアスだったか?目的なんてない…ただの気まぐれだ。何で助けたのかなんて俺が知りたいくらいだよ」
思わずため息をついた。
『…まあ、いい。仕方ないからそういうことにしといてやるよ。ただし、少しでも変な気を起こしてみろただじゃあ済まないからな!』
剣の戯言に何か疲れをどっと感じた。
変な気ってどんな気だ…?
第一、剣のお前に一体何が出来るんだと呆れて言い返す気が失せた。
「分かったから早く寝ろ。まあ、剣だから道中も簡単に寝れるからその心配はないか?」
とちょっと挑発してみる。
『何だと!?俺様は基本は寝ないんだ基本はな!だから、夜だからって寝る必要はないんだよ!』
と剣がナナミの中で暴れるものだから、ナナミがうーんと声を漏らす。
「静かにしろ。お前は寝なくて構わないかもしれないが、お前の主人は睡眠が必要なんだよ」
少し抑え目の声で剣を窘める。
すると、急に剣が喋らなくなった。
ナナミを起こしたくなかったのか、はたまた俺に正論を言われてしまい拗ねたのかは分からない。
まあ、とにかく静かになって安堵する。
そして、俺は少し目を閉じて休むことにした。
この先、いつ敵が襲ってくるか分からない。
それに山の中では飢えた獣にも要注意だ。
常に警戒を怠ってはならないので、熟睡は出来ない。
…まあ、元より闘いに身を置くようになってからまともに熟睡するなんてほとんどしたことがない。
だから、これが俺のいつものスタイルだ。
これで充分に疲れは取れる。
そして、何事もなく夜が明けた。




