ブルーVSノアニール②
少し離れた場所でノアニールさんの言葉が聞こえた。
「別に味方じゃないさ。ただ、困っているのを見過ごすのは昔の知り合いの影響でどうも苦手でね」
とブルーさんが薄く笑った。
「…とはいえ、こちらも立場上退く訳にはいきません」
ノアニールさんが戦闘体勢に入る。
「だろうな…なるべく争い事は嫌いなタチなんだが仕方がない」
ブルーさんは自分のボンサックを私のいる方へと投げて、大きな剣を前へと突き出した。
慌ててそのボンサックを手に取って、二人の闘いに巻き込まれないであろう位置まで避難する。
私に出来ることなんてこれくらいだから…
すると、ブルーさんがこちらに顔を向けた。
「もう少し離れていろ!巻き添いを喰らうぞっ」
ブルーさんがそう私に忠告する。
その瞬間、ノアニールさんの右手から炎が立ち上がった。
ただの炎じゃない…竜の形をした炎だ。
「ブルーさん!?」
こちらを見ていたブルーさんに気づかせようと叫ぶ。
しかし、ブルーさんは別段驚いた様子もなく前に向き直る。
その瞬間、炎の竜がブルーさんを襲った。
炎の竜は大きな口を開けて、私のいるところまで一気に飲み込もうという勢いで迫ってくる。
すると、ブルーさんがポセイドンと名乗った剣を大きく前へと振るう。
それと同時に地面から一気に渦を巻きながら水柱が立ち上がった。
炎の竜が堪らず空へと押し上げられる。
そのタイミングでブルーさんが剣を一旦戻して、すぐさま剣を大きなモーションで薙ぎ払う。
すると、津波のような水の塊が現れて、勢いよくノアニールさんに押し寄せていく。
ノアニールさんが立っていたところがその津波によって飲まれてしまった瞬間、ブルーさんが急に前方へと飛んだ。
そして、今度はブルーさんがいた地面から勢いよく竜の形をした炎を舞い上がる。
ブルーさんはさっきまでノアニールさんの立っていた場所に着地してパッと踵を返す。
炎が空に昇りきったあと、そこにはいつの間にかノアニールさんが立っていた。
一瞬の出来事に何が起こったのかが頭でついていけない…
ただ、この二人は別次元で凄いということは理解出来た。
奴隷商人が連れていた男たちとは比べものにならない…
レベルそのものが最早違う。
それは素人の私でも分かるくらいに…
「…炎を具現化するとは相当なルウの使い手らしいな」
ブルーさんが大きな剣を肩に置いて言った。
「残念ながら、あなたに言われても全然嬉しくありませんよ…」
ノアニールさんが肩を上下させて息を切らしている。
それに比べてブルーさんは全く息を切らしていない。
きっと、ノアニールさんは膨大なルウの力を消費したのだろう。
それくらいさっきの炎の竜は凄かった。
『なるほどな。俺様に偉そうな口を聞くだけあってやるじゃねえか?あっちのやつもなかなかやるが、アイツほどじゃあない。勝負あったな』
とアクエリアスの言葉が頭に入ってきた。
私からしたらどちらも凄い強さだと思うけど、その凄い強さの中にも上と下がいるということだろう。
「…でも、立ち位置が変わったのは嬉しい誤算でしたよ」
とノアニールさんがこちらを一瞥して微笑んだ。
そうだ…
ノアニールさんの狙いはあくまで私だ。
ブルーさんに勝つ必要はない。
ただ、私を殺せばノアニールさんの目的は達成出来る。
逃げなきゃ…と思った時には遅かった。
既にノアニールさんが手をこちらに向けて「ルウ」の力を使って攻撃する体勢に入っている。
…駄目だ間に合わないと諦めかけた瞬間、ノアニールさんがいた場所に大剣が振り落とされた。
「!?」
ブルーさんがノアニールさんよりも早く攻撃を仕掛けたのだ。
しかし、その場所には地面がえぐれた跡があるだけで、ノアニールさんの姿はすでにそこから消えていた。
どうやら「ルウ」の力で瞬時にどこかへとワープをしたのだろう。
六倉さんといたあの草原の時もイシスとその手下のルーラーは突如姿を現した。




